70歳ぐらいまで月50万円の収入があると思うので老齢厚生年金は請求しない予定。老齢基礎年金は65歳から受給した方が得でしょうか?

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2024年06月09日 18:31  All About

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年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。今回は、70歳ぐらいまで給与収入がある方の年金を受け取るタイミングについての質問に、専門家が回答します。
老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。

今回は、70歳ぐらいまで給与収入がある方の年金を受け取るタイミングについての質問です。

Q:70歳ぐらいまで月50万円の収入があると思うので老齢厚生年金は請求しない予定。老齢基礎年金は65歳から受給した方が得でしょうか?

「2024年7月で65歳になります現役会社員です。70歳ぐらいまで月50万円程度の収入があると思うので老齢厚生年金は請求しない予定です。しかし老齢基礎年金は65歳から受給した方が得のように思いますがいかがでしょうか」(まさ)

A:老齢基礎年金をいつもらい始めるとお得かどうかは一概には言えません。生活費の収支や今後のライフプランを考慮して決めましょう

相談者は2024年7月で65歳、70歳まで月50万円程度の給与収入があるため、老齢厚生年金は65歳で請求しない予定、と書かれています。

老齢年金(老齢基礎年金と老齢厚生年金)は、原則65歳から受け取れますが、希望すれば65歳では受け取らずに75歳になるまで遅らせることができます。ひと月あたり0.7%増額された年金を一生涯受け取れます。これを繰り下げ受給と言います。

ただし、60歳以上で厚生年金に加入して働き、老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額とおおよその給与収入の合計が、支給停止調整額の50万円を超えると、老齢厚生年金が全額もしくは一部支給停止になります(在職老齢年金制度)。繰り下げ期間中の老齢厚生年金も在職老齢年金制度の対象になり、支給停止になった老齢厚生年金は増額されません。一方で老齢基礎年金は在職老齢年金制度の対象にはなりません。

相談者の場合ですが、65歳以降に月収が50万円程度の予定、とありますので、在職老齢年金制度によって老齢厚生年金が一部支給停止になる可能性が高いかと思います。ただし老齢厚生年金が一部でも支給されていれば、配偶者加給年金額はもらえます。もし老齢厚生年金を繰り下げた場合、在職老齢年金で支給停止となった老齢厚生年金は増額しませんし、繰り下げた期間の加給年金はもらえません。

一方で、老齢基礎年金は在職老齢年金の対象ではないので、65歳から受け取った場合は全額支給されますし、繰り下げした場合は増額します。もし給与だけで生活ができるのであれば、老齢基礎年金も繰り下げ受給の申請をすると増額された老齢基礎年金を受け取ることができます。

「老齢基礎年金を65歳からもらったほうがお得か?」という質問についてですが、年金は長生きするほど多くもらえるものです。それぞれの方の寿命にもよりますので、いつもらい始めるとお得かどうかは、一概には言えません。「できるだけ年金は早く受け取っておきたい」というご意向があれば、老齢基礎年金を65歳から受け取るのも一考です。

生活費の収支や今後のライフプランを考慮して、老齢基礎年金を65歳から受け取るかどうかは検討してはいかがでしょうか。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)

都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
(文:All About 編集部)

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