あの連続ヒットマンがラーメン組長射殺事件でも立件へ

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2024年06月07日 06:40  週プレNEWS

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いずれも暴力団組員を標的に、殺人未遂事件と殺人事件を起こしたとされる連続ヒットマンの第3の殺人事件として、神戸ラーメン組長殺人事件も立件される運びとなった


山口組分裂抗争に絡み、対立組織の幹部や元配下の組長に対する殺人や殺人未遂容疑で逮捕・起訴された絆會若頭の金澤成樹被告(55)が、関与が取り沙汰されていた昨年の神戸市のラーメン店主射殺事件でも立件される運びとなった。実行役が固まったことで、警察の捜査と山口組による報復の焦点は、絆會トップの織田絆誠代表へと定まりつつある情勢となっている。

金澤被告は今回、神戸市長田区のラーメン店「龍の髭」店主で六代目山口組の有力組織である弘道会傘下の余嶋学組長(当時57)を店内で射殺した嫌疑がかけられ、兵庫県警が近く逮捕する見込みだ。余嶋組長は銃弾が脳幹を貫通したことによる脳損傷で死亡。事件後に流出した事件当時の現場の防犯カメラでは、金澤被告に酷似したマスク姿の男が店舗を出入りする様子が撮影されていたことは、当サイトでも既報のとおり(参照:"ラーメン組長"射殺事件に新局面。実行犯との噂も飛び交う暴力団員の「ヤミ経歴」)。

【写真】射殺直後、防犯カメラに映った男の姿

■事件で使用の拳銃を所持 

そして、ラーメン店主射殺事件への金澤被告の関与を裏付ける重要な物証も発見・押収されている。全国紙社会部デスクが解説する。

「金澤被告は、2020年9月の長野での殺人未遂事件で重要指名手配をかけられ、今年2月に潜伏先の仙台市内のアパートで身柄を確保されました。そして、室内で押収された拳銃を鑑定したところ、発射した際に銃弾に残る線条痕が、ラーメン店主の事件の銃弾と一致しました。事件現場では拳銃がみつかっておらず、仙台で押収された拳銃を使って金澤被告が余嶋組長を殺害したとみられます」(社会部デスク)


なぜ金澤被告は、足が付くリスクを抱えてまでこの拳銃を抱えて潜伏していたのか。暴力団関係者のA氏は次のように推察する。

「通常は、事件で一度使った拳銃は証拠隠滅のために海などに捨てて処分する。ただ、金澤被告はラーメン店主の事件を含めて2件の殺人と1件の殺人未遂を犯していて、極刑は避けられない状況だったし、逃走中には既に関与が取り沙汰されていて瀬戸際に追い込まれていた。この拳銃を使って新たな発砲事件を起こし、『捕まるまで殺しを続ける』と腹のくくったアピールをしたかったのだろう。実際に、仙台の六代目山口組系幹部を狙っていたという情報もあるしな」(暴力団関係者A氏)


■関与示唆の供述。引退情報も

3年を超える凶状旅で引き起こした事件が次々と立件され、拘留が続く金澤被告。心境にも徐々に変化が生じているようだ。

「2月の逮捕当初は完全黙秘だった金澤被告ですが、既に起訴された22年1月の水戸市における射殺事件の取り調べでは、関与をほのめかしているようです。恐らく、織田代表を含む絆會の仲間への追及を避けるため、一人で罪をかぶるために事件への関与を示唆しているのでしょう。

また、5月に入ってヤクザ渡世からの引退を表明したという情報も駆け巡りました。これも、絆會から離脱することで組織への警察の追及を避けるためという思惑ではないかという憶測によるものですが、事件当時は絆會の若頭という要職にあったわけですから、効果があるとは思えません」(前出デスク)

■所属団体代表は窮地に

金澤被告という懐刀が獄につながれたことで、織田代表には大きなダメージとなっていることが想像に難くない。15年からの山口組分裂抗争で、当初は神戸側の陣頭指揮を担った織田代表だが、17年に独立組織を旗揚げして以降は、有力幹部が離脱・引退していった。

存在感が失われる中、金澤被告が奮闘して六代目側に一矢を報いたが後は続いていない。また、金澤被告の事件によって、特定抗争指定暴力団の指定に向けた動きが進められている。

「捜査当局としては、分裂当初にメディアに登場して脚光を浴びた織田代表を面白く思っておらず、金澤被告の事件で唯一指示できる立場である織田代表の刑事責任の追及を諦めていないようです。威信をかけて臨んだ工藤会の野村悟総裁の裁判では、1審の死刑判決から2審の福岡高裁で無期懲役判決に減じられてメンツが潰れました。

指定暴力団トップの死刑判決という成果を上げるため、織田代表の立件も視野に入れているようです。警察庁の露木康浩長官は、5月30日の定例会見で『(抗争の)早期鎮圧に努めたい』と言及しています」(前出デスク)

また、織田代表を狙うのは警察以外にも......

「余嶋組長の事件から1年が経過しましたが、所属していた弘道会はまだ目立った報復をしていない。だが、金澤被告の立件が確実になったことで、動向が注視されている。

分裂抗争は既に大勢が決しており、中堅・末端組員を手にかけてもいまさらという雰囲気が残る。そうなると、金澤被告よりもただ一人、座布団が上である織田代表はターゲットになりうる」(前出A氏)

組織のために死刑覚悟で事件を重ねた金澤被告を称える声は、敵対する六代目側からも強い。そんな金澤被告を従えてきた織田代表が、警察・六代目山口組という二重の包囲網にどのように立ち向かうのか。業界内が注目している。

文/大木健一 写真/photo-ac、X、長野県警

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