大手キャリアで端末を購入するには、以前は回線の契約が前提でしたが、最近は回線の契約なしに端末を買えるようになりました。しかし、具体的な手順はあまり浸透しておらず、利用している人はまだ少ないようです。
そこで今回は、ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルでスマホを端末のみで購入する手順と注意点を解説します。記事執筆にあたり筆者もキャリアの店舗を回って端末価格を調査しましたが、同一キャリアでも店舗や機種によって価格が異なることに驚きました(価格は4月26日時点の税込み)。
●店舗とオンラインで価格が異なる
ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルは、店舗とオンラインの両方で端末のみが購入できます。回線契約者はもちろん、回線の契約がなくても購入可能です。端末を取り扱っていないpovo2.0やLINEMOのユーザーは、これらを利用して端末を準備しなければなりません。
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では、店舗とオンラインで手数料や端末価格に違いはあるのでしょうか? 調査したところ、端末のみを購入する際は4キャリア全てで店舗もオンラインも手数料はかからないとのことでした。
ただし、端末価格は同じとは限らないようです。例えばドコモ公式サイトを見ると、各端末ページの価格欄の下に「表示価格はドコモオンラインショップの販売価格です。機種の価格は店舗によって異なります」との記載があります。同じくauオンラインショップにも「au Online Shopの販売価格および、割引後の価格情報です。実際の機種代金のお支払額は店舗により異なる可能性があります」とありますし、ソフトバンクにも同様の注意書きがありました。一方、楽天モバイルは公式サポートに問い合わせたところ、店舗とオンラインで販売価格は同一との回答がありました。
そこで今回は4キャリアの店舗を実際に回り、スマホを端末のみで購入した場合の価格と手数料を調べてみました。また、オンラインで端末のみを購入する大まかな手順と注意点もまとめています。
●ドコモで端末のみを購入する方法
店舗とオンラインの価格比較
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ドコモは店舗とオンラインショップの両方で端末のみを購入できます。どちらで買っても手数料は無料ですが、店舗により価格が異なる場合があるようです。そこで、iPhone 15(128GB/256GB/512GB)、Google Pixel 8(128GB)、Galaxy S24について、ドコモ公式オンラインショップと、近隣店舗の端末価格を調べました。
筆者が調査したドコモショップ(路面店)ではiPhone 15とGalaxy S24に頭金として1万6500円が加算されており、オンラインショップよりも高くなっていました。スマホキャリアにおける頭金は、支払額の一部を先払いするという一般的な頭金とは異なり、価格に上乗せされる手数料のようなものです。頭金があることは以前から知っていましたが、今でも残っていることに驚きました。
一方、同じ店舗でもGoogle Pixel 8は頭金が加算されておらず、オンラインショップと同額でした。また、家電量販店内にある別の店舗ではiPhone 15もGoogle Pixel 8もGalaxy S24もオンラインショップと同額でした。どうやら、店舗や端末によって頭金の有無が異なるようです。
店舗は「端末の実機を確認できる」「在庫があれば当日中に持ち帰りができる」といったメリットがありますが、価格は高い可能性があります。店舗で買う際はオンラインショップと価格が同じか必ず確認しましょう。
ドコモオンラインショップで購入する手順
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前述の通り、店舗では場合によっては頭金がかかります。一方、オンラインショップなら頭金はないので、端末はオンラインで買うのがオススメです。ここからはドコモオンラインショップで端末のみを購入する手順を解説します。ドコモでは回線契約なしで購入する端末を「白ロム」と呼びます。実際に手続をしてみるといくつかつまずくポイントがあり、4キャリアの中では最も複雑で面倒でした。
まず、手続きはスマホかカメラ付きのPCで行いましょう。購入にはeKYCによる本人確認でカメラが必要です。筆者はカメラのないPCで手続を始めてしまったため本人確認ができず、最初からやり直しになってしまいました。
