生田斗真×ヤン・イクチュン、互いに刺激を与え合った『告白 コンフェッション』

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2024年06月01日 08:30  ORICON NEWS

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生田斗真、ヤン・イクチュン (C)ORICON NewS inc.
 親友と雪山で遭難。死を覚悟した男は「最期に聞いてくれ――」とある告白をするが、助かってしまった…。『カイジ』の福本伸行氏と『沈黙の艦隊』のかわぐちかいじ氏の共作で話題となった漫画を実写映画化した『告白 コンフェッション』が公開中だ。“告白”を聞いてしまった男・浅井啓介役を生田斗真が、言ってしまった男リュウ・ジヨンをヤン・イクチュンが演じる。

【画像】映画『告白 コンフェッション』場面写真

――一夜のサバイバルバトルを描いた原作漫画が、リアルな映像で再現されていて、格闘シーンも非常に見応えがありました。イクチュンさんが演じたリュウ・ジヨンは映画オリジナルのキャラクター設定でしたが、感情が高ぶった時に思わず韓国語が出てしまうところが、「何を言っているのかわからない」という浅井の恐怖を増幅させてとても効果的だと思いました。原作ものを演じる際、大切にされていることは?

【生田】実写映像化する時は、原作へのリスペクトを忘れずに、というのを心がけています。特に漫画は日本の大切な文化の一つですし、漫画の世界にはありとあらゆる物語が存在する。どうすればこんなに面白いストーリーが思いつくんだろう、と思うこともしょっちゅうあります。今回、作画を担当されたかわぐちかいじ先生が現場にいらして、とても満足そうに山小屋のセットをご覧になっている様子を拝見できて、すごくうれしかったです。

【ヤン】漫画には、漫画としての魅力があると思います。それを原作として実写映画をつくる時は、映画として魅力あるものをつくらなければいけないと思いますし、今回、素晴らしい原作で面白い映画をつくれたというのは、本当に恵まれたことだと思っています。

――ヤンさんがおっしゃるとおり、漫画は次のページをめくるタイミングを自分でコントロールできますが、映画は突然驚かされたり、怖いものを見せられたりしますね。それを演出した山下敦弘監督の印象は?

【生田】ジヨンの告白を聞いてしまった直後、山小屋に避難することができて、そこで救助隊が来るのを待つわけなんですが、この上なく異様で気まずい空気から、閉ざされた狭い空間で生きるか死ぬかのバトルが始まる。大暴れするジヨンが怖ければ怖いほどなんだか観ている方は笑えてくるんですよね。

 山下監督は、ゾンビがものすごい勢いで走ってくるとムチャクチャ怖いけど、なんか笑えるみたいな、サム・ライミ監督の『死霊のはらわた』みたいな怖さと可笑しさが共存する作品にしたいとおっしゃっていた。ジヨンの階段落ちのシーンとか、不自然な曲がり方をした首をボキポキッと戻すところとか、怖いけどちょっと笑えるところを要所要所に入れていて、そのバランスはまさに山下監督ならではなのかな、と思います。

【ヤン】山下監督は、外見は穏やかでやさしそうですが、内面はとても強い人だと思います。ワンシーン、ワンシーン、細部に至るまで、自分なりのこだわりが発揮されていて、山下監督ならではのユーモアのある作品に仕上がっていると思います。

■新しいものが自分の中に入ってきた感覚があった

――2人が避難した山小屋は、原作と脚本をもとに、山小屋そのものと思えるセットを建てて撮影したそうですね。狭い山小屋の中でぐるぐる追いかけっこをしている2人は、コントを見ているようでした。撮影時のエピソードを聞かせてください。

【生田】イクチュンさんがセットをぶっ壊していました。

【ヤン】あのセットは壊すためにあったんだよ。

【生田】確かに、そうですね。ジヨンが斧で扉を壊そうとする場面があるんですが、斧が刺さった後の裂け目もリアルだから、生々しくて怖かったですね。大暴れするイクチュンさんの迫力に圧倒されました。

【ヤン】全部スタッフが仕掛けをしてくれて、うまく壊せるように準備してくださっていたからこそ、こちらも思いっきりセットを壊すことができました。

【生田】3週間、ほぼ同じセットで撮っていたんですが、1日かけてイクチュンさんが階段を落ちるところまでを撮って、次の日、階段の下まで落ちた状態から続きを撮る、なんてこともあって。昨日と同じテンションで、朝から「アーッ」って叫ぶのは結構大変でした(笑)。

【ヤン】のどが痛くなりましたね。

【生田】特にイクチュンさんはね。

【ヤン】僕は腹式呼吸ではなく、のどを使って叫んでいたので、すぐにのどがかれてしまって痛かったです(笑)。生田さんもせき込む演技をずっとしなければいけなかったので多分痛かったと思います。

――夜が明けるまでの数時間の出来事を、スリルとスピード感を持って描ききって、鑑賞時間としてもあっという間に感じましたが、撮影は大変だったんですね。

 今回、生田さんは浅井という一見するとエリートの好青年風ですが、どこかつかみどころのないキャラクター像を演じ、『土竜の唄』シリーズや昨年のヒューマンドラマ『渇水』とはまた違った演技を見せてくださいました。ヤンさんとの共演はいかがでしたか?

【生田】イクチュンさんと一緒にお芝居して、本番の時の爆発力というか、集中力が本当に素晴らしいなと思っていました。それ以外のオフの時間は、スタッフと談笑したり、冗談で笑わせてくれたり、本人もリラックスしているようでしたし、周りもなごませてくれました。彼には生まれ持った素晴らしい才能、資質もあるけれど、いろいろ経験して、努力して、手に入れたものもたくさんあると感じて、本当に刺激的な毎日でした。いい影響をたくさんもらえたと思います。

――ヤンさんは、監督・脚本・主演を務めた『息もできない』が世界中で話題になって以降、俳優として西川美和監督の『夢売るふたり』や宮藤官九郎監督の『中学生円山』に出演、岸善幸監督の『あゝ、荒野』2部作では菅田将暉さんとW主演を務めました。生田さんとW主演で本作に出演して、今後、日本でチャレンジしたいことはありますか?

【ヤン】出演オファーも大歓迎ですし、日本で演出もしてみたいと思っています。以前から思っていたことですが、もっと日本と韓国が交流して、お互いの文化が混ざり合ったり、スタッフやキャストが協力し合ったりすれば、シナジー効果が期待できると思うんです。生田さんも機会があったら韓国など海外の作品にも挑戦してもらえたらうれしいです。

【生田】ありがとう。今回、異なる国で育ち、自分とは異なるバックグラウンドを持つイクチュンさんと共演して、新しいものが自分の中に入ってきた感覚がありました。すごく楽しかったですし、ずっとワクワクしていたんですよ。こういう経験をこれから先もどんどんしていけたらいいな、と思っています。
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