“大食いアイドル”もえあずが守り続ける「親の教え」と、転機になった「つんく♂の言葉」

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2024年06月07日 09:01  日刊SPA!

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“もえあず”こともえのあずき
かつて「元祖!大食い王決定戦」(テレビ東京系)において、“爆食女王3連覇”の快挙を成し遂げた“もえあず”こともえのあずきは、大食いアイドルとして10年以上のキャリアを誇る存在だ。そして今なお、アイドルグループ・エラバレシのメンバーとしてステージに立ち続けている。
食べるとは本来、楽しいものだ。しかし、仕事となると話は別で、大食いが高じて“週3で飲んでいたタピオカミルクティー”を見るのが嫌になるほどの苦労も……。公私ともども、ひたすら食べ続けるもえあずのキャリア、プライベートに迫った。

◆「テレビで食べている姿」を親に注意された

――大食いアイドルとして活躍。かつて「元祖!大食い王決定戦」(テレビ東京)で“爆食女王3連覇”を達成した、フードファイターでもあります。

もえのあずき(以下、もえあず):しばらく大会には出場していませんし、フードファイターと名乗るのは現役の方々に恐縮します。肩書きはずっと、大食いアイドルですね。

――2013年に初めて「元祖!大食い王決定戦」へ出場してから、10年以上が経過。街中でもすっかり、注目の的では?

もえあず:街中で「もえあず〜!」と声をかけてくださる方もいるんです。外食で立ち寄ったお店では毎日、視線を感じます。会計で店員さんから「足りましたか?」とボソッと言われるのが、恥ずかしくて……。注文の声だけで気づいてくださるようで、おかわり無料のお店では追加のオーダーをためらってしまいますね。ラーメンを2杯頼んだら4杯来たときがあったし、つい最近では、天丼を食べに行ったら“デカ盛り”で来ました(笑)。

――ペロリとたいらげそうですね(笑)。

もえあず:絶対、残しません。幼い頃から「外食では絶対に残しちゃいけない」と親に言われていて、今でも守っているんです。テレビで食べている姿も注意されて、大会に出場していたときは特に、勝負がかかっているのでヤバい食べ方になっていたときもあるんです。

――食べ方のクセを直すのは、大変そうですね。

もえあず:鏡を置いて、食べ方を見直したんです。YouTubeチャンネルを開設してからはよけいに、クセが気になるようになりました。特に、食事中に髪の毛を触っていたのが気になって、テレビでは顔を映してもらうためにいっそう気をつかっています。

◆5Lの「タピオカミルクティー」はさすがに…

――キレイに残さず食べながらも正直、キライな食べ物もあるのか。気になります。

もえあず:基本、ないんです。でも、仕事で食べ過ぎて「もういらん!」となった食べ物はあります。例えば、タピオカですね。大食い番組で5Lのタピオカミルクティーを完食して、当時はブームで週3で飲んでいたけどキッパリ辞めて、見るだけでも嫌になりました(笑)。

――5Lは想像もつきません(笑)。公私ともども大食いで、食費はどれほどかかりますか?

もえあず:体感、給料の8割です。おいしいものが好きなので、ついお金を使っちゃうんです。具体的にいくらかかっているのかは、怖いので数えないようにしています(苦笑)。

◆つんく♂に背中を押されて大食い番組デビュー

――音楽プロデューサーのつんく♂さんが手がけていたアイドル育成型エンタテインメントカフェ「AKIHABARAバックステージpass」(以下、バクステ)で活動をスタート。アイドルはもちろん、“爆食女王”の原点となりました。

もえあず:ライブの合間に私が、つんく♂さんへ「お弁当がひとつじゃ足りないんです」と話していたのをきっかけに、当時のレギュラー番組でアイドル同士の大食い対決が決まったんです。最初はたしか、5人前か10人前のそばめしを早く食べ切った人が勝ちのルールで、私だけ「なんでみんな、食べ切れないの?」と思うほど、余裕で勝ちました(笑)。

――昔から、大食いだったんですか?

もえあず:食べようと思えば、いくらでも食べられたんです。バクステでは、私たちキャスト用だったお弁当1つだけでは足らなくて、お店へ行く前に食料品を買い込むのが定番で、ライブ前に食べ過ぎてはいけないので、控えめにするのが大変でしたね。

――その後、2013年の「元祖!大食い王決定戦」出演が転機になりました。

もえあず:レギュラー番組で優勝したのを受けて、大食い番組好きのつんく♂さんから「本家に出た方がいい」と言われたので、応募したんです。真夏の炎天下のなか、アッツアツのカレーパンを30分以内に食べ切るルールの予選に出場して、通過できなかったんですけど、反響は大きく、「テレビ番組の影響はスゴい」って思いました。

◆初優勝したときに「売れる未来が見えた」

――食べるのが好きだったといえ、「食べる早さ」を求められる勝負となると、新たな苦労もあったのかと。

もえあず:初めての体験でした。同じ食べ物を時間内にひたすら食べるのは、あんまりないので……(笑)。バクステではお客さんからまかないをプレゼントしていただく制度があり、閉店後には、テーブルいっぱいにまかないを並べて、時間を測って食べ切るトレーニングをしていました。フードファイターの赤阪尊子さんに弟子入りして「アゴを鍛えなさい」と教えていただき、毎日、スルメを噛んでアゴも鍛えました。

――2015年には優勝して、自身初の“爆食女王”の称号を獲得。以降は、3連覇を果たします。

もえあず:初優勝したのはフィリピンのマニラで、炎天下で豚骨ラーメンをひたすら食べました。司会の中村有志さんに「優勝は……もえのあずき!」と言われた瞬間に、売れる未来がパーッと見えて、「人生決まった!」と思いました。

――きっかけとなったつんく♂さんから、お祝いの言葉はありましたか?

