夫の不倫を許さない「サレ妻」たち、SNSで相手の素性を暴露 危険すぎる復讐劇の法的リスク

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2024年05月29日 09:50  弁護士ドットコム

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真偽は不明ながら、「夫の不倫相手」だとする女性の顔写真や氏名、学歴をさらした“サレ妻”によるXの投稿(現在は削除)が先日、拡散した。


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批判が殺到すると、投稿主は「みんなよく相手ばっか晒すなって言うじゃん」といい、自身のものと思われる免許証の顔写真などを公開。さらに投稿主は「スクショでもなんでもしてデジタルタトゥー刻んでくれ もうどうでもいい」とも投稿していた。



非難の声が向けられる一方で、同様の経験をした“サレ妻”たちからは、投稿主の心情に寄り添うようなコメントも相次ぎ、議論が沸騰。騒動は拡大していった。



弁護士ドットコムにも「夫の社内不倫について、会社の窓口に通報したい」「不倫相手の家族に事実を知らせたい」「SNSにどこまで書いていいのか」といった相談は多数寄せられている。



「自分が傷ついたのだから相手も傷つけてやりたい」という報復感情をもつサレ妻やサレ夫は少なくない。数多くの離婚相談に応じてきた原口未緒弁護士にどんな対処法が望ましいのか話を聞いた。



●法的問題は?

——相手の名前や顔写真をさらす行為はどのような法的問題に該当するのでしょうか?



不倫相手に対する怒りの感情を抑えられないサレ妻、サレ夫さんたちは少なくありません。頭では「相手だけが悪いのではなく、より悪いのは自分の配偶者」だとわかっていても、感情の矛先は不倫相手になってしまうようです。



夫の不倫相手の氏名や顔写真を拡散したXの投稿者は逮捕に至ったように、当然のことながら、法的な問題にはなり得ます。



刑事では、Xという不特定多数の人が閲覧できる媒体に事実(氏名や顔写真、居住地、出身校)を公表すれば、名誉毀損罪を問われる可能性があります。



また民事でも、名誉毀損行為による損害賠償請求のほか、実名や顔写真を晒している場合はプライバシー侵害や肖像権侵害による賠償請求も考えられます。



●「社会的に抹殺したい」「相手の配偶者や勤務先に知らせたい」

——「相手に報復したい」という相談はよくあるのでしょうか? 



 「相手に報復したい」という相談はよくあります。その方々が言うのは「社会的に抹殺したい」「相手の配偶者や勤務先に知らせたい」と。



そのため、「不倫相手の会社宛に内容証明を送りたい」「会社に乗り込みたい」「相手の配偶者や親に会いにいく」と動こうとする方も……。もちろん弁護士としては法的な問題になり得るからやめるように伝えます。



●サレ妻、サレ夫さんがこだわる「けじめ」

——そのような相談者に対して、どのような助言をされていますか?



「相手を特定しましょう。そして相手に正々堂々と慰謝料を請求しましょう」と伝えます。慰謝料請求や訴訟など、出来うる限りの法的に許される行為を最大限に行うこと。これにより“燃え尽きる”ことが、結果として、お気持ちを癒せることもあるからです。



具体的にはまずは、相手を特定する。次に、慰謝料を請求するため内容証明による通知書を弁護士に発送してもらう。それでも無視をしたり、正当な金額を払わないようなら、慰謝料を請求する訴訟をする。



時間とお金はかかりますし、ご自身にとっても手間はかかりますが、正当な手段により相手に負うべき責任を負わせることができます。自分の権利が守られるのだ、という感覚を感じることができるのではないかと思います。



サレ妻、サレ夫さんたちがよくおっしゃるのが「けじめ」です。不倫相手や配偶者を訴えて正当な法的責任を負わせる手続きをとること自体が、ご自身の中で「ケジメがつく」と感じる方もいるようです。



現在の裁判例では、不貞行為に基づく慰謝料額は数十万円から多くても200万円程度とされています。このような金額では、サレ妻、サレ夫さんたちのお気持ちは癒されないかもしれません。しかし、慰謝料請求や示談、謝罪、訴訟を行うことにより「けじめ」をつけることができる。この効果はとても大きいようですね。



●「相手は反省していない」と思った方がいい

——それでも納得がいかない、と引きずる方もいるようです。



相手の反省が見えない、と感じるのかもしれませんね。それにより二次的に傷つくことは、残念ながらよくあることです。



私がよく相談者に伝えるのは、「不倫相手は慰謝料を払っても、謝罪をしても、誓約をしても、反省をすることなどない」ということ。もちろん例外はあるのですが、これは心に留めておいた方が良いと思います。



なぜなら不倫が悪いことと思っていて、反省や謝罪をするような人なら、そもそも不倫をしないからです。根本的には、サレ妻・サレ夫さんたちと不倫する人とでは考え方や価値観が違うと思っておいた方が良いです。



「相手に自分の気持ちを癒してもらおう」とするのではなく、相手の態度や言動に関係なく、どうしたら気持ちの整理をつけることができるのか、ご自身で考えていただきたいと思います。



仮にそのゴールが相手からの謝罪ではなく、ご夫婦仲を取り戻すことである場合には、再構築のための試みをしていただきたいと個人的には思います。




【取材協力弁護士】
原口 未緒(はらぐち・みお)弁護士
東京弁護士会所属。心理カウンセリング・アカシックリーディングも併用しながら、こじらせない円満離婚の実現を目指します。著書『こじらせない離婚―「この結婚もうムリと思ったら読む本」(ダイヤモンド社)

事務所名:弁護士法人 未緒法律事務所
事務所URL:http://mio-law.com


このニュースに関するつぶやき

  • 「けじめをつける」=「離婚」だと思うんだけど?! 結局、夫とはけじめつけないで、不倫相手に報復したいってだけだよね。夫の不倫だけど、夫は蚊帳の外?!
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