「腕時計に100万円は高すぎる」ロレックスよりもコスパの高い“予算50万円台”高級腕時計5選

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2024年06月09日 16:31  日刊SPA!

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オメガスピードマスター3570.50
―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―
◆ロレックスを30万円台で買えたのは昔の話

 腕時計投資家の斉藤由貴生です。

 私が初めて高級腕時計を買ったのは1999年のことですが、当時はオメガが10万円台、ロレックスが30万円台(並行品の新品実勢価格)といった相場でした。

 現在の相場を見ると、『昔は安かった』と思われることでしょう。ただ、当時の感覚からしても、腕時計に10万円ものお金を出すのは「高い」と感じました。それが、いざ勇気を出して買うと、その魅力にはまり、どんどん予算感が広がっていくということになるのです。

 これは、私に限ったことではなく、最初に30万円程度のロレックスを買った人が、次に40万円ぐらいのパネライ、その次に50万円ぐらいのフランクミュラーと「ステップアップ」していく光景が珍しくありませんでした。

 そして、そのうち予算が100万円以上になり、腕時計の良さに目覚めてしまった人にとって「100万円の腕時計を買う」という行為は、“普通”となっていくわけです。

 しかし今、ロレックスといった人気高級腕時計を買おうと思ったら、最初から100万円ぐらいの予算が必要となっている状態であります。

 高級腕時計を買った経験がある人からすると「100万円」という予算は“普通”である一方、買ったことがない人が最初の1本を買おうと思ったときに「いきなり100万円」というのは、ハードルが高いといえます。

 ということで今回は、主に高級腕時計を買ったことがない方向けの入門編として、予算50万円程度で購入できる高級腕時計を考えて見たいと思います。

◆万人向け腕時計の予算は40万円以上

 現在、ハイブランドの中古腕時計は10万円ぐらいから狙える個体があるのですが、実は価格が低いモノほど初心者向けではないように感じます。例えば、タグホイヤーには、10万円未満で購入可能な機械式モデルであるわけですが、1997年に出た「キリウム」というシリーズを知っている人はあまりいないでしょう。実はこのモデル、マニアックなタグホイヤーファン目線では「良さ」がわかるため、きちんと楽しむ事ができるといえます。ただ、知識や経験がない初心者が買ったとしても、キリウムの良さが分からず、買った後に満足しない可能性があるのです。

 また、予算30万円程度であれば、カルティエのパシャ38mmを狙うことができるのですが、この時計の見た目もまた、初心者向けとはいえません。パシャ38mmは、上級モデルという役割が与えられていたため、発売当初の新品実勢価格はロレックス主要モデルよりも高値でした。

 現在、サブマリーナーの16610は、最安値(ABランク以上)が約120万円となっていますが、2001年当時、16610の新品実勢価格は約38万円。それに対して、パシャ38mmは約45万円もしたのです。

 2012年頃までの中古相場において、両者の相場差は10万円未満といったところでしたが、2013年以降は16610の相場が上昇。その結果、今や両者の相場差は90万円程度となっているわけです。

 こういったことを考慮すると、上級モデル、なおかつ独特な世界観があるパシャ38mmを約30万円で買う、ということが魅力的といえますが、これもまた高級腕時計初心者からすると「理屈は分かっても実感がわかない」となるかと思います。

 ですから、安価な価格帯の中古腕時計ほど「慣れている人向け」といえるため、初心者向けの高級腕時計は予算40万円以上となるわけです。

◆予算50万円程度で買える腕時計

 予算50万円となると、有名なモデルや、多くの人が「格好良い」と思うような、万人受けするモデルが選択可能になります。

 最もオーソドックスな選択肢としては、オメガスピードマスターの3570.50(通称ムーンウォッチ)がありますが、これは現在約54万円〜という中古相場となっています。

