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◆Frank Sinatra「Violets For Your Furs」
◆John Coltrane「Violets For Your Furs」
フランク・シナトラが「Violets For Your Furs(コートにすみれを)」を歌います。1941年にシナトラの歌でオリジナル・ヒットしましたが、これはシナトラが1954年にキャピトル・レコードのために再録音したものです。1941年当時、シナトラとマット・デニスは、ともにトミー・ドーシー楽団に属していました。シナトラは歌手として、デニスは作曲家兼ピアニスト兼アレンジャーとして雇われていました。当時のドーシー楽団にはシナトラとジョー・スタッフォードという強力なシンガーが揃っていたので、デニスの歌手としての出番はありませんでした。
「雪のちらつく冬のマンハッタン。でも君の毛皮のコートにつけるために、スミレの花を買ったら、とたんにあたりは春のようになってしまった」という歌です。この曲はジョン・コルトレーンも取り上げて有名になりました。まずシナトラの歌で聴いて、それから途中でコルトレーンの演奏に切り替えます。
◆The Pied Pipers「Let's Get Away From It All」
これは前にもこの番組でかけた記憶があるんですが、まあずいぶん前のことなので、またかけますね。パイド・パイパーズの歌う「Let's Get Away From It All」。
トミー・ドーシー楽団が抱えていた男女混合のボーカル・グループです。とても洒落たモダンなハーモニーで、一世を風靡(ふうび)しました。当時の人気バンドは実に大がかりなビッグ・ビジネスだったんですね。バンドの演奏者たち、男女の歌手、ボーカル・グループ、アレンジャー、作曲家、みんな丸抱えして全米を移動していました。とくに人気のある歌手を抱えているか、いないかは、バンドの人気に大きく作用しました。これはドーシー楽団の解散後、1957年にパイド・パイパーズがステレオで再録音したものです。
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◆Diana Krall「The Night We Called It A Day」
次は「The Night We Called It A Day」、これもいかにも都会風、小洒落(こじゃれ)た歌です。1941年にフランク・シナトラが歌ってヒットしました。この年にはドーシー楽団は、マット・デニスの提供した曲を14曲もレコーディングしています。デニスさん、絶好調だったんですね。
シナトラはドーシー楽団でもこれを歌っていますが、それとは別に自己名義の録音も残していて、これがシナトラにとっての記念すべき初ソロ・レコーディングになっています。
この「The Night We Called It A Day」というタイトルは日本語に訳すのがとても難しいです。“call it a day”というのは英語の慣用句で、「もうおしまいにする」「ここらで切り上げる」という意味なんです。だから正確に訳すと「これでもうおしまいにしようと僕らが言った夜」ということになります。Night(夜)とDay(昼)、言葉をひっかけた遊びなんですね。
ダイアナ・クラールがピアノの弾き語りで歌います。そういえば彼女も弾き語りの名手ですね。
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5月26日(日)放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 6月3日(月)AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:村上RADIO〜マット・デニス・ソングブック〜
放送日時:2024年5月26日(日)19:00〜19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/
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