元日テレ永井美奈子アナ「主婦として生きた20年」気づけば子どもは巣立ち“空っぽの自分”に

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2024年06月09日 08:10  週刊女性PRIME

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元日本テレビアナウンサーの永井美奈子さん

テレビ全盛の'80〜'90年代、華やかな活躍を見せた“女性アナ”たち。時がたち、還暦を迎える年齢となった現在はどのような生活を送っているのか。かつての苦労や第二の人生について、元日本テレビアナウンサーの永井美奈子さん(58)に話を聞いた──。

「家族優先ではない本来の“永井美奈子”を取り戻さなきゃって」

「すべて昔と勝手が違って、もう浦島太郎でした(笑)」

 と言うのは、元日本テレビアナウンサーの永井美奈子(58)。

 結婚・出産を機にテレビから距離を置いていたが、一昨年20年ぶりに復帰。元祖アイドルアナといわれた彼女も今やアラ還で、「昔と一番違うのは、テレビが4Kになったこと。あれは本当に困ります。細かいしわや毛穴まで全部映ってしまうので」と笑う。

 成城大学時代は「ミス成城」に輝く評判の美貌。バブル真っ盛りのころで、バイトはモーターショーのコンパニオン、遊び場は『マハラジャ』。

「大学4年間はとにかく弾けてました。でも入社したとき、六本木のディスコクイーンが入ってくるってちょっと噂になったんです。これはマズイと思って、入社後は夜遊びも合コンもせずひたすら地味に過ごすようにしてました(笑)」

 売れっ子アナのイメージが強いが、下積み時代は長く、「最初の4年間は本当に仕事がなくて。1週間ほとんど仕事がない時期もありました」

 と振り返る。そこでアナウンサーとしての姿勢を叩き込まれた。今とは違い、新人教育も手加減なし。厳しく叱責されることも日常茶飯事だ。

「日テレのアナウンス部は体育会系だったので厳しかったですね。あなたたちはあくまでアナウンサーだから、アナウンスメントをちゃんとするのが仕事と教え込まれました。人気が出てくると足をすくわれるようなこともあるけれど、あの教えがあったから勘違いせずにこられた気がします」

 入社当時、日テレの視聴率は振るわなかった。しかしやがて黄金時代がやってくる。朝から晩まで視聴率トップが続き、3冠王に輝く。

 彼女も下積み時代を脱却し、『ジパングあさ6』『マジカル頭脳パワー!!』をはじめ、多くのレギュラーを抱えている。

「日テレの黄金期でした。報償金がすごくて、例えば高視聴率になると会社から金一封が出るんです。それが番組にストックされていくのだけれど、『ジパングあさ6』は月〜金だから5日間貯まりっぱなし。スタッフ全員でヨーロッパに行ったり、ハワイにも行きました」

 日テレ開局40周年時には、後輩の藪本雅子、米森麻美とDORAを結成。歌にドラマとアイドル並みの活躍で、“女子アナ”ブームを巻き起こした。

「寝る時間はなかったですね。3、4時間の睡眠を細切れでとる感じ。やっぱりしんどかったし、日テレを辞めたのもそれが理由の一つでした」

 フリーに転身後、36歳で結婚。妊娠・出産と並行して、大学院のメディア研究科で学ぶ。実は学生復帰は結婚前からの計画だったという。

「出会いもないし、もう私はこのまま結婚しないだろうなと思っていたんです。それで大学院に行く準備を始めていたら、夫と出会って──」

クラシック音楽のプロデュース業を開始

 大学院を卒業後、非常勤講師に就任。研究領域に自身の体験を重ねたメディア論を教えている。なかなかの人気教授のようだ。

「最初は本当に手探りでした。ただ学生から“今までの講義で一番面白かったです”と言ってもらうようなこともあって。彼らの声に励まされ、何とかやってきた感じです」

 4年前からクラシック音楽のプロデュース業をスタート。『霞町音楽堂夏Fes.』、略して『おんなつ』を開催。

「2020年コロナ禍。私が相談役をやっている『霞町音楽堂』でも音楽家が発表の場を失いました。音楽を止めない!それだけの意気込みで古巣の日テレにちなんで、24時間クラシック史上初24時間音楽配信を開催しました。ところが、これは大赤字になって、24時間配信はもうやめてくれと言われました(笑)」

 今年は7月にサントリーホールで『おんなつ』を開催。大学院での指導と『おんなつ』のプロデュース業は現在の活動の二本柱だと話す。

「テレビ出演の再開も、『音夏』の認知が大きな理由としてありました。『おんなつ』では若手音楽家の応援もしています。大学もそうですが後進の応援をする年になってきたのだと思います」

 還暦を迎えるまであと1年余り。テレビ復帰も果たし、第二の人生の展望はというと?

「まずは永井美奈子を取り戻さなきゃと考えていて……」

 主婦として生きた20年を経て新たな一歩を目指すと語る。

「ずっと家族優先で生きてきました。夕飯一つにしても、夫が何を食べたいか、子どもが好きだから、とずっと考え続けた20年でした。だから、あなたは何が食べたいのと聞かれても決められないんです。それってすごく怖いなと思う。気づけば子どもは巣立ち、空っぽの自分になっちゃう。

 今は自分を少しずつ取り戻していこうとしているところ。大きな計画はないけれど、もう少し自分を可愛がってあげたい。とりあえず本来の永井美奈子に戻ったら、その先を考えようと思っています」

永井美奈子(ながい・みなこ)●1965年生まれ。'88年日本テレビ入社。元祖“アイドルアナ”として人気を博す。結婚・出産でテレビから離れていたが、'22年に本格復帰。現在は成城大学非常勤講師、日テレ学院講師としても活躍。

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