 また、他の選択肢としては、IWCのポルトギーゼ(IW371401など)が約55万円、ロレックスのエアキング(14000M)が約46万円であります。

 いずれも、人気要素を含んだ腕時計、なおかつ使い勝手が悪いという評判を聞かないような存在であるため、「良い選択肢」だといえるでしょう。

 また、もう少し安価なモデルとしては、チューダーのヘリテージクロノ(70330)の黒文字盤が約41万円となっており、比較的新しい世代、なおかつ人気モデルとしては、最も手が出しやすいと感じます。

 さらに、パネライは多くのモデルが50万円前後で購入可能となっている傾向があるため、この予算では最も「選択肢が多い状態」となっています。

◆予算50万円高級腕時計のおすすめポイント

<オメガスピードマスター3570.50>
超有名モデル。高級腕時計の人気モデルの代名詞的存在。数年前まで新品が30万円で買えたが今や中古最安値が50万円以上。お得感は無いが、ずっと値上がりしてきたという実績あり。有名モデルであるがゆえに、つけている人が多いというデメリットも。

<IWCポルトギーゼIW371401>
2010年頃までの相場では、5桁世代ロレックス(現在相場100万円以上)よりも高値というポジションだった。ロレックスの相場が「上昇」となる一方、ポルトギーゼは長らく相場が変わらなかったため、今でも10年前の相場に近い価格で購入可能。お得感が高い一方で、値上がり実績はスピードマスターに負けている。今後も、今のような値動きが続いたならば、「スピードマスターのほうが高くなる」という逆転現象が発生する可能性も否定できない。

<ロレックスエアキング14000M>
2000年頃にデビューして2007年頃まで現行だったモデル。近代的なロレックスでは最も安価に購入可能となっている。ロレックスであるがゆえに使い心地は抜群だといえる。マイナス点は、ケースサイズが約34mmといった小ぶりな点。現在の基準からすると、やや小さく感じるかもしれない(日本人の腕にはしっくりくる)。

<チューダー ヘリテージクロノ70330N>
クロノグラフという人気要素、なおかつかつての名作の復刻版といったキャラクター。時計ファン目線でも、初心者目線でも「グッと来る」1本だといえる。チューダーは、ロレックス系列のブランドであるため、こういった内容が40万円台前半で買えるのは魅力的。

<パネライ全般>
2015年頃までは、5桁世代のスポーツロレックスよりも高値といった印象だったが、今やロレックスの半額程度となっている側面がある。2015年から2022年頃まで「あまり値動きしない」という傾向があったが、近頃は「久々の値動き」となっているモデル多々あり。2010年頃までパネライは、「ロレックスの次に買う時計」といった印象があったといえる。かつての印象からすると、ロレックスのライバルといえるわけだが、今やロレックスより安価に購入可能となっているため、良い選択肢といえる。

◆高級腕時計のステップアップモデル

 このように、予算50万円程度出せば、人気モデルをいくつも狙うことができるわけですが、初心者の方はこういったモノを買ってみて、その後ステップアップしていくというのが良いかと思います。

 人によって好みはあるでしょうが、私個人的には、最初の1本としてチューダーのヘリテージクロノを買って、次に予算100万円ぐらいでロレックスを狙う。その後は予算を増やしていき、いわゆる人気モデルを買うのが良いかと思いました。

 かつてのように「オメガは10万円ぐらい」、「ロレックスは30万円ぐらい」という分かりやすい予算感が無い昨今ですが、「ざっくり50万円ぐらい」であれば、人気モデルを買うことも選択肢に入ります。

 高級腕時計に興味があるという方は、ぜひ50万円の予算で1本買ってみてはいかがでしょうか。

<文/斉藤由貴生>※各モデルの価格はABランク以上の最安値、腕時計投資ドットコム調べ

―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―

【斉藤由貴生】
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

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  • 【腕時計投資家】なんて人からすれば、自分が買った腕時計をそれより高く買う人が大勢いれば好都合なわけで…。これは、そういう記事なのでしょう。
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