劇場版『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』藤本侑里×上坂すみれ×小倉唯×福嶋晴菜「それぞれのウマ娘が切り開いた“新たな可能性”」

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2024年05月31日 14:10  クランクイン!

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クランクイン!

劇場版『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』インタビューより(左から)福嶋晴菜、藤本侑里、上坂すみれ、小倉唯  クランクイン! 写真:吉野庫之介
 大ヒット公開中の映画、劇場版『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』。初の劇場版となる今作では、藤本侑里演じるジャングルポケットを主人公に、同世代のライバルたちと切磋琢磨する新たな物語が展開される。クランクイン!では、メインキャストである藤本侑里(ジャングルポケット役)、上坂すみれ(アグネスタキオン役)、小倉唯(マンハッタンカフェ役)、福嶋晴菜(ダンツフレーム役)による座談会を実施。公開後だから語ることのできるキャラクターへの熱い愛情を存分に語ってもらった。

※映画の内容に関するネタバレを多く含みます。読み進める際にはご注意ください。

【写真】藤本侑里、上坂すみれ、小倉唯、福嶋晴菜のインタビュー撮り下ろしが満載!

■劇場版で描かれるゲームとは違った一面

――それぞれが演じるジャングルポケット、アグネスタキオン、マンハッタンカフェ、ダンツフレームの魅力に感じる部分、演じる際に意識していることは?

藤本:私がとくに好きなのは、ポッケ(ジャングルポケット)の仲間思いなところですね。劇場版でもタキオン(アグネスタキオン)たち同世代との絆を大切にしていたり、フリースタイル・レース時代から一緒につるんでいたルー、シマ、メイも、いつも彼女のことを慕っていたりと、自然と周りに人が集まるような魅力を持っている子なんです。

今作でそんな彼女を演じるにあたり、音響監督さんからは「すぐそこにいるような、劇場版ならではの“実在感”を出してほしい」というディレクションをいただいたので、私自身ではなく、完全にポッケ自身としてマイク前に立つことを意識してアフレコに臨みました。

上坂:タキオンは、ゲーム内では研究熱心で知的好奇心の塊みたいな子で、生活面のことは全部トレーナーに任せているというクレイジーさと可愛らしさが魅力的なキャラクターなのですが、劇場版ではトレーナーの存在が描かれていないこともあり、“孤高のマッドサイエンティスト”のような一面が際立っていて。

そのため、ゲームでのタキオンとは別軸として考え、ポッケが食らいつきたくなるような強者感や、手を伸ばしてもスッと避けられてしまうような得体の知れなさを前面に出しています。一方で、旧理科準備室をシェアしているカフェ(マンハッタンカフェ)にはちょっと甘えるような一面もあったりするので、そんな彼女の内面がはっきりと伝わるように意識して演じました。

小倉:カフェは、ほかの明るくてカラフルなイメージのウマ娘たちと比べると、独特のミステリアスなオーラが際立っていて、我が道を行くオリジナリティーのあるキャラクター性が魅力です。一見不思議な子に見えるんですけど、内面はとてもしっかりしていて、根気強く、ゲームではトレーナーに対する執着心も強い、とてもまっすぐな子なんです。演じるときもそんな彼女ならではの空気感や世界観が漂うように意識しています。

とくに今回の劇場版では、周りには見えない「“お友だち”に追いつきたい」という目標に向かって内面をメラメラと燃やすようなシーンや、心を許しているタキオンにあえてちょっと冷たく接してみたりするシーンなど、彼女のさまざまな一面が垣間見えて嬉しかったです。

福嶋:ダンツ(ダンツフレーム)は、普段は温厚で、1歩後ろからみんなのことを見守っていて、誰かから頼られるとついつい引き受けてしまうような心優しい性格なのですが、レースで見せる「わたしが勝って真ん中に立つんだ」という熱い闘争心も併せ持つ、そんなギャップが魅力的なウマ娘なんです。

演じるのは今作がほぼ初めてだったこともあり、アフレコの中で作り上げていった部分が大きかったのですが、ポッケたち同世代3人の輝きを目の当たりにしても、それをネガティブに捉えるのではなく、「わたしも頑張るんだ!」と前向きに考えられる子なので、その彼女のひたむきさがより引き立つよう心がけて演じました。


■キャラクターの視点によって変わる心情の捉え方

――収録でとくに印象に残っているシーンは?