PCまたはスマホでドコモオンラインショップにアクセスし購入する端末のページを開いたら、下部にスクロールして「機種だけ(白ロム)購入の場合はこちら 」というリンクを探しましょう。
端末のみ購入にはdアカウントの新規作成が必要です。既にdアカウントを持っている人も、端末購入用に別のアカウントを作成しなければなりません。
dアカウント作成後にパスキーの設定画面が出ますが、パスキーは設定せず、下の「発行したdアカウントでログイン」をタップした方がいいかもしれません。筆者はパスキーの設定に進んだところ、パスキー設定完了後にトップ画面に戻ってしまい、購入手続きが中断してdアカウントの再作成が必要になってしまいました。
その後はeKYCによる本人確認や契約者情報の入力に進みます。途中、SIMの種類を選択する画面になりますが、白ロム購入の場合は「ドコモUIMカード」を選択してください。また、機種の利用方法では「音声通話+データ通信の総合プラン」を選択した上で、プランはeximoを選択します。実際にSIMは届きませんしeximoも契約されないのですが、手続き上選択が必要なようです。この点は非常にややこしいですね。
あとは端末価格と支払方法を確認し、手続きは完了です。端末は自宅だけでなくドコモショップでも受け取ることができます。筆者も先日ドコモオンラインショップでタブレットを端末のみで購入しましたが、途中で何度かつまずいて中断してしまい、そのたびにdアカウントを作成しなおす羽目になったので非常に面倒でした。一度作成したdアカウントはこちらのページから簡単に廃止できるので、もし中断してしまってもすぐに廃止して手続きをやり直しましょう。
●auで端末のみを購入する方法
auも店舗とオンラインショップで端末のみを購入できます。実はauやUQ mobileの契約者は、機種変更するより端末のみで購入した方がお得な場合もあります。auとUQ mobileは店舗でもオンラインショップでも機種変更手数料がかかるのに対し、端末のみの購入なら手数料は無料です。
オンラインショップでは「5G機種変更おトク割」「スペシャルセール」などの機種変更キャンペーンを実施していますが、プランやオプション加入などの条件があるため、割引適用不可の場合は端末のみで購入した方が安いです。au IDを新たに発行する手間はありるものの、手続きはそれほど面倒ではありません。
店舗とオンラインの価格比較
ドコモと同様、auオンラインショップにも「au Online Shopの販売価格および、割引後の価格情報です。実際の機種代金のお支払額は店舗により異なる可能性があります」との文言があったため、店舗の価格を調査しました。筆者が調査した店舗では端末価格はオンラインショップと同額で、頭金もありませんでした。ただし、全ての店舗が同じとは限らないため、必ず価格を比較しましょう。
auオンラインショップで端末のみを購入する手順
auオンラインショップで端末のみを購入するのは簡単です。auやUQ mobileを契約中でも新規でau IDの作成が必要なものの、ID作成後は画面に従って手続きすればあっという間に完了します。
au IDを作成した後はスムーズに購入まで進めました。つまずくポイントもなく、非常に分かりやすかったです
●ソフトバンクで端末のみを購入する方法
ソフトバンクも店舗とオンラインで端末のみを購入できます。ソフトバンク契約者はもちろん、Y!mobileやLINEMOを契約している人もソフトバンクで機種のみ購入して使えます。
店舗とオンラインの価格比較
ドコモやauと同様、ソフトバンクも公式サイトの端末ページに「機種代金は、店舗ごとに異なります。なお、表示価格はソフトバンクオンラインショップおよびソフトバンクショップ(直営店)で購入する場合の価格です」との文言があります。近隣のソフトバンクショップで確認したところ、「端末のみ購入時に手数料はかからないが、機種によっては頭金がかかるため、支払額はオンラインと異なる場合がある」とのことでした。
筆者が調査した店舗のうち、ソフトバンクショップではiPhone 15やPixel 8 Proに1万1000円の頭金が上乗せされていました。また、家電量販店内にある他店舗はiPhone 15とPixel 8は同価格でしたが、Pixel 8 Proは頭金がありました。ソフトバンクも店舗や端末により価格が異なるので、購入時には必ず確認しましょう。
ソフトバンクオンラインショップで端末のみを購入する手順
ソフトバンクオンラインショップは端末のみ購入の入口が分かりにくいです。公式サイトの製品一覧ページを開き、下にスクロールすれば「機種のみ購入」のリンクにたどり着けますが、それよりもGoogle検索から「ソフトバンク 端末のみ購入」などのワードで検索し、「ラインナップ(機種のみを購入するお客様向け)」に遷移した方が早いです。
