同じような服ばかりが店に並ぶワケ…「好きな色の服が売ってない」どうするべき?

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2024年05月30日 16:20  女子SPA!

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服の色はどのように決まる?
『わたし史上最高のおしゃれになる!』『お金をかけずにシックなおしゃれ』などの著書があるファッションブロガー小林直子さんが、愛用しているアイテムをご紹介します。

◆今の小学生女子の服の色は昭和の子供とずいぶん違う

 長く生きていれば生きているほど、時代によって売っている洋服の色に違いが出ているな、ということに気付くでしょう。パントンが毎年発表する今年の色よりももっと、長いスパンで売られている、時代精神を反映するかのような色があります。

 例えば今の小学生の女子が着ている服の色。明るいけれども、少しグレーがかったパステルのピンク、紫、水色をメインにして、黒や白が入るカラーコーディネートの子たちをたくさん見ます。昭和の子供とは、随分と違う色合いです。

◆服の色はどのように決まる?

 服の色は何で決まるのでしょうか。それは素材である布の色によって決まります。

 市場に出ている服を作っているブランドのほとんどは、生地メーカーから生地を買って服を作ります。ある程度大きいロットのところであれば、別注でオリジナルの素材や柄、色を作ることもありますが、ほとんどのブランドは生地メーカーが提案している生地見本の中から素材を選びます。

 そのため、あちらのブランドとこちらのブランド、全く同じ素材、同じ色のものがある、ということがよく起こります。なぜなら原材料の素材の仕入れ先が同じところだからです。

 では生地メーカーはその素材の色をどのように決めているのでしょうか。

 これはメーカーによってさまざまだと思いますが、資料としてパントンのようなトレンド予測会社が発行するトレンドカラーブックを参考にするところが多いでしょう。大手の素材メーカーであれば、何かしらのブックを参考にして、次のシーズンの色出しを考えるだろうと予測します。

 トレンド予測会社はそれぞれ独自の方法論でもって次のトレンドを予測します。当然のことながら、その方法については秘密です。秘密であるだけでなく、これらのブックは高額です。予測は高等技術なので、安く売ることはありません。

 多くの生地メーカーが同じトレンドカラーブックを参考に素材の色出しをするために、同じ時期に似たような色が市場に出回ることになります。次に、この生地を買ったブランドが作った服が店舗に並びます。

◆私の好きな色はどうなるの?問題

 もちろんどんなにトレンド予測会社が「次シーズン、この色が流行りますよ」と言っても、生地メーカーがそれを取り入れなければ、あるいは生地ができたとしても、消費者が買わなければ、その色は流行りません。長い期間、売られ続けている色があるとすれば、それはそれなりに売れている色であると考えていいでしょう。

 そして、そんな色は時代によって徐々に変化していくので、いつの時代も同じ色の服が売られているわけではないのです。服の色というものは、色画用紙のように常に何種類もの色が売られているようなものとは違います。

 では、“私の好きな色はどうなるの?”という問題です。どんなに自分がある色を好きでも、またその色が自分に似合うと考えていても、その色の生地が作られていないときがあります。

 白、黒、ベージュ、ネイビーが売られていない時期はほぼないと考えていいですが、それ以外の色であったら、微妙な色彩の色であればあるほど、売られていない時期というものがあると考えていいでしょう。

 ちなみに私が好きなのはシャルトリューズという、フランスのお酒から名前が付けられた黄緑色。小さいころからこの色が大好きで、自転車でさえ、この色を選んでいました。

 シャトルリューズは微妙な黄緑色です。こだわればこだわるほど、その色のものはありません。

 私の記憶では、1990年代はコートやシャツ、靴にバッグと、多くのシャトルリューズのアイテムが売られていました。しかし、この20年ほど、この色の流行は去り、さっぱり見なくなってしまいました。

 そのため私もここ20年ぐらい、この色のものを文房具以外では買っていませんでした。いくら好きでも売っていないものは買えません。

◆ビビッドなグリーンが流行ってきて2021年以降、緑系の色が復活

 シャトルリューズだけではなく、この20年余りの間、多くの微妙な色合いの緑色が市場から姿を消しました。ミリタリーウエアに使われるカーキ以外では、緑色の服を見ない時期が長く続いたと思います。

 それに変化があらわれ出したのがボッテガ・ヴェネタのクリエイティブディレクターだったダニエル・リー(もう既に退任)が2021年にボッテガヴェネタグリーンを提案してからです。このビビッドなグリーンが流行ってきてから、徐々に緑系の色が復活してきました。

 まだまだシャルトリューズは市場に多く出回っていませんが、徐々にふえてきたのは確かです。こちらのガラスのリングも、インスタグラムのアカウントを見つけてから、この色が出るまで待ってから買いました。

◆好きな色を身に着けるのは気分がいいもの

 流行っていようがいまいが、好きな色があって、それを身に着けるのは気分がいいものです。

 自分が好きな色が流行っているときは目いっぱいそれを楽しむ。流行っていないときは、ひそかに楽しんで次に出てくる機会を待つ。

 好きな色にこだわりつつ、こだわり過ぎない。売っていないときもあるものです。好きになり過ぎないのがポイントです。

◆筆者私物
ガラスのリング/ito moku
ネイル/Yobigoe OSAJI

<文/小林直子>

【小林直子】
ファッション・ブロガー。大手ブランドのパターンナー、大手アパレルの企画室を経て独立。現在、ファッション・レッスンなどの開催や、ブログ『誰も教えてくれなかったおしゃれのルール』などで活躍中。著書『わたし史上最高のおしゃれになる!』など。

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