【漫画】転校後ひと言もしゃべらない男子、学級委員が気づいたのはーー「普通」とは何かを考えさせるSNS漫画に注目

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2024年06月08日 18:00  リアルサウンド

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『三山くんはしゃべらない』より

 「普通」とはズレているように見える人に対して、悪意を持ってからかう人もいれば、善意から「普通」になるためのアドバイスを送る人もいる。前者は論外として、後者おいても重要なのは、「普通」を押し付ける前に相手を理解しようと努力することだろう。5月末にXに投稿された創作漫画『三山くんはしゃべらない』は、そんな「普通」をめぐる中学生の葛藤が描かれた作品だ。


(参考:漫画『三山くんはしゃべらない』を読む


 中学校のとあるクラスに転校してきた三山は、一向にしゃべらない。三山はクラス内で孤立していき、見かねた担任の先生は、学級委員の紗倉に三山と仲良くなるようにお願いする。仕方なく受け入れた紗倉は三山に話しかけるが、相変わらず返答はない。困惑する紗倉だったが、実は三山がずっと小さな声で話していたことに気づく。実は三山が接しやすい性格だと知った紗倉は、仲を深めていこうとするが……。


 本作を手掛けたのは、漫画制作講座を受けたことをキッカケにまとまったページ数の漫画を描くようになり、現在は家事の合間で制作に取り組んでいるというもずももこさん(@mo_x_2)。「普通」という先入観や圧力について考えさせられる本作の誕生秘話など、話を聞いた。(望月悠木)
■三山がダジャレをよく言う理由


――なぜ『三山くんはしゃべらない』を制作したのですか?


もず:私が受講していた漫画講座の卒業制作が“漫画のネームを1本描く”というものだったので、そのために本作を制作しました。


――声が小さい男子生徒を軸にした理由を教えてください。


もず:私自身声が小さく、そのことを注意されたり怒られたりすることが多く、「耳を鍛えてでも聞き取ってくれる人が現れたらいいな」という願望があったからです。それをベースにとして、本作の困難となる先生を登場させたりなどしてストーリーを膨らませていきました。


――お菓子をキッカケに仲を深めていく、という展開が子どもらしく、リアリティがありました。


もず:「学校で食べるお菓子ってちょっと特別でいいな」という思いからお菓子をキッカケに会話していく展開にしました。あと単純に自分がチョコが好きだからというのもあります。


――三山と紗倉のビジュアルは何をイメージして描いていきましたか?


もず:三山くんは大人しいキャラですので、わかりやすくメガネ・黒髪・猫背にしました。紗倉さんは自分の中で一番描きやすい女の子にしています。


――ちなみに三山を“ダジャレをよく言う”という設定を加えた狙いは?


もず:“大人しいけど実はいろいろ考えている”というキャラにしたかったので、“ダジャレをよく言う”という設定にしました。やたらダジャレを言うとうっとおしいヤツと思われてしまいそうですが、三山くんには友人はいません。うっとおしがられる経験もしていなかったので思いついたらすぐ言ってしまう、という背景もあります。


■「面倒事を避けたい」という社会人


――先生の言動について、考えさせられるところも大きかったです。先生にモデルはいたのですか?


もず:特定のモデルはいません。ただ、先生というよりは、「自分も含む“大人”ってこういうところあるよな」ということをイメージしながら先生というキャラを作りました。


――優等生に面倒事を押し付けたり、“普通”に固執していたり。先生の言動はどのように決めていったのですか?


もず:特別悪意があるわけではなく、「面倒事を避けたい」という社会人としてよくある気持ちがダメな方向に出てしまっている人、という意識でセリフや態度を決めました。


――もずさんの今後の漫画制作における展望を教えてください。


もず:細々でも良いのでマイペースに漫画を描き続けられたらと思っています。また本作を含む漫画短編集を電子書籍で配信しているので、そちらも読んでもらえると嬉しいです。本作の続編と言いますが後日談を描いたオマケの漫画も収録されています。


(望月悠木)


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