意中の男性への思いを断ち切れずたまらずキス……結ばれることのない2人の行動にモヤモヤ|大河ドラマ『光る君へ』第21回

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2024年06月02日 16:00  女子SPA!

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自分の髪をひと房、切り落とすというショッキングなシーンで終わった前回。

定子の絶望とそんな定子に寄り添うききょうの切ない思いが描かれた。

さらに、まひろは越前へ。その直前での道長との逢瀬の美しさが胸を打つ回となった。

◆ひとりの女性のために綴られた言葉たち

やはり、今回は何と言っても『枕草子』の始まりだろう。

出家を決意した定子(高畑充希)。その後、二条第で火事が起き、定子は伯父である高階明順の屋敷に身を寄せていた。そんな定子に仕えるようになったききょう(ファーストサマーウイカ)。彼女が頭を悩ませているのは定子が生きる気力を失っていることだった。一条天皇(塩野瑛久)の子を懐妊しているが、それでも定子の目は虚ろだ。

どうにか定子を励ましたいききょうにまひろ(吉高由里子)は定子のために何か書いてみては、と勧める。

ききょうは書いては定子のもとへと届ける。

そして、それを手に取り読み始める定子。

「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる」

朗読する高畑充希の声がなんとも美しい。透明感がある声が、スッと心に溶けていく。

「春はあけぼの」「夏は夜」「秋は夕暮」「冬はつとめて」……

多くの日本人が学生時代に暗記させられた『枕草子』。なんのために覚えねばならないのか、と思った人もいるだろう。もはや、このシーンに覚えたといっても過言ではないかもしれない。自然と、「夏は夜」のあとも定子が読む声が聞こえてくるような気がしてしまう。

ただひとりのために書かれたものだとしたら……。ききょうにとって「光る君」は定子なのだろう。改めて、その尊さが染みわたる。

◆そして伊周は……

そうなってくると伊周(三浦翔平)がいたからこそ『枕草子』も生まれたのでは、と思ってしまうが、だからと言って彼が許されるわけでない。

一条天皇はご立腹である。逃げられるはずもない。

が、伊周は出家したから大宰府にはいけないだの(嘘)、行きたくないとダダをこね、母の高階貴子(板谷由夏)がついていくということでようやく納得したものの、結局は引き離されてダダをこね……。

いや、この人、長男だったよな? と思ってしまうが、もしかして一番不出来な子どもだったのだろうか。そういう子どもこそかわいいともいうけれど、母がいま支えなければならなかったのは定子なのでは? とも思う。

貴子が伊周のことがかわいいからなのか、それとも、一番放っておけないのが単純に伊周だから、なのか。幸せに見えた家族もいびつさを抱えていたのかもしれない。

◆想いを伝え、越前へ

内裏の動揺が続く中、藤原為時(岸谷五朗)の越前出立の日が近づいていた。そんな折、為時は道長に呼び出される。越前には多く宋人が訪れているが、彼らが求めているのは国同士の商い。しかし、朝廷はそれに応じない、と伝え、宋人たちを帰国させよ――。これが為時に課せられた役目だった。為時としては気が重いらしく、その表情は冴えない。

一方、まひろは道長(柄本佑)に文を書く。越前へ向かう前にふたりはあの廃邸で対面する。

定子を追い詰め、伊周を追い落としたのは道長なのか。これは宣孝(佐々木蔵之介)が話していたことであり、実しやかに流れている噂。道長は伊周が邪魔だし、詮子(吉田羊)は定子を疎ましく思っていた。今の状況は道長にとって好都合である。

まひろの問いに道長は肯定するが、その表情から道長のはかりごとではないと察する。かつて、友である直秀(毎熊克哉)が死んだとき、道長は自分が殺したようなものだと言った。今回のことは直秀の件と通ずるものもある。道長が謀ったことではないが、結果的にそうなってしまった。会って顔を合わせれば、こんなにも通じ合うことが多いふたり。

◆ついに通じ合った二人…

そして、まひろはようやく素直な気持ちを言葉にする。

この10年、道長を諦めたことを後悔しながら生きてきた。

どうしてあのとき、自分の心に従わなかったのか、と。

道長もまた、まひろを思い続けていたことを伝える。

抱き合うふたり。見つめ合い、まひろのほうから道長に口づけをする。

越前の地で生まれ変わりたいというまひろに道長の心は……。

まひろと道長のシーンはとても美しく、グッと来てしまうのだが、つい倫子(黒木華)にも想いを馳せてしまう。

倫子は倫子で道長に恋焦がれ、妻となり、彼を支えている。

しかし、道長の心の中にはまひろがずっといて……。

この時代に不倫だのなんだの、という話ではないが、妾が何人もいることよりも辛い気がするが……。

道長に別れを告げてまひろは為時とともに越前へ。

しかし、最初から宋人たちがなにやら揉めている様子。そんな中に意味深な雰囲気でたたずんでいる男(松下洸平)が。

どう考えても今後のストーリーに大きく関わってきそうである。存在感がありすぎるが、どのように物語に関わってくるのか、次回以降に注目である。

<文/ふくだりょうこ>

【ふくだりょうこ】
大阪府出身。大学卒業後、ゲームシナリオの執筆を中心にフリーのライターとして活動。たれ耳のうさぎと暮らしている。好きなものはお酒と読書とライブ

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  • 正式な結婚制度がまだはっきりしてない時代。男が女の家に通うのが当たり前で、自分の屋敷に女を住まわせるのはよほどの身分と財産持ち。
    • イイネ!7
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