65歳年収1200万円。老齢厚生年金の支給停止分や老齢基礎年金は、繰り下げても増えないのですか？

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、65歳で年収1200万円の方の繰下げている老齢厚生年金と老齢基礎年金についてです。

Q：65歳在職中、年収1200万円です。厚生年金支給停止がわかっていたので年金受給はがきを出してません。70歳まで働く予定ですが、厚生年金支給停止分は増えないのですか？ 老齢基礎年金は増えていきますか？

「65歳在職中、年収1200万円です。厚生年金支給停止がわかっていたので年金受給はがきを出してません。70歳まで働く予定ですが、厚生年金支給停止分は増えないのですか？ 老齢基礎年金は増えていきますか？」（くにちゃん）

A：在職老齢年金制度により支給停止されている老齢厚生年金は繰下げ受給しても増えません。老齢基礎年金は増えていきます

相談者のように、60歳以降厚生年金に加入して働くと、おおよその給与（総報酬月額相当額）と年金の基本月額（老齢厚生年金の報酬比例部分）の合計額が50万円を超える場合は、老齢厚生年金受給額が一部または全額支給停止されます。これを在職老齢年金制度といいます。

相談者は、年収1200万円とのことですので、認識のとおり在職老齢年金制度によって老齢厚生年金は全額支給停止されます。

65歳で老齢年金受給の請求をしないと、ひと月あたり、0.7％年金受給額が増額されていきます。これを繰下げ受給といいます。繰下げ受給は、最長75歳まで繰下げることができます。増額された年金を一生涯受け取れます。

ですが、在職老齢年金制度によって支給停止となった老齢厚生年金額は、繰下げ受給しても増額されません。老齢基礎年金は在職老齢年金制度の支給停止の対象ではありませんので、増えていくことになります。

監修・文／深川 弘恵（ファイナンシャルプランナー）

都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
(文:All About 編集部)