世の中にはなぜか「人の不幸を喜ぶ人」というのが一定数存在します。しかも質の悪いことに、自分はいい人の顔をして、実は他人の人間関係をぶち壊そうとする「地雷」のような人も存在します。
丸山幸子さん(仮名・40歳)は、そんな「地雷ママ」を目撃したひとり。
「小学校のPTAで一緒になったママ、香織さん。もう高校生になるお子さんをはじめ3人の子どもを育てていて、この小学校のことはなんでも知っているようでした。顔が広くて、PTAの経験もあるそうで頼りがいがあり助かるなと最初は思っていました」
◆優しくて面倒見の良いママ友が…
PTAの仕事は進んでやってくれる香織さん(仮名)。
普通にいい人なのかと思って、PTAの仕事帰りにお茶して帰ることなどがあり、交流も出てきたころ、事件は起こりました。
ある日、香織さんに誘われお茶をしていた丸山さん。
ふと「そういえば坂井さんと最近何かあった?」とPTAで一緒の坂井さんについて突然聞かれて驚きます。
特に思い当たることもないと答えると、香織さんは心配そうに「坂井さんが、あなたのことを良く思ってないみたいでね、この前会ったときに役員の仕事を分からないと言ってほかの人にやらせてるからずるいって言ってたのよ」というのです。
坂井さんはキビキビとしていてはっきりとものを言う人だけれど、さっぱりしていて丸山さんは好感を持っていました。家も近所だし、子ども同士も仲良くて良いお付き合いができそうだと思っていた矢先のことで、丸山さんはショックを受けました。
◆なぜか私が嫌われている!?
かといって坂井さんに何か聞くわけにもいかず、その後なんとなく坂井さんと話しにくくなってしまいました。
そして香織さんは、坂井さんのことがあまり好きではないようで、丸山さんと会うたびに坂井さんの悪口を言ってきたそうです。
「坂井さんのことは好きでしたが、悪口を言われていたと思うとなんとなく接しにくくなって。その後香織さんから坂井さんのあれこれを聞かされると、なんとなくわたしまで嫌な気分になり『坂井さんて少し物言いがきついからかしらね』などと相槌を打っていました。それが失敗の元でした」
その後、突然、坂井さんから丸山さんに怒りのLINEが届きます。「わたしに文句があるなら直接言ってくれればいいのに!」と詰め寄るような内容。
◆なんと衝撃の事実が!
事態が呑み込めず、正直に何のことか尋ねると、香織さんが坂井さんに「丸山さんが坂井さんのことを『物言いがきつくてわたしはあの人のことムリ!』と言っていたのよ〜」と聞いたのだそうです。
「ハメられたと思いました。やけに坂井さんのことを悪く言ってくるけれど、わたしはそこまで嫌いでもないし、否定をするでもなく適当に流したつもりだったのですが『言い方がきつい』と一言言ってしまったことで、わたしが悪口を言ったことに仕立て上げて坂井さんに吹き込んだのです」
これは香織さんの仕組んだ罠だと気づいた丸山さんは坂井さんにあったことを正直に伝えることにしました。坂井さんが丸山さんの悪口を言っていた、と香織さんに聞かされたこと、その後、坂井さんの悪口を聞かされ、適当に相槌を打っていたら悪口を言ったことになってしまったこと。そして相槌を打ってしまったことは申し訳なかったと伝えました。
すると坂井さんは驚いた様子で「丸山さんとは仲良くできそうだと思っていたし、香織さんに悪口なんて言った記憶はない。逆に香織さんが『丸山さんてちょっとずるいわよね』と言い出したので、そうかしらと流していただけよ」というのです。
◆まんまと罠にハメられた
誰が何を言ったのか、それは証拠がないので何とも言えませんが、どうも香織さんが丸山さんとBさんの仲が良くなったことが気に入らず、仲違いさせようとして仕組んだことのようでした。
「今回は坂井さんが率直に聞いてくれたのでお互いに話し合うことができましたが、そのままになっていたらお互い嫌いになってしまっていたかもしれません。そうなれば香織さんの思うツボですよね」
その後香織さんについてほかの人に聞いたところ、グループ内でお互いに悪口を吹き込み、仲違いをさせる常習犯の「地雷ママ」とのこと。ぱっと見は面倒見がよくいい人そうなので、一瞬で判別するのは難しく、それこそ頼りになるのは先輩ママのネットワークだったりします。
地雷ママは神出鬼没。あなたの周りにも潜んでいるかもしれません。
<文/塩辛いか乃 イラスト/魚田コットン>
【塩辛いか乃】
世の中の当たり前を疑うアラフィフ主婦ライター。同志社大学文学部英文学科卒。中3繊細マイペース息子と20歳年上の旦那と3人暮らし。乳がんサバイバー(乳房全摘手術・抗がん剤)。趣味はフラメンコ。ラクするための情熱は誰にも負けない効率モンスター。晩酌のお供はイオンのバーリアル。不眠症。note/Twitter:@yukaikayukako