もえあず:いつだったか「ここからが勝負」だと言われたんです。芸能界で注目されると「チャンスが巡ってからは1周するけど、生き残れるかはもえあず次第」と言われて、それでも「歌い続けなさい」という言葉も心に残っているので、今もエラバレシとしてアイドルの活動を続けています。

◆時間内に食べ切れるか「恐怖」との戦い

――お酒を片手に、デカ盛り料理に舌鼓を打つYouTubeチャンネルも人気。笑顔でおいしそうに食べる姿が、印象に残ります。

もえあず:母から「笑顔で食べる人のもとには、おいしいものがまた巡ってくる」と教わったんです。だから今も、自然とニコニコしながら食べられるのかなと思います。

――勝負としての大食いに命をかけていた当時よりも、食べること自体を楽しんでいるのかなと。

もえあず:当時はとにかくテレビで目立とうと必死でした。出場者のスタイルも様々なんですけど、私は先行型で。誰よりも早く1皿目を食べ切るシーンは絶対に使われるので、スタートダッシュを決めたいと、番組を振り返って気が付いたんです。テーマとなる料理が発表された時点で「30秒で1皿目を完食して、制限時間が30分だから何分までにこれぐらいの量を……」とシミュレーションもして、アスリートの方のような意識でした。

――大食いバラエティ番組「デカ盛りハンター」でも、時間内に完食していて。計算の賜物では?

もえあず:理想は時間内ギリギリですけど、調整はけっこう難しいんです。計算がミスって1秒でもはみ出せば使ってもらえませんし、正直、嘘をついている番組もあって……(苦笑)。でも、「デカ盛りハンター」のように私の出演番組はすべてガチです。時間に間に合わず、一口分が残っているだけでもアウトですし、失敗の許されない恐怖と戦っています。

◆ボツになった企画は「たくさんある」

――様々な大食い番組に出演して、なかには、過酷な現場もあったのでは?

もえあず:覚えているのは、タコを丸かじりする仕事ですね。島の海辺でゆでダコを頭から足まで食いちぎって、見た目がグロテスクだしきつかった……。フードファイターの方々とも協力して駄菓子屋を1軒丸ごと食べ尽くす企画もあったんですけど、さすがに完食は無理でした。じつは、撮影してもボツになった企画もたくさんあります(苦笑)。

◆アゴを鍛えていた時代は「輪郭が角ばっていた」

――10年以上にわたり、大食いアイドルとしての活躍を続けてきて。振り返っての変化は?

もえあず:勝負のために食べていた時代とは、顔の輪郭が変わりました。アゴを鍛えていたので、当時の写真を見ると見た目が角張っていたんですけど、シュッとした顔に戻りました。食べ物を飲み込む力も衰えたし、今「大食いの大会に参加してほしい」と言われても、結果は出せないかなって思います。

――当初はバクステのアイドルキャストとして、現在はエラバレシのメンバーとしてステージに。大食いをきっかけに、ファンになった方もいるのでは?

もえあず:たくさんいます。私をきっかけに、人生が変わったというファンの方もいるんです。テレビを見てステージへ足を運び、どっぷり“アイドル沼”にハマってしまったファンの方もいて。今は別グループを追いかけている方もいますし、対バンライブで再会できるのがうれしいです。

◆いつかは「世界のもえあず」になりたい

――大食いの背景では「売れたい」との気持ちも強かったと思います。10年以上のキャリアで、手ごたえは?

もえあず:現状に満足していないし、やりたいこともいっぱいあるんです。今は、YouTubeチャンネルの登録者数100万人を目指しています。エラバレシでは台湾によく遠征して、現地でも大食いアイドルの「萌梓(モンツー)」として声をかけてくださるし、日本にいるときより「スターになっちゃった」と勘違いするほどなんです(笑)。言葉が分からなくとも頑張りが伝わるのが大食いの力ですし、憧れるキティちゃんのようにゆくゆくは「世界のもえあず」と呼ばれたいです。

――最後にもう1問。じつは「大食いなのにリップが落ちないのはなぜ?」という、女性からの疑問もあって。秘けつはあるんでしょうか?

もえあず:いくら食べても落ちないリップを使っています。毎日のように聞かれるし、リップは数え切れないほど試して「コレだ!」と思うモノに出会ったんです。いつか自分のブランドを立ち上げて、落ちないリップをオリジナル商品化するのも夢です。今何を使っているのかは、ライブに来てくれたらコッソリ教えます(笑)。

<取材・文/ カネコシュウヘイ 撮影/林紘輝>
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