フライブルクでは“攻撃的WB”で新境地開拓…堂安律が日本代表にもたらせるもの

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2024年06月10日 06:01  サッカーキング

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日本代表のトレーニングに臨む堂安律 [写真]=湊昂大
 FIFAワールドカップ26アジア2次予選兼AFCアジアカップサウジアラビア2027予選・グループB第6節のシリア代表戦を11日に控える日本代表。試合開催地の広島に入ってトレーニングを続けるなか、9日の練習後にMF堂安律(フライブルク/ドイツ)が報道陣の取材に応じた。

 6日に行われたミャンマー代表との一戦、日本代表はこれまでベースとして戦ってきた4バックの形ではなく、3バックで試合をスタート。右ウイングバック(WB)に菅原由勢(AZ/オランダ)、左WBに中村敬斗(スタッド・ランス/フランス)を置く、3−4−2−1の形で試合に入った。

 結果は相手との実力差も相まって、5−0の快勝。だが、堂安は「行ったり来たりというか、ミスが続いている時にまだ行きがちなシーンは何回かある」と、試合を落ち着かせる部分に課題が残ったと主張。そこで参考として名前を挙げてくれたのが、普段自身がプレーしているブンデスリーガで、2023−24シーズンに前人未到の無敗優勝をやってのけたレヴァークーゼンと対戦した際の経験だった。

「レヴァークーゼンと試合をした時、(所属クラブの)フライブルクからしたら格上なので、カウンターのやり合いの方がやりやすい。ですが、ボランチが気を利かせて待ったり、貯めたりして、こっちがやってほしいようなプレーをしてくれない。その上で常に向こうが主導権を握ってくるので、さすがだなと思いました」

 相手がミャンマー代表のように、わかりやすく力の差があるとき、日本代表はどうしても“イケイケ”なムードで前へ出ていく場面が多い。だが、堂安はレヴァークーゼンの姿勢を見て、試合の状況によっては「行かずにあえてボールをキープする時間、持って一呼吸着く時間を作る部分は、日本代表でもやっていく必要がある」と語る。行くところ、落ち着くところをチームの全員が共有しながら、主導権を握り続ける戦いを身に付けなければならない。

 ドイツでの経験を還元できそうな点は、個人としてももう1点ある。それは、所属クラブのフライブルクでWBとして新境地を開拓したこと。フライブルクは4バックと3バックの形を併用して戦うチームだが、当初堂安は4バックなら右ウイング、3バックならシャドーのポジションで起用されることが多かった。だが、2023−24シーズンの終盤戦、フライブルクは3バックがメインの形となっただけでなく、クリスティアン・シュトライヒ監督は堂安を右のWBで起用。2試合連続ゴールを決めてシーズンを終えるなど、徐々に堂安もWBでの自身の活かし方を身に付けていった印象だった。

「フライブルクでは、託される役割の部分で、WBとは思えないほど高いポジションをとっています」と口にする堂安は、その背景を「ウチの監督は、レヴァークーゼンのようなサッカーをイメージしていて、WBとして点を取る役割を託されていました」と説明する。仮に日本代表でWB起用される場合も、おそらく攻撃面での仕事を期待されての起用となるが、そこはもちろん堂安自身も理解している。「このチームでも、もしそのポジションを託されるのであれば、それはおそらく守備的な要因からくるものではない。そこ(WB)から得点やアシストを狙えるような役割を担っていきたい」と意気込んだ。

 一方で、堂安は自身のことを「僕はザ・WBのプレースタイルではないです」と話す。それはあくまでも「スピードでサイドを切り裂くタイプではない」という特徴面の話だが、スピードがなくてもサイドで攻撃を活性化させる術はいくらでもある。そこで具体例として名前を挙げたのが、マンチェスター・シティ所属のポルトガル代表MFベルナルド・シルヴァだ。スピードを前面に押し出すタイプではないが、「彼がいることでボールが回る。そのイメージは持っている」と堂安。“攻撃的WB”としてプレーする自身がもたせるものについて、「右サイドでのポジショニングやパスの精度で、試合全体をコントロールすること」と話した。

 加えて、ドイツを席巻したレヴァークーゼンの左WB、スペイン代表DFアレハンドロ・グリマルドからも、タイプは異なれど学ぶことがあったという。「彼の得点能力を見て勉強した部分はあります。中に入っていくタイミングですよね。WBとはいえ、右からのクロスに入っていくタイミングはピカイチでしたし、そりゃボールがこぼれてくるよなって場所にいたので」

 その「こぼれてくる場所にいる」という点では、ミャンマー代表戦にて堂安が挙げたゴールも、MF鎌田大地(ラツィオ/イタリア)の放ったシュートのこぼれ球を押し込んだ“ごっつぁんゴール”だった。試合後には「ラッキーです(笑)」と振り返っていたが、一方で「あそこにいることでゴールは生まれる。WBだったとしても、いるべきところにいるのは意識したいです」とも主張。“ゲームメイカー”と“フィニッシャー”、双方の役割を担うWBが堂安にはお似合いだ。

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