「餃子の王将」2年間で4度目の値上げを発表。それでもお客が離れない“2つの理由”

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2024年06月01日 09:00  女子SPA!

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餃子の王将を運営する王将フードサービスが業績好調
 餃子だけじゃない。

 食文化研究家のスギアカツキです。『食は人生を幸せにする』をモットーに、食トレンド、スーパーマーケットやスタバ、ダイエットフード、食育などの情報を“食の専門家”として日々発信しています。

「餃子の王将」(以下、王将)を運営する王将フードサービスが2024年5月30日、原材料価格や人件費の上昇などを理由に主力メニュー13品を6月21日より値上げすることを発表しました。

 餃子1人前(6つ入り)は、西日本で297円(以下、税込)から319円に、東日本で319円か341円に値上げされます。王将は2022〜2023年にかけても3度の値上げを行っていて、2022年5月以来、これが4度目の価格改定となります。

◆4度の値上げも、売上高は創業依頼初の1000億円突破!

 これまでの値上げ発表時にはX(旧Twitter)上で「きついなぁ」、「最後の砦やったのに」、「餃子300円越えよりライス中200円超えのほうがつらいな」と落胆の声も。

 ところが王将、客数は減るどころか、おいしくなったとSNSやテレビ番組などでも話題となり、客数を増やしているのです。

 2024年5月15日に発表した2024年3月決算では、売上高1014億100万円(前年同期比9.0%増)、営業利益102億8600万円(28.9%増)、経常利益104億9600万円(14.8%増)、同期の売上高は創業以来初の1000億円を突破しています。

 値上げによって客離れが加速するお店とは、いったい何が違うのでしょうか? そこで今回は、王将のメニューからその答えをひも解くことに。餃子だけに依存しないおいしさへの追求がありました。

◆王将は、値上げとセットで「レシピ改良」を実施していた

 はじめに結論から言いますと、値上げを続ける王将が客を離さない理由は、餃子はもちろんのこと、提供メニューにおける品質向上にありました。

 王将では2023年5月に主要14品目について値上げを実施した際に、合わせてレシピの改良を実施。具体例としては、餃子は同社独自の鉄板に統一し、調理方法を均一化。ニラレバ炒めはレバーの下処理を変更するなどです。

 また、昨年11月から“美味しさのscience”をテーマにする「調理知識研修」を新たに開始。特に中華料理を作る上で欠かせない「炒め調理」の科学知識を深めることで、調理人ひとりひとりの技術向上に取り組んでいるそう。

 その効果として、実際に王将のメニューをいろいろ食べておいしくなったなという実感を持っている人は多く、その反応はX上でも確かに発見することができます。そこで今回私もいろいろ食べてみることに。そして気がついたのは、2つの料理の圧倒的なおいしさでした。

◆「チャーシュー」と「たまご料理」で顧客の心をつかんでいる

 私は今回さまざまなメニューを実食しましたが、競合店と比較して圧倒的なおいしさを実感したひとつめは、「焼豚(チャーシュー)」でした。

 2024年4月から全国販売されている新商品「忘れられない中華そば」(748円)に乗っている炭火焼チャーシューを食べてみると、丁寧に作られたこだわりのラーメンを食べているという確信が沸き上がるのです。

 それに伴って、ネギ油が効いた醤油スープ、北海道産小麦で作られたツルツル食感の麺にも特別感を見出すことができます。焼豚は炒飯にも使われている大切なアイテムですから、ここに情熱を注ぐのは大正解と言えます。

◆塩ダレの「天津飯」は、ふわりと心ほどけるおいしさだった……

 そしてもう一つは、「天津飯」をはじめとしたふわふわ卵料理です。「カニ玉は白い餡」と言い切るファンが全国にいるほど、王将の塩ダレは定番メニューとして愛されていますが、昨年のレシピ改良で天津飯もアップデートされています。

 卵には味をつけ、特製餡はさらに改良され、食べたときの滑らかな舌触りは至福の極み。心に糸があるとすればすべてほどけてしまうような、特別なおいしさに驚かされるに違いありません。

 このアツアツなのにどこか優しいふんわり感に匹敵する中華料理店はいったいどのくらいあることでしょう……。

 天津飯はプレミアムメニューの極王シリーズにもあります。バラエティ番組『ジョブチューン』では超一流料理人から「すごいとしか言いようがない」と絶賛され、カニ玉の絶妙な焼き方はプロにも認められるレベルであることがわかります。

 その他、王将には「肉と玉子のいりつけ」(572円)というエリア限定のメニューがありますが、全国展開を強く期待してしまうほど、知る人ぞ知るオススメ料理なのです。

 さあ、気になる人はご褒美タイムに味わってみてはいかがでしょうか?

 これからの時代、安ければ勝ち残れるわけではありません。王将の新たな戦略としておいしさへのさらなる追求、従業員を大切にする人材資本投資や新たなチャレンジにも注目していきたいところです。

<文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ>

【スギアカツキ】
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12

このニュースに関するつぶやき

  • 値上げは困るし嫌だけど仕方ないし価格的に同業他社とそう大差ない。機械導入でコスト削減図っている割に美味しくないトコよりマシ。そういうとこでしょうかね。
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