安田記念は強力・香港馬参戦で混戦ムードに拍車 一発あるなら実績馬と未対戦の「上がり馬」

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2024年06月01日 07:20  webスポルティーバ

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ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

――東京競馬場でのGI5週連続開催も、はや4戦が終了。ここまで、上位人気馬がワンツーフィニッシュを決めたレースが2戦、波乱の決着となったレースが2戦と、両極端な結果が交互にきています。

大西直宏(以下、大西)力関係がはっきりしていると思われたGIヴィクトリアマイル(5月12日/東京・芝1600m)とGI日本ダービー(5月26日/東京・芝2400m)が波乱の決着になったのは意外でした。ヴィクトリアマイルは、人気馬たちが不利にあって力を出しきれず、ダービーは超スローの展開が波乱を生む要因になったのではないでしょうか。

 広い東京コースなら、各馬が能力を発揮しやすいというイメージがありますが、多頭数の競馬だと、馬群が密集してスムーズに走れなかったり、想定外の展開になったりと、難しい競馬になりやすいものですね。いずれにしても、GIで好結果を出すには、鞍上がミスなく、うまく乗ることが必須だと感じました。

――そして今週は、東京でのGI5週連続開催の最終戦、上半期の「マイル王決定戦」GI安田記念(6月2日/東京・芝1600m)が行なわれます。下馬評では混戦模様となっていますが、出走メンバーをご覧になっての印象はいかがですか。

大西 国内のマイル路線はグランアレグリアが引退して以降、確たる主役が不在で混戦ムードが続いています。そうした状況のなか、今回は実績十分の香港馬が2頭、ロマンチックウォリアー(せん6歳)とヴォイッジバブル(せん6歳)が来日して参戦。混戦状態に、ますます拍車がかかった印象があります。

 また、この週末は天気が微妙。馬場状態が読みづらく、馬券予想は一段と難解を極めそうです。これまでに行なわれた東京でのGI4戦に比べても、最も見通しが不透明で、基本的には波乱含みの一戦だと考えています。

――レースを占ううえでは、香港馬2頭の扱いがひとつのポイントになりそうですが、これら2頭について、どんなイメージをお持ちですか。

大西 香港馬全般に言えることですが、馬場が悪化してパワーが必要とされる競馬になった場合は、より強さを発揮するイメージがあります。

 香港のシャティン競馬場は洋芝のため、日本で言えば、函館や札幌に近い馬場です。そこで結果を出している馬たちなので、レコードを更新するような超高速馬場よりは、適度に時計がかかってタフな馬場のほうが走りやすいと思います。

 ですから、馬場が悪化すればするほど、香港馬のチャンスは膨らむのではないかと見ています。一方、迎え撃つ日本馬としては、できるだけ1分32秒台以下のタイムが出る高速馬場が維持された状態でレースを迎えたいところでしょうね。

――その日本馬たちの力関係はどう見ていますか。

大西 今年は3歳馬の参戦がないため、力関係はある程度、明確になっていると思います。昨年の安田記念やGIマイルCS(京都・芝1600m)で上位にきている、セリフォス(牡5歳)やソウルラッシュ(牡6歳)、ナミュール(牝5歳)、ガイアフォース(牡5歳)らは、現在のマイル路線においては上位の存在です。

 ただ、これらは実力が拮抗しているため、馬場状態や展開ひとつで着順がコロコロ変わります。調教の動きや枠順などを踏まえて、レース直前までこれらの取捨には頭を悩ませそうです。

――では、こうした実績馬や強力な香港馬を脅かしそうな存在、大西さんが気になっている伏兵馬がいたら教えてください。

大西 ここまでに名前を挙げた馬たちと一度も対戦がない"上がり馬"、パラレルヴィジョン(牡5歳)が気になりますね。

 もともと名門・国枝栄厩舎で高い評価を受けていた好素材で、3歳秋には「菊花賞の秘密兵器」と言われていたようです。実際、デビュー3戦目でGII神戸新聞杯(7着。中京・芝2200m)に挑んだほどで、厩舎の期待もそれだけ大きかったのでしょう。

 そんな期待馬が3勝クラスで足踏み。オープン入りを決めたのが、ダート戦だったのは予想外でしたね。それでも、今年に入ってからは芝のマイル戦を使われて2連勝と軌道に乗ってきました。

 ダートも含めて1600m戦では3戦全勝。この距離に適性が高いのは間違いありません。さらにここに来て、行きっぷりよく好位が取れるようになってきました。そこは、成長の証。まさに今、本格化を迎えているのではないでしょうか。

 国枝厩舎は今回、フィアスプライド(牝6歳)との2頭出しになりますが、クリストフ・ルメール騎手は自身が騎乗してヴィクトリアマイルで2着となった同馬を手放して、パラレルヴィジョンを選択。この馬の未知なるポテンシャルを、それだけ高く買っている証拠でしょう。

 ということで、安田記念の「ヒモ穴馬」にはパラレルヴィジョンを指名したいと思います。

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