星野源と太田光の“言葉の力”が光った火曜深夜 それぞれが深夜ラジオで語った思いが、局の垣根を超える

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2024年05月31日 12:30  ORICON NEWS

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(左から)星野源、太田光 (C)ORICON NewS inc.
 「助けてくれー!」。爆笑問題の漫才で勢いよく舞台に飛び出してきた太田光が、冒頭でいつも観客に向かって叫んでいるが、そんな気持ちを抱えたまま、火曜の深夜にラジオを聞いていたリスナーも多かったのではないだろうか。自身の心の中にも、その思いを抱えていたであろう星野源は、まずは自らの言葉で、それから妻である新垣結衣と電話をつなぎ2人で、降って湧いた“憶測”をきっぱりと否定して、やさしく呼びかけた。「ファンのみんなありがとうね。信じないでくれて、本当にありがとう」。ニッポン放送が“異例の夫婦共演”に揺れる中、TBSラジオでは、太田が同じ時代を生きてきた“漫才師”にエールを送っていた。「玉!元気出せよ!」。

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■星野源「もう二度と、あんな気持ちにはなりたくない」 夫婦でファンに感謝

 28日深夜放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』(毎週火曜 深1:00)の冒頭。星野は「きょうはこのお話からしたいなと思うので」と切り出し、息をスッと吸い込んだ。「先週、水曜日の夜に起きたことを、みなさんも知っているかと思います。僕はあの日、晩ごはんをお家で食べて、その後に食器洗って、オフィシャルのインスタグラムをやっているので、何気なく見ていたら、ものすごい数の誹謗中傷が、ウワーッとあって。その直後、マネージャーから連絡があって、把握しました」。それから、大きくため息をつくと、強い口調で訴えた。

 「100%やっていないことで、事実がひとつもないことで、日本中から憎悪を向けられた感覚になったんですよね。その経験は今まで一度もなくて…、本当に恐ろしかったし。そして、自分以外の妻も含め、仕事仲間とか、きっと今つらい思いをしているだろうなと思うと、本当に悲しかったです。なんというか、とても悲しかった。もう二度と、あんな気持ちにはなりたくないなと、本当に心から思います」

 星野が、SNSで広がった自身の背中を押すようなファンの動き、仲間たちの反応に感謝する中で、ひとりでやっているラジオにもかかわらず、唐突に「本当にさ、ありがたかったよね?」と呼びかけた。すると、電話越しに「ありがたかったね〜」と女性の声が反応し、その声の主が新垣であることがわかり、結婚後初となる“夫婦共演”が実現。そして、新垣の口からも、今回の件についての思いが伝えられた。

 「今回のことで、うわさされていること、騒がれていることに事実はひとつもありません。なので、安心してもらいたいなという気持ちで、お邪魔しました。私が今回つらかったのは、もちろん、こういうことが起きてしまったこと自体もつらかったんですけど、先ほど、源さんが言ったみたいな誹謗中傷、攻撃を受けて(星野が)つらい思いをしている姿をとなりで見ているのが本当につらくて。もう二度とこういうことが起きてほしくないと思ったし、こんな思いになりたくないなと思ったし。誰の身にも起きてほしくないと思ったので、それを願っております。私も話す場がないので、心配かけることがあるかもしれないですけど、大丈夫です」

 新垣の出演後には通常運転となったが、エンディング前に流れた曲はビートルズ「All You Need Is Love」。続けてエンディングトークでは、星野が「きょうは本当にありがとうございました。冒頭、結衣ちゃんと電話でつないでお話できて、その後いつものようにみんなで楽しいラジオをすることができて、本当にうれしかったです。本当にありがとうね」と呼びかけながら「これ読めるかな?」と、リスナーから寄せられたメッセージを読み上げていった。星野はそのメッセージを受け止めながら、言葉に力を込めた。「現実を忘れるような、楽しいラジオを、これからもやっていきたいなと思います」。

■太田光の愛ある一喝 局のボーダー超えて「助けられた」火曜深夜

 一方、真裏のTBSラジオ『火曜JUNK 爆笑問題カーボーイ』(毎週火曜 深1:00)。太田が、“永遠のライバル”浅草キッド・玉袋筋太郎の新刊『美しく枯れる。』について語っていた。同書の解説は、次のようなものとなっている。「2020年、オフィス北野から独立しフリーに。兄弟弟子である『たけし軍団』から離れ、『浅草キッド』の相棒である水道橋博士、師匠であるビートたけしとの距離も遠のいた。初孫という新しい命に喜びを感じながらも、母親は認知症を患い施設に入った。長年連れ添った妻は、ある朝、家から出て行った……」。

 そんな同書を読んだ太田は「ここ数年の玉袋、いろいろ激動だったんだよ。自分が何を思っていたかみたいなのを書いているんだけどさ…、まぁーとにかく泣き言ばっかり!元気出せ、お前は!」と一喝。さらに「もう、さみしいんだよ。弱気なんだよ。若い頃、あんな無鉄砲なヤツ、いなかったよ」と振り返りながら、背中を強く押すエールを送った。

 「いろんなことがあったんだよ。それはわかるけども。(同書の中で)『一番つらいのは、自分が漫才師だって言っていたのが誇りだったけど(活動休止中だから)言えない』って書いてあったんだけど、言えばいいじゃねーかバカヤローって思うんだよ。だって、別に解散したわけじゃねーんだから、漫才師って名乗ればいいのに。アイツも、チマチマ考えているんだよ(笑)。無鉄砲だったヤツが、弱気になっちゃって。だって、70だって80だって、博士が生きている限り漫才をやろうと思えばできるだから『お前も生きてろよ』っていう話なんだけど」

 タレントの優木まおみが悩んでいた時、田中裕二がかけたという名言「ボーダー超えちゃえばいいじゃん」よろしく、これまでの因縁などを乗り越えて、太田から玉袋に贈られた言葉は、お笑い界の“星座”として燦々(さんさん)と輝くものとなるだろう。

 星野も太田も、自らに何かが起きた際には、必ず自身のラジオで「言葉」を尽くして思いを伝えてきた。心の中だけに留まらず、ネット上にウイルスのように広がっていく落書きを前に、星野は新垣とともに真摯に強くメッセージを送った。「未来はいつも面白い」を座右の銘としている太田もまた、自身の言葉で玉袋にエールを送ると、茶目っ気を交えて「偶然、オレも最近『芸人人語』っていう本を出したんだよ。玉、オレ褒めたよね(笑)?頼むよ」とプロレスを仕掛ける。いい意味での「くだらない」を毎週のラジオで伝える星野と、「助けてくれ!」といつも叫んでいる太田が紡いだ言葉に、ふっと気持ちが軽くなり、局の垣根をこえて「助けられた」火曜深夜だった。
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