福嶋:私はポッケの雄叫びのシーンがとくに印象深いですね。収録時、藤本さんがアニメと同じように上半身を反らしながら拳を握って叫んでいる姿が本当にポッケとシンクロして見えて、すごくカッコよかったです!

藤本:ありがとうございます!

上坂:すごいなと思ったのが、史実の日本ダービーでも「ジャングルポケットの勝利の雄叫びか!」という実況があったんですよね。今回の劇場版ではそこにタキオンとのドラマも描かれていることもあり、どこか虚空に向かって吠えるようなむなしさも音声から伝わってきました。

藤本:やはり当時を知っている方や競馬ファンのみなさんにとって「ジャングルポケットといえば」というシーンであり、そこを決めなければこの役を演じる意味がないという気持ちで臨んでいたので、そう言っていただけてすごく嬉しいです。

――あの雄叫びは今作の代名詞とも言えるシーンですよね。小倉さんはいかがですか?

小倉:私はタキオンがレースへの出走を無期限休止すると宣言をした後、旧理科準備室でポッケとタキオンが互いの想いをぶつけ合うシーンがとくに印象的です。アフレコ現場で2人のお芝居を生で聴くことができて、その段階から心に響いていたのですが、完成したアニメーションを見たときに、部屋の空気感や夕陽の色味なども相まって、よりリアルで素敵なシーンに感じました。

藤本:あのシーンでポッケが部屋から出ていった後、その場に一緒にいたダンツとカフェもそれぞれの想いをタキオンにぶつけていたのも胸に迫るものがありましたよね。

小倉:そうだね。本当にどのキャラクターの視点に立つかで、捉え方も受け取り方も変わるシーンだと思うので、いろんな視点から何度でも見ていただきたいですね。

――また、フジキセキ、テイエムオペラオー、ナリタトップロードなど、さまざまなウマ娘も登場する今作ですが、とくにお気に入りのキャラクターは?

藤本:私はテイエムオペラオーですね。前年に年間無敗を達成し、誰がこのウマ娘に勝てるのか……という圧倒的な強者のオーラを放っていて、予告でテイエムオペラオー役の徳井青空さんのお芝居を聴いたときは鳥肌が止まりませんでした。また、アニメ『ウマ娘 プリティーダービー ROAD TO THE TOP』のその先を今作で見ることができて、いち『ウマ娘』ファンとしてもすごく嬉しかったです。

福嶋:私はフジキセキです。彼女がポッケと一緒に走るシーンは、いちトレーナー目線からも本当に胸が熱くなりましたし、ウマ娘の走らずにはいられない本能が感じられて。ポッケとフジ(フジキセキ)さんとタナベトレーナーの3人での掛け合いは、この劇場版の空気感を象徴するものだと感じました。

上坂:私はルー、シマ、メイのトリオが出てくるたびに癒しパワーを感じていました。どんなにシリアスなシーンでもこの3人が出てくると場が和むので、作品になくてはならない存在なんだなと思いましたし、本当に愛おしいキャラクターなので、いつかゲームのサポートカードで実装してほしいですね。

小倉:私のお気に入りは少し角度が違うんですけど、実況の泉本(奈々)ちゃんです。演じている本泉莉奈ちゃんとは他作品で共演する機会も多いのですが、レース中の臨場感や後半にかけて白熱する展開をテンポの良い実況で引き立てていて、彼女のプロ根性を感じましたし、この“実況”というお芝居が光るのも『ウマ娘』ならではの魅力だと思いますね。


■それぞれのウマ娘が切り開いた“新たな可能性”

――競馬に関する史実と重ねて作品を見たとき、とくに感動したことは?

藤本:ジャングルポケット号が出走した2001年の日本ダービーの実況で解説されていたのですが、馬主さん、調教師さん、厩務員さん、そして角田晃一ジョッキー含め、クラシック前に屈腱炎を発症し涙をのんだフジキセキ号とまったく同じチームでダービーを制覇したという関係性が、今回の劇場版でポッケ、フジさん、タナベトレーナーの3人のチームのドラマとして描かれていて、とても感動しました! あとは、同年の皐月賞ゲート入り前の「速くなければ戦えない、強くなければ越えられない」という実況も、耳に残るリズム感も相まってすごくカッコいいんですよね。

上坂:作中でもオマージュされていますけど、あの実況を聴きながらゲートインするのって、ハードルを上げられている感じがして、すごく緊張しますよね(笑)。

藤本:劇場版の実況もこだわって録っているからこそ、なおさらそのリンク性を感じましたよね。

上坂:私もテイエムオペラオー号が年間無敗を決めた2000年の有馬記念の「テイエムは来ないのか? テイエムは来ないのか? テイエム来た! テイエム来た!」という実況を聴きましたが、かじりつきたくなってしまうほどの名調子がとても印象的でした。

――本当に気持ちが高ぶる実況ですよね。また、タキオン目線ではいかがですか?

