ガスト、大人のお子様ランチプレートがおつまみとして素晴らしすぎた<チェーン店ひとり酒>

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2024年06月02日 16:21  日刊SPA!

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「大人のお子様ランチプレート」
 ちょっとだけ飲んでから帰りたいけど、わざわざ居酒屋に行くほどではない――。そんなときに重宝するのが「ちょい飲み」のお店だ。吉野家の「吉呑み」を筆頭に、最近ではファミレスやファストフード、大衆中華チェーンなどでもちょい飲みセットを提供するところが広がっている。
 日常的に酒場へ通い、酒にまつわる連載や本を多数執筆している酒場ライター・パリッコさん(@paricco)。普段は地元に密着していて、単独ではちょっと入りづらいような個人店を取り上げている彼に、ベタなチェーン店で飲んでもらう連載「パリッコのチェーン店ひとり酒」。

 記念すべき初回に取り上げるのは、ファミレスチェーン最大手すかいらーくグループの「ガスト」。果たしてパリッコさんはどう立ち振る舞うのでしょうか?

◆行く機会をうかがっていた「ガスト」

 ここ最近、ずっと「ガスト」へ行く機会をうかがっていた。

 というのも、しばらく前、ガストへ普通に食事をしに行った際、その時は頼まなかったけど、とても気になったメニューがあったのだ。それが「たっぷりマヨコーンピザ」(税込み500円)。なんと、直径が24cmもある自家製生地のピザで、プラス170円を出すとチーズの倍盛りまでできてしまうという。

 たまにとる宅配ピザやイタリアンの店で、ちょっと子供っぽいマヨコーンピザを選ぶことがないからこそ、あえてガストで、そいつをストイックにつまみながら昼飲みをしたら、なんとも楽しそうじゃないか。なんてことを、ずっと考えていた。そして先日、いよいよ仕事にそれなりの余裕がある昼がやってきたので、僕はガストへ向かうことにした。

 まずは複数あるメニュー表から、たっぷりマヨコーンピザのページを探す。そうそう、これこれ。

◆平日の10時半から!異常に長いハッピーアワー

 ところがここで迷いが生じる。そもそもはファミリーレストランであるガストだが、同時に酒が飲める店としても優秀であることは、もはや周知の事実。メインとなる料理の他、驚くほどリーズナブルな小皿料理も豊富に揃っていて、しかも平日の10時半から夕方6時までと、ハッピーアワーが異常に長い。酒飲みの立場からしてみたら、もう完全に飲み屋だ。ゆえに、魅力的なメニューが他にもたくさんある。

 小皿をいくつかチョイスするのもいいし、メインとサイドを選んで組み合わせられる「得トクセレクトランチ」(970円)もいいつまみになりそうだ。さらに、「みんなの声をメニューに!」と書かれた、初めて目にするメニュー表。どうやら最近導入された新グランドメニューらしく、これまた魅力的な品々が並んでいて、なかでも「やられた!」と小声で叫んでしまったのが、「大人のお子様ランチプレート」(1100円)の存在。

◆「大人のお子様ランチプレート」の“ミニ”

 お子様ランチのように色とりどりのおかずがあれこれのっているプレートで、特に「ミニチーズINハンバーグ」の存在がいい。「チーズINハンバーグ」がガストの代表メニューであることは以前から知っていたものの、実は僕はそれを食べたことがない。理由は、がっつりとお腹にたまりそうで、ついもっとおつまみっぽいものを選びがち、というくらいなんだけど。そこへきて、この「ミニ」は嬉しすぎる。もはや湧き上がる欲望にあらがえない。これにしよう! マヨコーンピザは……また次回でいいか。

 当然、ハッピーアワー価格の「アサヒスーパードライ(ジョッキ)」(350円)も注文し、あとは到着を待つばかり。

 ランチのピークタイムは外しているが、まだまだ明るい外から差し込む陽射しを浴びながら飲む生ビールが、無論うますぎる。ランチを注文した人はスープもおかわりし放題らしく、日替わりの「洋風ジンジャースープ」をつまみがわりに。あんまり具が多いとは言えないが、無料でこのしょっぱみが得られるのだからなんの文句もない。

 そしていよいよ、大人のお子様ランチプレートの到着だ。

◆ちょっと想像を超えすぎていた

 これは……いい! どう考えたっていい!

 かねてから一度食べてみたいと思っていたチーズINハンバーグのミニサイズに、タルタルたっぷりの海老フライに、ミニエビグラタン、サラダ、ピラフ。僕は少しずついろんな味を楽しみながら飲みたいタイプの意地汚い酒飲みだから、つまみとしてこんなに理想的なものはない。幕内弁当的な楽しさというか。

 で、初めてのチーズINハンバーグ体験はどうだったかというと、ちょっと想像を超えすぎていた。そもそも肉がふわりと信じられないくらいに柔らかくジューシーで、デミグラス風のソースがむちゃくちゃ濃厚で、とろりとあふれ出るチーズがまろやか。チーズINハンバーグって、ここまでうまい食いものだったのか! そりゃあお店の看板を張れるわけだ。その勢いでちびりとピラフを食べ、ごくりと飲むビールが幸せすぎる。

 世に数ある食べもののなかでも屈指のごちそう感を誇る海老フライの、さくぷり具合も素晴らしい。ミニといいつつごろりとした海老が2尾も入ったグラタンは、比較的あっさり味で、ピラフと合わせてタバスコをかけ、ドリア風にして食べるのも楽しい。和風ドレッシングがかかったシンプルなサラダも、箸休めにぴったりだ。

◆ゆっくりと堪能し、お会計は…?

 なにしろつまみはプレートの上にたっぷりあるから、ビールを飲み干して赤ワインのグラスをおかわりする。ワインはハッピーアワーの対象商品ではないけれど、なんと1杯200円。僕はワインにまったく詳しくないが、ちゃんとこだわって取り寄せている、イタリアの「サンタ・カンパネラ」という銘柄らしい。もちろんうまい。

 ゆっくりと堪能し、大満足でお会計をして、合計はたったの1650円。あらためて、飲み屋ととらえても選択肢が豊富すぎるガストの底力を感じる結果となったが、それにしても大人のお子様ランチ飲みは楽しすぎた。

 さて、次回こそはいよいよマヨコーンピザ飲みをしてみようと思っているんだけど……その他の誘惑に負けない自信もあまりない。とにかく、ガストはすごい。

<文・イラスト/パリッコ>

―[チェーン店ひとり酒]―

【パリッコ】
1978年東京生まれ。酒場ライター。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。ライター・スズキナオとのユニット「酒の穴」としても活動中。X(旧ツイッター):@paricco

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  • ウマそうだけど「凹み」が複数あるトレーがいいな・・・各品とソースとドレッシングが「出逢って」しまうのは好みでない。
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