ヒョンデの新型EV「アイオニック5 N」は超高性能! ところで、日常使いはどうなの?

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2024年06月08日 11:10  マイナビニュース

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韓国のヒョンデ(Hyundai)が作った高性能電気自動車(EV)「アイオニック5 N」(IONIQ5 N)が日本で発売となった。最高で650馬力を発揮する超強力な新型EVは、サーキット走行はもちろん日常のお買い物にも気軽に使えるマルチな能力を秘めている? 実車を取材してきた。


圧倒的! 「アイオニック5 N」の能力を確認



「アイオニック5 N」はヒョンデのハイパフォーマンスブランド「N」から初登場となるEVだ。特別仕様の「ファーストエディション」は50台限定で予約注文を行い、すでにほぼ完売状態。カタログモデルは858万円で販売する。


ブランド名の「N」は開発拠点がある韓国「ナムヤン」と走行テストの舞台となったドイツ「ニュルブルクリンク」の頭文字にちなむ。ヒョンデがレースで培ってきた技術や経験をタネに市販車を開発するというスタンスで、2015年にクルマ作りを始めた。立ち位置としてはメルセデス・ベンツの「AMG」やBMWの「M」などに近い。



「アイオニック5 N」のベースモデルはEVの「アイオニック5」だ。このクルマにNが手を加え、超高性能EVに仕立てた。開発の柱は「コーナリング性能」「サーキットを本気で走れる能力」「日常もドライビングを愉しむ」の3つ。日本のエンスージアスト(熱狂的なクルマ好き)にも、「ハイパフォーマンスEV」の新たな在り方や選択肢として認識してもらうことを目指しているという。


搭載するパワーユニットの動力性能はフロント175kW、リア303kW、システム合計で通常時448kW(609PS)/740Nm。ステアリング右上の赤いボタンで起動する「N Grin Boost」(Grinはニヤリとするという意味)使用時は10秒間だけ478kW(650PS)/770Nmという最大能力を発揮する。最高速度は260km/hで、停止状態から100km/hまでの加速に要する時間(ゼロヒャク加速)は3.5秒(N Grin Boost使用時は3.4秒)と性能は圧倒的だ。


走りを楽しむための機能がてんこ盛り!



とまあ、ここまでは単純に速いEVなのだが、面白いのは走りを楽しむための各種機能が充実していて、コックピット内で自由自在に設定できるところ。例えばこんな機能が使える。


Neシフト:モータートルクを制御して、マニュアルトランスミッションのシフトチェンジをシミュレートできる。パドルシフトを使用し、8,000rpm近い擬似レッドゾーンに入ると、リミッターに当たるような振動が伝わるというリアルなセッティングになっている。

Nローンチコントロール:停止状態から最大加速性能でスタートできる。

Nドリフトオプティマイザー:前後輪駆動比率と車両制御を最適化し、ドリフト走行がスムーズに行える。

Nトルクディストリビューション:前後の駆動比率をドライバーが変更できる。

Nペダル:アクセルOFFで回生ブレーキを使用してすばやくコーナーに侵入できる。

レフトフットブレーキング:特定条件下でブレーキとアクセルのペダルを同時使用する左足ブレーキを可能にする。


サーキット走行ではこんな機能も使える。


Nバッテリープレコンディショニング:「Drag」モードと「Track」モードのそれぞれで、走行スタイルに応じ、あらかじめ最適なバッテリー温度に設定する。

Nレース:トラック走行時に長時間、最上の性能を発揮できるよう冷却性能を最大化する。


最後の2つについては先日、袖ヶ浦フォレストレースウェイを「アイオニック5 N」で実際に走って体験したが、確かに、サーキットを周回しても性能が低下しなかった。ヒョンデによれば、あのニュルブルクリンク北コースを1ラップ7分台で2周できることも、すでに証明済みだという。


EVなのに音がする?



「アイオニック5 N」の最大の特徴は「Nアクティブサウンド+」だ。このクルマ、バッテリーとモーターで走る完全な電気自動車でありながら、車内外のスピーカーから内燃機関搭載車(ICE)を運転しているかのような“音”が聞こえてくる。



「Nアクティブサウンド+」では3つのモードが選べる。



「イグニッション」は他のNモデルが搭載する2.0Lターボエンジンのサウンドを発生させる。音は仮想のエンジン回転数やトルクに合わせて変化するので、エンジン車らしさはこれがイチバンだ。「エボリューション」は高性能EVらしい音。「スーパーソニック」はジェット機のソニックブームを模したサウンドとなっている。


袖ヶ浦の一般道を走行した際には、剛性が上がったボディにより、乗り心地がベースモデルよりもさらに向上していることが確認できた。5人が乗れる広い室内、480L(VDA)という十分な積載能力、561kmの航続距離など、クルマとしての基本性能はしっかりと備えているので、買い物や通勤などの普段使いも問題なくこなせる。


発表会の席上、「このクルマのライバルは、今のところないと考えています」と答えた趙源祥ヒョンデ モビリティ ジャパン社長の言葉の通り、「アイオニック5 N」はマルチな才能を備えた特異なEVだ。とがったクルマを陣頭に立てて日本市場に切り込むヒョンデの戦略は、着実にディーラー網を整備することで販売台数増加を目論む正攻法のBYDとはまるで異なっていて、こちらはこちらでなかなか興味深い。



「アイオニック5 N」の販売はオンラインで行う。「ヒョンデカスタマーエクスペリエンスセンター横浜」では発売日の6月5日から、クルマやNパフォーマンスパーツなどを展示してNブランドの世界観を日本に伝える「Nスペース」を展開中。ここでは試乗予約や購入相談もできるという。「ヒョンデ シティストア 名古屋」や「Hyundai Mobility Lounge 京都四条」でもNスペースを展開予定だ。


さらに、日本のオートバックスセブンと協業し、Nパフォーマンスパーツの展示、販売、取り付けサービスを開始するとともに、オリジナルチューニングパーツを開発することも明かされた。



原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。 この著者の記事一覧はこちら(原アキラ)

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