上坂:タキオンは史実でも無敗で、実際に走っている姿もすごく優雅なんですよ。最後のレースとなった皐月賞での「アグネス、アグネス、大丈夫!」という実況もすごく印象的で、今作でも「大丈夫」という言葉が使われていましたが、これからを期待されていたからこその切なさをそのセリフの中に感じて……。だからこそ、劇中で最後のIFの実況が流れたとき、彼女も新しい可能性を切り開くことができたのかなと思うことができましたし、これからもゲームで何回も育成しようと思いましたね。

――そうしたIFストーリーが素敵なところも『ウマ娘』の大きな魅力ですよね。小倉さんはいかがですか?

小倉:カフェは劇中の前半体調が悪いシーンが多くて、私も演じていて辛く、その期間にあたる史実のレースを見ていても込み上げてくるものがあったのですが、そこからGI初勝利を収めた菊花賞を皮切りにものすごい快進撃を見せて。今回の劇場版では、最後のシーンで「追いついてみせます」というセリフを言うんですよ。きっとそこから彼女は自分の目標を叶えていったんだと思うと、改めて感動的なシーンだなと感じますし、史実を知っているファンの方にはまた違った目線から感情移入していただけるのかなと思います。

――福嶋さんはダンツフレーム役として携わったことで、感じたことはありますか?

福嶋:私は競馬にはまだまだ詳しくはないものの、今回ダンツフレームを演じさせていただいたことで、ピンクの面子や勝負服の市松模様を見ただけでテンションが上がったり、昔のレースシーンを見ていても「ダンツがんばれ! ダンツがんばれ!」という気持ちが込み上げてきて。劇中でも、ダンツの「わたしが勝つんだ!」という想いや、ポッケの「タキオンを超えてやる!」という想いが描かれていますが、もしかしたら、本物の競走馬たちもそんなことを考えていたのではないかと思うと、感慨深いものがありますね。

――最後に、各ウマ娘の注目してほしいポイントも含め、ファンのみなさんへメッセージをお願いします。

藤本:ポッケ目線からは、やはりフジさんとタナベトレーナーとのチーム感が注目ポイントです。落ち込んでいたポッケが立ち直るきっかけをくれたフジさん、そんなポッケを見て決意を新たにしたフジさん、そして彼女たちの想いを受けて前向きな気持ちを取り戻したタナベトレーナー。この3人の互いに作用しあう尊い関係性にぜひご注目ください!

上坂:普段ハイライトがない目をしているタキオンですが、最後のジャパンカップのとあるシーンで、そんな彼女の目にキラキラとした光が宿る描写があるんです。きっと長くタキオンのことを応援してくださっているトレーナーのみなさんには、それがタキオンの新しい可能性が開いた瞬間なのだと感じていただけると思います。劇場を後にするときには、ポッケのように“ニヤリッ”とした表情になれるような喉越し爽やかな映画になっていますので、ぜひたくさんの方に楽しんでいただけたら嬉しいです。

小倉:タキオンに見せる少し呆れた表情や、耳の動き方、部屋の装飾に至るまで、今回の劇場版には私自身も初めて知るようなカフェの情報がたくさん詰まっていました。一瞬ではありますが、レース中に彼女が追いかけている“お友だち”も描かれていたりするので、そうしたアニメーションならではの部分や、なによりここまで彼女が動いている姿を見ることができるのはとても貴重な機会だと思うので、細かな描写やセリフに注目しながら見ていただきたいなと思います。

福嶋:キャラの発表から劇場版公開までの期間が短かったダンツですが、劇中では「私も勝ちたい」という彼女の熱い信念が描かれています。まだダンツのことをよく知らないというトレーナーさんにも、レースにかける彼女の真剣な想いや普段の可愛らしい一面に触れていただきたいと思いますし、この4人の世代のみならず、たくさんのウマ娘が作中に登場するので、ぜひ色々な視点に立ちながら何度でも劇場へ足を運んでいただけたら嬉しいです!

(取材・文・撮影:吉野庫之介)

 劇場版『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』は、全国公開中。

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