驚速D’station Vantage GT3、初ポールの秘訣はタイヤ、新型の能力、チームの対応力にあり

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2024年06月01日 23:00  AUTOSPORT web

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2024スーパーGT第3戦鈴鹿 D'station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ)
 6月1日、三重県の鈴鹿サーキットで行われたスーパーGT第3戦鈴鹿の公式予選。GT300クラスでは、今季からスーパーGTに復帰したD'station Racingが、チームにとって嬉しい初ポールポジションを獲得した。復帰3戦目でのポール獲得は、ダンロップタイヤのパフォーマンス、そしてチームがもともと使用しているアストンマーティン・バンテージAMR GT3への深い知見が繋がった。

 もともとアスリートとしてフェンシングに挑戦していた星野敏オーナーが、2013年にポルシェカレラカップ・ジャパンに参戦を開始したのがD'station Racingの始まり。2017年には本格的な自社チームを立ち上げ、スーパーGTなどさまざまなレースに参戦してきた。

 2018年からは使用車両をアストンマーティン・バンテージAMR GT3にスイッチし、スーパーGTをはじめGTワールドチャレンジ・アジア、アジアン・ル・マン、さらにLM-GTE Am唯一の日本チームとしてWEC世界耐久選手権に参戦するなど、グリーンのアストンマーティンはいまや世界中に認知されている。スーパーGTの参戦はPACIFIC-D'station Racingとして参戦した2020年以来途絶えていたが、復帰を果たした今季、第3戦でいきなりのポール獲得という結果を残してみせた。

 D'station Racingは、今季の参戦が決まってから2月に岡山でスーパーGT用のダンロップタイヤを初装着。3月6日にもてぎで新型モデルを投入し、二度の公式テストを経て第1戦岡山に臨んでいた。ただ第1戦、そして第2戦富士では決勝レース中にタイヤトラブルに見舞われるなど、速さは垣間見せつつも多くの困難に直面していた。しかし、5月8日に鈴鹿で臨んだGTエントラント協会テストでのフィードバックをもとに持ち込んだタイヤの好感触がポールポジション獲得に繋がった。まだ今シーズン獲得ポイントはゼロだったが、今回はいきなり予選でポイント獲得を果たしている。

 この第3戦での速さの理由について、チームのマネージングディレクターも兼務し、Q1では1分57秒894という驚異的なタイムを記録した藤井誠暢は、予選後の記者会見で「何よりダンロップタイヤが非常にグリップ力が高かった」とその速さの理由は語ったが、今季エボリューションモデルになったことで、2023年モデルまでの多くの弱点を消していることも理由として挙げる。

「新型モデルになって、クルマのセットアップがすごく決まっています。スーパーGT用はバネなどがWEC用などとは大きく違うのですが、他のレースのデータと照らし合わせ、自分のなかではもてぎでテストしたあたりからクルマがある程度できていました」と藤井は語った。

「タイヤは旧型でテストした岡山での走行からなんとなく理解していたので、新型になってどうなるかを想定し、構造やコンパウンドを選んでいき、かなりの部分で決まっています。第2戦はああいう結果になってしまったので、その対策として作ってきてもらったものがすごく良いパフォーマンスを発揮しています」

 第3戦という速い段階で生まれたポール獲得という結果は、WECはじめアストンマーティンで多くの経験を積んできた藤井の能力、そして荒重憲エンジニアをはじめチーム力が生んだものと言えるだろう。

「僕たちは海外でいろんなキャリアを積んできて、アストンマーティンに対する理解力はすごく高いですし、スタッフもクルマに慣れているからパーフェクトにこなすことができる。また今シーズンから、田中哲也スーパーバイザーに入ってもらいましたが、チームとして足りていないと思っていたところがすごく強化されました。これが大きいですね」

 今回のポールポジション獲得には、星野オーナー、佐々木主浩総監督をはじめ、チーム首脳陣も大喜び。迎える6月2日の決勝は悪天候も予想されるが、「スーパーGTのウエットは何年もやっていないので分からないですね(笑)」と藤井。とはいえ、今回の予選でみせたスピード、そして、今回のアストンマーティン・バンテージAMR GT3自体のポテンシャルがあれば、決勝の上位進出は堅いはずだ。大いに注目したい一台なのは間違いない。

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