ダルビッシュ有は到達、田中将大も目前の「名球会」入会基準に歪みと安売り化の懸念

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2024年05月31日 12:01  日刊サイゾー

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ダルビッシュ有(写真/Getty Imagesより)

 ダルビッシュ有が、また1つ新たな金字塔を打ち立てた。

 19日のブレーブス戦で勝利投手となり、日米通算200勝を達成、名球会入会の条件をクリアした。日米を股にかけた200勝到達は野茂英雄、黒田博樹に次いで3人目。この後は田中将大が日米通算197勝で、200勝は目の前だ。

「名球会入りの基準は、かつては200勝か2000安打でしたが、抑え投手の重要性が認められ、2003年に250セーブを追加。さらに『日米通算』という項目も追加され、現在の会員は79名です。プロ野球選手が受ける栄誉としては『野球殿堂入り』がありますが、名球会入りはそれに並ぶもの。メディアでの取り扱いも非常に大きく、プロ野球選手なら誰もが目指す目標です」(週刊誌プロ野球担当記者)

 名球会はただの親睦会に留まらず、プロ野球の普及や指導、被災地支援、チャリティなど、幅広く活動。その意義は大きいが、メンバーになるための基準は、かねてより不平等だという声が絶えない。

「名球会が創設された1970年代は、エースは中3日か4日で投げるのが当たり前。必然的に勝利数も増え、200勝は1流の基準として妥当でしたが、その後、先発投手は間隔を空けて登板するのが常識となり、200勝クリアのハードルが非常に高くなっています。実際、2000年以降の200勝は工藤公康、野茂英雄、山本昌、黒田博樹に今回のダルビッシュを加えたわずか5人。一方、2000安打は33人もいます。

 最も楽なのは250セーブでしょう。セーブ王は毎年40セーブ前後の数字を上げるので、強いチームで6〜7年、抑えを続ければクリアできる数字。ソフトバンクで活躍したサファテはピーク時の4年間で175セーブを上げましたし、松井裕樹(パドレス)も日本にいれば、20代でクリアできたでしょう」(同上)

 そこで名球会も一計を案じ、手を出したのが「特例枠」の導入だ。上原浩治と藤川球児は、共に200勝にも250セーブにも届いていないが、彼らは立派な名球会会員だ。

「プロ野球のあり方がどんどん変わり、投手の中には先発、中継ぎ、抑えと、いろいろなポジションで活躍する選手が登場。そういった選手も評価すべきという声が上がり、準ずる成績を残したということで、上原と藤川の入会が認められました。ただ、スポーツは数字が絶対。“準ずる”という魔法の言葉で特例が認められるなら、191勝で辞めた松岡弘、2000本まで100本足らずで辞めた井端弘和や谷佳知はどうなるのかという問題が出てきます。

 それなら基準を下げれば良さそうですが、現会員たちとしては、名球会の価値が下がるようなことはやりたくない。だからといって特例を上原と藤川の2人だけにすれば禍根は残る。特例はどんどん適用範囲が広がりかねず、手を出してはいけない“禁断の果実”だったんです」(ベテラン野球ライター)

 1勝や1本のヒットがどれだけ価値があるかは、彼らが一番理解しているはず。そもそも名球会には誕生時から胡散臭い経緯があった。

「創設にあたり、入会基準には『昭和以降生まれ』という項目が設けられました。これは川上哲治や別所毅彦といった大正生まれの大御所を排除するため、創設の音頭を取った金田正一が強硬に主張したもの。名球会の事務局もかつては金田の個人事務所内にあり、実質的に“カネヤンの会”だったんです。そんなこともあり、名誉ある会でありながら、落合博満は入会を拒否しましたし、堀内恒夫と谷沢健一は退会しています。

 かつて名球会の総会で、野茂英雄が『名球会は何をする組織なのか?』と問題提起し、騒動になったことがありました。表向きは社会貢献を謳(うた)いながら、実際にはゴルフをやって飲み会をやって終わりという状況に異を唱えたのです。ただの親睦団体のままでも、“部外者”のファンがとやかく言う権利はありませんが、せっかくレジェンドが集まっているのですから、もっと積極的に社会貢献や野球普及の方向に舵を切っても良いのではないでしょうか」(同上)

 ブレザーを着るのがゴールでは寂しすぎる。

このニュースに関するつぶやき

  • 落合は「カネヤンの会」を嫌ったと考えていいけど、谷沢と堀内を並べるのはどうかなぁ? 社団法人になった時に金田自身が退会して、谷沢も同じタイミングで退会してる。文章校正力が下手w
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