ストーカーの恐怖、行く先々追いかけてくる気配と音。同僚・友人の本当の顔って?<漫画>

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2024年06月07日 16:00  女子SPA!

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女子SPA!

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学生生活の傍らアルバイトにも精を出す、ヒバリは今時の女の子。充実した日常が壊れはじめたのは、あの鈴の音を聞いてから。『消えたストーカーと浮気相手 スズノネ』(KADOKAWA)は、日常にひそむ恐怖をあぶりだした問題作です。

◆私を脅かすのは誰?

主人公・ヒバリが最初に鈴の音を聞いたのは、アルバイト先の同僚、タクローがスマートフォンに付けていたストラップでした。

彼の祖母の形見だというその鈴の音が、なぜか頭から離れません。ヒバリが行く先々で、チリンという鈴の音が追いかけてきてくるのです。ついには、家のドアの前にタクローが立ち尽くしていて…。

ことの発端は小さなことでも、一度気にしてしまうと頭の中にこびりついて、やがて伝染病のように体中をむしばんでしまうもの。ヒバリの毎日は鈴の音に支配され、鈴の音の恐怖はそのままタクローへの猜疑心(さいぎしん)へと変わっていきます。タクローはストーカーかもしれない、そんな妄想に苦しめられていくのです。

◆ストーキングの鈴の音、その正体は?

自らを追いつめていき、ついに言動までおかしくなってしまうヒバリ。そんなヒバリを常に心配し、元気づけていたのが親友のとうこでした。

ヒバリととうこはルームメイトで、アルバイト先も一緒です。そんなとうこが阻止するのを振り切って、ヒバリはタクローをストーカーだと責めてしまいます。

しかし、タクローは随分前から鈴をはずしているという事実が判明。ヒバリは愕然(がくぜん)とします。

鈴の音の正体は何?信じていいのは誰?二転三転する結末に、あなたの背筋は凍るはず。目の前で繰り広げられる現実は、はたして本当に真実なのでしょうか。

◆アロマの匂い、クローゼットの鈴の音

1冊におさめられた続いての作品「消えた旦那の浮気相手はずっと隣にいました」の主人公・ゆみは結婚3年目。結婚相談所でマッチングした夫は公務員で、おたがい条件重視で一緒になりました。

愛のない生活はじょじょに破綻し、ゆみが離婚に踏み込もうとした矢先に、匂ってきたのが夫の浮気疑惑です。

“別に夫が浮気しようがかまわない。とはいえ自分が不在の時に女を連れ込まれるのはたまらない。家の中に見ず知らずの女の香水が漂うのは、生理的に嫌だ”

この心理は、読んでいてとてもよくわかります。夫や夫の浮気相手はどうでもいい、でも自分が暮らす家を汚されるのは我慢ならない。

ゆみは夫の言動を注視し、入念に探りを入れはじめます。するとどこからか、鈴の音が聞こえてくるのです。

◆浮気はきっかけに過ぎなかった

夜中、ゆみが確かに聞いたと思った鈴の音。翌朝、夫にたずねてもとぼけるばかり。夫の目の前でクローゼットをあけても、特に変化はなく、いつものクローゼットです。

ゆみが夫を問い詰めるも「気のせいだろう」と夫はスルー。当然、ゆみも気のせいだと思いたい、でも、部屋の空気の異様さに、ゆみの疑念はますます深まるのです。

悶々(もんもん)とした日々は、意外な形で終焉を迎えました。夫の正体は、実は…。

◆犯罪や問題行為が、実はすぐそばに

ストーカー、浮気。物事の本質は、もしかしたらそこにあるのではなく、その奥にひそんでいるのかもしれません。おかしいのは誰なのか、自分なのか彼なのか彼女なのか。

本書を読むと、遠くにあると思えた犯罪や問題行為が、実はすぐそばで行われていると実感します。

ヒバリ、ゆみ。真実にたどり着いたふたりが、今後どう生きていくのか。あなたの目で見届けてみてください。

<文/森美樹>

【森美樹】
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。X:@morimikixxx

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