所得税・住民税から「合計4万円」の定額減税、食品・光熱費の値上げ…6月から変わる「お金」にまつわることは? 専門家が解説

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2024年06月06日 20:50  TOKYO FM +

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所得税・住民税から「合計4万円」の定額減税、食品・光熱費の値上げ…6月から変わる「お金」にまつわることは? 専門家が解説
モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜〜金曜6:00〜9:00)。5月30日(木)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「定額減税や光熱費の値上げ、6月から変わること」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。


※写真はイメージです



◆定額減税、光熱費の値上げ…6月から変わる“お金”のこと

物価高の影響を受ける国民への支援策として、6月から「定額減税」が始まりました。一方で、光熱費や食品などの値上げ、新たな税の徴収も始まるなど、家計への負担も増えそうです。そこで今朝は「6月から変わること」について塚越さんに解説していただきました。

ユージ:塚越さん、まず大きいのが“定額減税”ですね。

塚越:そうですね。給与などにかかる所得税が3万円、住んでいる自治体に収める住民税が1万円=「計4万円分」が減税され、そのぶん手取りが増えるというものです。納税者本人のほか、配偶者などの扶養家族も対象なので、夫婦と子ども2人なら4人分、減税額は4万円×4で16万円になります。ただし、年収2,000万円を超える方や海外に住んでいる扶養家族は対象外になります。

所得税と住民税で減税の方法が異なっていて分かりづらく、所得が低い人ほど減税が複数回に分散されることになるので、効果を実感しにくいといった点もあります。

定額減税を目玉政策にしていた岸田政権は、給与明細に減税額を記載することを企業に義務付けたことが問題になりました。ただでさえインボイス制度などで事務が大変になっているなかで、さらに手間が増えることになります。今回の定額減税の予算は3兆円を超えるので、効果があったのかどうかといった検証は絶対必要です。

◆電気代・ガス代は上昇

ユージ:続いて気になるのが、光熱費の値上げです。

塚越:まず電気代ですが、これは以前も番組で取り上げた「再エネ賦課金」の引き上げで、4月から値上がりしています。さらに、電気やガスは政府がこれまで補助金を出していましたが、これが5月使用分、つまり6月の請求から補助がほぼ半分になります。そのため来月は平均的な家庭でおよそ357〜585円の値上がりになります。

さらに6月使用分、つまり7月の請求からは補助が廃止されるので、電気代・ガス代は値上げ。特に電気は、大手電力10社全てで大幅に値上がりとなり、6月の使用分が去年の同じ月と比べて、標準的な家庭だと関西電力や九州電力で4割を超える値上げになります。他の電力会社でも、少なくとも10数%は値上げとなります。これから暑くなってくるので、電気代の家計への負担は厳しいです。

ユージ:補助がなくなるだけでなく、値上がりもするんですね。今年の夏も暑くなると予想されていますが、電気代の値上がりは、かなり家計に響きそうですね。

◆和食に欠かせない「海苔」も値上げ

吉田:では、光熱費だけでなく、食品などの値上げはいかがでしょうか?

塚越:食品も値上げです。カルビーは「ポテトチップス」「じゃがりこ」「かっぱえびせん」など、合わせて68品を来月以降3〜10%程度引き上げます。明治は「アポロ」といったチョコレートやグミ。ハウス食品も「とんがりコーン」など6品とマスタード等を値上げ。まるか食品は「ペヤング ソースやきそば」をはじめ即席麺13品を5年ぶりに値上げ。

また、和食には欠かせない「海苔」が2年連続の不作ということで、主要メーカーが家庭向け商品で1〜2割ほど値上げするとのことです。

◆病院の初診料は20年ぶりに引き上げ

ユージ:他に6月から家計の負担になる変化はありますか?

塚越:見えづらいところでいうと、以前番組で取り上げた、森林整備などを目的とする「森林環境税」の徴収が始まります。住民税の納税者1人につき「年間で」1,000円が上乗せになります。

病院や診療所の「初診再診料」や「入院基本料」も6月から引き上げになります。初診料の引き上げは20年ぶりとのことです。目的は賃金水準の低い医療従事者の待遇改善と人手不足の緩和が狙いということですが、3割負担の患者だと初診の支払いが最大で219円増えます。再診料も、3割負担の窓口では最大で36円アップ。入院基本料も種類にもよりますが、3割負担の場合、1日あたり最大で312円上がります。

さらに年金です。4月と5月分が6月14日(金)に振り込まれますが、物価上昇に伴って支給額は2.7%アップしますが、これは現実の物価や賃金の上昇よりも低く設定されているので、実質的には目減りということになります。

◆実質賃金は24ヵ月連続で減少 定額減税は「焼け石に水」?

ユージ:これだけさまざまな値上げの話を聞くと、“定額減税”の効果があまり感じられなさそうですね。

塚越:いま一番の問題は、日本の実質賃金の減少です。今年の3月も下がっており、3月時点で24ヵ月連続下がっていることです。

ユージ:もう2年になりますね。

塚越:そうなんです。額としては上がっていますが、物価と比較して考えると、実質的に目減りになっています。インフレや物価の資材高騰など、さまざまな要因で商品やサービスの値段が上がっているので、これではなかなか定額減税の恩恵を感じられません。

問題が山積みな一方で「成長の果実を国民に還元する」と岸田文雄首相は言っていますが、だったら日本をどういう国にするのか、そういうビジョンを見せるというところからまず始めていくことが重要です。とにかく、我々は生活が厳しいですよね。


吉田明世、塚越健司さん、ユージ



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5月30日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年6月7日(金) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜〜金曜6:00〜9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/one/

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