「運動=痩せる」は間違い?医師が解説する、運動とダイエットの落とし穴

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2024年05月29日 14:00  クックパッドニュース

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ダイエットを成功させるためには、運動がとても大切だと思っている人は多いのではないでしょうか。ところが、特にダイエットの初期には積極的に運動をしすぎると逆効果になってしまうこともあるそうです。そこで今回は、ダイエットと運動の関係性について、YouTubeチャンネルの登録者数が37万人を誇る、医師でヘルスコーチの石黒成治先生に教えてもらいました。

運動をすると“ご褒美”を与えたくなってしまう

2016年に発表された「Licence to eat(食べる許可証)」という論文で、運動をすると多くの人は自分に食べる許可を与えてしまうという研究結果が示されています。

この研究では、70名の健康な男女に120kcalを消費する運動をしてもらい、片群には50kcalしか消費していないと伝え、もう片群には265kcalを消費したと嘘の情報を伝えました。

その後、オレンジジュースやチョコレートチップクッキーなどを自由に食べることを許可したところ、265kcalを消費したと言われた人たちは、チョコレートチップクッキーを大量に食べる傾向にあり、より大きなエネルギーを摂取する傾向にあることがわかりました。

より多くのカロリーを使ったと認識した人たちは、より大きな食べる許可を自分たちに与える傾向にあるということが示されています。

運動をして自分はやりきったと感じると、自分にご褒美を与えたくなるということです。

“運動”ではなく“楽しみ”として捉える

2014年に発表された「身体活動のフレーミングがその後の間食に与える影響」という論文もあります。身体活動のフレーミングとは、どのような認識で運動を行ったかということです。

同じ量の運動をするのですが、「景色のいい場所に散歩に行く」と言われた人と、「運動のためにウォーキングに行く」と言われた人に分け、楽しみのためか運動のためか、あらかじめ認識した上で運動をしてもらったところ、運動後の食欲に大きな影響を及ぼしました。

「運動をする」と言われた郡は、「楽しい散歩」と言われた群に比べて、35%くらい多くチョコレートプリンを食べたのです。

体を動かすときに、それが運動であると認識された場合は、自分により多くの報酬を与えたくなる。楽しみという場合には、報酬を与えるモチベーションが湧かないということです。

運動とすると苦行かもしれないですが、音楽を聴きながら歩くなど、楽しみとして捉え直すとストレスが少なくなるので、自分にご褒美を与えるというモチベーションが湧かないはずです。

運動を想像するだけでも食欲が増す!?

運動は苦行なのでご褒美を与えたくなる傾向にありますが、運動のことを考えるだけでも大変な作業をしていると脳が感じて食欲が増すということも示されています。

2011年の論文では、運動に関する身体活動の本を読むだけで、多くの参加者がスナックを食べることを自分に許可するということもわかりました。

失われたカロリーは取り戻さなければいけないという思いが生存本能として出てくるのですが、それが運動という行動に対してはより強く感知する作用があるということです。

これまでも運動はあまりダイエットにはつながらないと言われてきました。実際の運動量以上に痩せることがない。運動量よりカロリー消費分くらいしか体重が減らないということがデータでも示されています。

活動量を増やすと消費カロリーが増えるが、それに伴って摂取するカロリーも増えていく。摂取カロリーと消費カロリーの一方だけをコントロールするのは難しく、お互いに影響を与えながら変化するものなのです。

だから、消費カロリーを運動で増やすと、どうしても食欲が増進するというのは本能的なもので仕方がないのでしょう。

楽しみながら「7000歩歩く」のが最適!

逆に、運動量を減らしていくと食欲も落ちるというのも、実はデータで示されています。なので、運動を減らして食欲を抑えながら、でも多少の運動量は確保することが大事です。

そのちょうどいいバランスを取れるには、運動をせずに7000歩歩くというのが一番の答えのようです。運動のために歩くというより、音楽聴きながらなど楽しみながら7000歩歩くと、ダイエットの初期には一番いいバランスになると言われています。

5000歩以下になると食欲とのバランスが悪くなって体重が増えてくるので、特にダイエットの初期には、運動をしようというよりも、なんとなく7000歩を歩きながら食事のコントロールでダイエットしていくのが一番の近道になるでしょう。

運動による誤った期待で自分がたくさん食べることを許しやすいことを認識しておくべきですし、ダイエットにおける運動はあくまでも補助的なものでメインではないし、余計に食べることを正当化するために使われるのが実情なので注意してくださいね。

(TEXT:山田周平)

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画像提供:Adobe Stock

石黒成治先生


消化器外科医、ヘルスコーチ。
1973年、名古屋市生まれ。1997年、名古屋大学医学部卒。国立がん研究センター中央病院で大腸癌外科治療のトレーニングを受ける。その後、名古屋大学医学部附属病院、愛知県がんセンター中央病院、愛知医科大学病院に勤務する。2018年から予防医療を行うヘルスコーチとしての活動を開始。腸内環境の改善法、薬に頼らない健康法の普及を目的に、メールマガジン、YouTube、Instagram、Facebookなどで知識、情報を分かりやすく発信している。Dr Ishiguro YouTubeチャンネル登録者数は37万人超(2024年1月時点)。

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このニュースに関するつぶやき

  • 結局ダイエットは食事量を減らすしかない。他で補うのは無理。嫌だろうけど避けられんのよ
    • イイネ!7
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