【福井県坂井市 池田禎孝市長・第2回】共働き率全国1位。男性の育休取得に理解があるのはなぜ?

0

2024年06月04日 10:00  ママスタセレクト

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ママスタセレクト

ママスタ
前回からの続き。福井県は共働き世帯の割合が全国1位。ママになってからも働きたい意向がある女性にとっては、共働きが定着している地域に住めるのはとてもありがたいことではないでしょうか。福井県坂井市では子育て支援に加えて、産後のママが働けるような政策も行っています。坂井市の子育て支援について池田市長に伺いました。
y.ikeda.prof

共働き世帯の割合が全国1位! 「子育てするなら坂井市」



――福井県は共働きのご家庭がとても多いとお聞きします。
池田禎孝市長(以下、池田市長):福井県は共働き率が全国1位で、有効求人倍率も高いのが特徴です。そのため働こうと思えばさまざまな職種で働ける環境があり、周囲も働くことが当たり前な雰囲気があります。たとえば子どもが体調を崩して会社を早退したり、男性が育休を取得したりするなど、そういったことに会社側もとても寛容で、子育てに理解のあることが多いですね。
参考:統計でみる都道府県のすがた|総務省統計局
――まだまだ日本全体では、子どもの急病で早退したり男性が育休を取得したりすることに批判的な会社もあると思います。なぜ坂井市の会社は子育てに理解があるのですか?
池田市長:なぜかというと、働きやすい環境を整備しないと、社員が子育てを理由に辞めざるを得ないケースもでてくることを会社がわかっているからです。加えて坂井市は、人と人との繋がりが強く、ありがたい温もりが残っている点もあると思います。昔は自営業が多くてご近所同士で助け合っていましたが、今は会社全体で子育てを応援する仕組みになってきました。

――坂井市は保育士確保にも力を入れているとお聞きしました。
池田市長:子育て支援も大切ですが、保育士を確保しなければ待機児童の増加につながってしまいます。まだ国の制度が追いついていない点もあるので、坂井市の単独事業として「保育士バンク」を作り、保育士の復職相談や実地研修、マッチングなどを行っています。そのほかにも、「就職支援金」として私立保育園に就職した方に最大30万円を給付したり、「UIターン奨励金」として私立保育園に常勤で就職した方に30万円を給付したり、「住居手当支援」として私立保育園で働く保育士に毎月最大4万円を支給したりしています。保育士の皆さんに坂井市で働いていただきたいと考え、「保育士になるなら坂井市」というスローガンの元、こうしたサポートに取り組んでいます。

最大30万円の商品券に丁寧なサポート体制。坂井市ならではの子育て支援



――坂井市の子育て支援事業について教えてください。
池田市長:いろいろあるのですが、たとえば「多子世帯子育てすくすく支援事業」があります。この取り組みでは、就学前の2人目以降のお子さんがいる家庭に、坂井市内で使用できる商品券を毎年配布しています。2人目の場合だと、子ども一人当たり毎年3万円で、就学までに合計18万円の支給になります。3人目以降だと、一人当たり5万円で就学までに合計30万円ですね。

――保育園に通うお子さんへの支援はどんなものがありますか?
池田市長:2024年9月より、0歳〜2歳の2人目以降のお子さんは保育料が無料になります。これは福井県の補助によるもので、所得制限を設けず無償化します。

――医療費の助成に関しては、自治体によって異なると思うのですが、坂井市の場合はいかがでしょう?
池田市長:医療費助成は、坂井市の単独事業として、高校3年生の18歳まで無料としています。他の自治体でも中学生までの無料化は行っているようですが、坂井市では2020年10月1日より対象年齢を拡大しました。

――他に坂井市が助成している費用はありますか?
池田市長:多くのご家庭に当てはまるものは、給食費の補助です。政府でも給食費の無償化については議論されていますが、坂井市では3年前から、小中学校の学校給食費を半額補助しています。

――ママが気軽に相談できる窓口があるかどうかも気になりますが、どうでしょうか?
池田市長:坂井市では「子育て世代包括支援センター」という、妊娠、出産、子育て全般の相談に対応する窓口があり、ワンストップ窓口として、切れ目のないサポートができるようにしています。2024年4月1日からは新しく開設する「こども家庭センター」にて引き続きサポートしていきます。

――数々の取り組みをお聞きしていると、多方面に子育て支援をされていると感じました。坂井市の子育て政策の良さは、一言でいうとどのようなところにあるのでしょうか?
池田市長:坂井市の子育て政策の良さは、生まれてから成人までトータルに支援できることにあると考えています。坂井市では子育てのほか生活をするうえでの困りごとについて、「ここサポ」という生活上の相談窓口を設け、そこで坂井市の職員が困りごとを聞いてサポートする体制を整えており、何でも相談を受けるようにしています。個人個人の悩みや相談に対して丁寧に対応することが、トータルな支援に繋がっています。

(第2回インタビューを終えて)
会社や周囲の理解があって、ママの働きやすさを実現している坂井市。金銭的な支援だけでなく、丁寧に相談を聞いてくれる場所があるなど、子育て世帯が安心して子育てができる点が魅力ですね。
第3回のインタビューは、体力や学力面で全国トップクラスを誇る福井県の教育環境についてお話を伺います。

【第3回】へ続く。

※取材は2024年3月に行いました。

取材、文・有村実歩 編集・しらたまよ

■ママスタセレクトで読む

    ランキングライフスタイル

    前日のランキングへ

    ニュース設定