ただし、入口さえ分かれば、あとの手続きは簡単です。auやドコモと異なり、ID作成やログインがなくても購入できます。ソフトバンクではiPhone 15シリーズが格安で購入できる「新トクするサポート」が話題です。1年後の返却が前提ながら実質負担額はかなり安いので、高性能機種を頻繁に買い替える人は他社を契約中でもソフトバンクで購入するのがいいでしょう。
●楽天モバイルで端末のみを購入する方法
店舗とオンラインの価格比較
楽天モバイルも、店舗やオンラインで端末のみを購入できます。サポートに確認したところ、端末のみで購入する場合も手数料や頭金はかからず、価格も同じとのことでした。実際に筆者が調査した店舗でも全端末で同じ価格でした。
楽天モバイルでは公式サイトや店舗で端末のみを購入できますが、オススメは断然「楽天モバイル公式 楽天市場店」です。価格は公式サイトや店舗と基本的に同じですが、楽天市場店なら購入金額に応じて楽天ポイントが還元される分だけお得です。0のつく日、5のつく日やお買い物マラソン実施中を狙って購入しましょう。
ただし、楽天モバイル公式サイトと楽天モバイル公式 楽天市場店では、まれに価格が異なることがあります。iPhoneは基本的に同じのようですが、Androidスマホは過去に異なる場合がありました。また端末の在庫も同一ではなく、公式サイトで終売になった機種が楽天市場店ならまだ買える、という場合も多いです。念のため、購入前に必ずどちらも確認しましょう。
楽天モバイルで端末を購入する方法
前章の通り、楽天モバイルで端末のみを購入する場合は楽天モバイル公式 楽天市場店がオススメです。端末一覧ページでタブを「単品」に切り替えて購入しましょう。
ただし、楽天モバイル公式サイトにしか在庫がない、公式サイトの方が安い場合もあります。また、買い替え超トクプログラム(2年後の端末返却を前提に約半額でiPhoneが買える仕組み)は楽天市場店では利用不可のため、プログラム利用時は公式サイトで買いましょう。楽天モバイル公式サイトでも、楽天IDでログインすればあっという間に端末のみで購入できます。間違ってプランを契約しないようにだけ気を付けてください。
●4キャリアで端末のみを買うのはお得?
これまでの解説の通り、大手4キャリアでは端末のみを購入できますが、必ずしもお得とは限りません。以前は、キャリアで販売される端末にはSIMロックがあり、Androidスマホは対応バンドも限られたため、SIM回線と端末購入キャリアを合わせる必要がありました。
しかし、最近はSIMロックも禁止されたうえ、Androidスマホでも4キャリアの主要なバンドを網羅している端末が増えてきました。契約がドコモ回線だからドコモ端末しか使えない、といった縛りはなくなったため、さまざまな選択肢を検討しましょう。
iPhoneについてはiPhone 13シリーズ以降とiPhone SE(第3世代)はSIMロックも対応バンドの縛りもないため、一番安いところで買いましょう。ドコモ、au、ソフトバンクの価格は高いので、Apple Storeか楽天モバイル公式 楽天市場店で買うのがオススメです。特に楽天モバイル公式 楽天市場店はポイント還元を含めるとApple Storeより安く買える場合も多いです。
Androidスマホも契約キャリア以外での購入も検討しましょう。4月に発売されたGalaxy S24シリーズのように、ドコモ版/au版よりオープンマーケット版の方が安い場合もあります。また、中古スマホ店ならさらに安く買えるかもしれません。オススメの端末購入方法はこちらの記事にまとめています。
以上、ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルで端末のみを購入する手順と注意点の解説でした。4キャリアともに店舗とオンラインショップの両方で端末のみが購入できますが、購入時は必ず価格を確認しましょう。
著者プロフィール
シムラボ
「シムラボ」は、スマホ料金や端末に関するお役立ち情報を発信する個人サイトです。Y!mobileに乗り換えたことをきっかけに格安SIMのよさに気付き、今では主要な格安SIMは全て契約してレビューしています。モットーは「自分に合うものを、より安く」。
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・サイト:https://www.simlabo.jp/
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