ゼンデイヤ、飽くなき挑戦は続く 最新映画『チャレンジャーズ』では新たな姿も

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2024年06月02日 12:31  cinemacafe.net

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ゼンデイヤ Photo by Eamonn M. McCormack/Getty Images for Warner Bros
先日行われた「メットガラ」では趣向のまったく異なる2つのルックを披露して共同ホストとして注目を浴び、ティモシー・シャラメと共演した『デューン 砂の惑星PART2』に続いて、主演&プロデューサーを務めた最新作『チャレンジャーズ』が全米1位を獲得したゼンデイヤ。

どこか神秘的で、ときに近寄りがたいほどのカリスマ性を放ちながら、チャーミングな一面と親近感を併せ持つゼンデイヤは、絶え間ない挑戦によってさらにその魅力を磨いている。いま最も次回作が気になる俳優の1人であり、近年はプロデューサーとしても手腕を発揮している。


『スパイダーマン』のMJや「ユーフォリア」のルーを演じて

Instagramフォロワー数は1億8,000万人超え、メットガラでも、授賞式でもそのセンスと着こなしでベストドレッサーとなり、数々のハイブランドでアンバサダーを務め、一目置かれるファッションアイコン。人種差別やメンタルヘルスについて断固とした発言もする、LGBTQ+アライでありフェミニスト。さまざまな顔を持つゼンデイヤは、「時代の寵児」や「Z世代のアイコン」の域を超えた絶対的存在となりつつある。

1996年、カリフォルニア州オークランド生まれ。14歳でディズニー・チャンネルの「シェキラ!」(10-13)のロッキー・ブルー役でブレイク。その後、ドラマシリーズ「ティーン・スパイ K.C.」(15)では主人公のKCを演じるとともに共同プロデューサーとして番組製作に関わり始める。

大きな転機となったのがスクリーンデビューとなる、トム・ホランドがピーター・パーカー/スパイダーマンを演じる『スパイダーマン:ホームカミング』(17)の“MJ”ことミシェル・ジョーンズ役と、同年のミュージカル映画『グレイテスト・ショーマン』で演じた空中ブランコ乗りのアン役だ。

後者では「ハイスクール・ミュージカル」出身のザック・エフロンと“空中デュエット”を披露した楽曲「Rewrite The Stars」も大ヒット、“同窓会”のような共演は話題となった。

とはいえ、MJ役を獲得するまでには多くのオーディションを受けてきたという。「VOGUE」によれば、『スパイダーマン』シリーズのプロデューサー、エイミー・パスカルは同作のオーディションの際、「正直に言うと、ケビン・ファイギも私も彼女が誰なのか知らなかった」と明かしている。すでにディズニーチャンネルのスターであったにも関わらず、「彼女はメイクをしておらず、普通の女の子のような服を着ていたから」だ。





元来、華やかな場所にはあまり出かけない、家で過ごすタイプだという。実際、ゼンデイヤが演じたMJはダークなセンスを持つ内向的な皮肉屋で、これまでのティーンヒーロー作品のヒロイン像を一新。3部作を通じて、より重要なキャラクターへと成長することになった。

さらに、レッドカーペットを歩く姿と同じ人物とは思えないほど全身全霊で役に入り込み、エミー賞ドラマ部門主演女優賞を史上最年少で受賞、歴史に名を刻むことになったのが、A24×HBO共同製作「ユーフォリア/EUPHORIA」(19-22)。



清く正しく、世間が求めるロールモデルとしての“ディズニーアイドル”と真逆ともいえる、不安障害を抱え、最愛の父の死に苦しむ薬物依存症の高校生ルーに挑んだ。

そして記憶にも新しいのが、『デューン』シリーズ(21・24)での高潔な砂漠の戦士チャニだ。ラストのあの憤怒の表情を経たチャニは、パート3『Dune:Messiah』(原題)でも重要な役割を担うはず。



もし、皇帝の娘イルーラン役のフローレンス・ピューやパート2にカメオ出演したアニャ・テイラー=ジョイとの3ショットが実現すれば、それもまたとてつもない影響力を持つはずだ。


次なる挑戦、劇場公開される初の主演映画『チャレンジャーズ』

ルカ・グァダニーノ監督と『スパイダーマン』シリーズのパスカルと組んだ最新作『チャレンジャーズ』(6月7日公開)では、子ども時代から名声を手にし世間の注目を浴びてきた、まるで自身のような元・天才テニスプレイヤー、タシ・ダンカンを演じる。

ヒーローとガールフレンドと親友という、ごちゃつくことのない3人組だった『スパイダーマン』や、「ユーフォリア/EUPHORIA」の薬物を背景にしたジュールズ&エリオットとの三角関係とは異なり、今作はタシをめぐる夫アート・ドナルドソン(マイク・フェイスト)と元彼のパトリック・ズワイグ(ジョシュ・オコナー)との独特で複雑な関係性が、テニスというスポーツの力学を巧みに利用して描かれていく。

かつて“ファイヤー&アイス”と呼ばれた対照的な親友同士のテニスプレイヤー、アートとパトリックを、コート上のネットと同じ位置から見守るタシ。一度は全てを失ったタシが確信犯的に企む“チャレンジ”には、「してやられた」気持ちになるだろう。

また、コロナ禍に主演&製作したジョン・デヴィッド・ワシントンとの2人芝居であるNetflix映画『マルコム&マリー』(21)でキャリアのある大人の女性を演じたことはあるが、今作では若くして頂点を極めたティーンエイジャーから、30代前半となり夫のコーチとマネジメントをするビジネスウーマン、さらに母親となった姿まで目にできる。

企画初期から今作に関わっていたゼンデイヤの取り組みは、グァダニーノ監督からも「素晴らしいプロデューサー」と太鼓判を押されている。プレミアで見せた「テニスコア」においても、映画の世界観を踏まえたルックに挑む自己プロデュース力は実証済み。

次なる夢は、監督業だろう。2023年の「ELLE」ビデオインタビューでも、「いつか監督してみたいです。1本だけじゃなくてできればもっと」と語っていたゼンデイヤ。そう遠くない将来に実現するであろう、<ゼンデイヤ監督>の作品を目撃する日がいまから楽しみである。





(上原礼子)
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