ヤバすぎる同僚のLINEにウンザリ…スタンプ「連続999回」の波状攻撃、「死ね」「殴る」メッセも、パワハラ飛び越え犯罪か

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2024年06月10日 10:00  弁護士ドットコム

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職場の同僚から送られてくるLINEスタンプに悩まされているーー。そんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。


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相談者によると、同僚からはイライラの感情や暴行を連想させるスタンプや、相談者の所在地を尋ねるスタンプなどが送られてくるといいます。



ときには、そうしたスタンプが「約999回」も続けて届くそうです。それだけでなく「死ね」「殴る」といったメッセージのほか、女性の裸の写真まで送りつけられると話します。



こうしたLINEのスタンプやメッセージはパワーハラスメント(パワハラ)にあたるのでしょうか。労働問題にくわしい金井英人弁護士に聞きました。



●「LINE999連投」は恐怖を感じさせる常軌を逸した行為【弁護士の見解】

——そもそも、どういう行為がパワハラになるのでしょうか



パワハラとは、職場における(1)優越的な関係を背景とした言動であり、(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたもので、(3)労働者の就業環境が害されるものをいいます。



身体的攻撃のほか、人格否定やひどい暴言などの精神的攻撃や、無視・仲間外し、過大・過小な要求、プライベートへの過度な立ち入りなどが該当します。



——職場の同僚が「イライラ」や暴行を連想させるLINEスタンプを約999回も送る行為はパワハラにあたるでしょうか



今回のケースは「同僚」なので、一見すると(1)の優越的な関係がないように思われますが、仕事の経験が豊富だったり、集団を率いている同僚など、自分より強い立場にある場合には、上司部下の関係がなくてもパワハラにあたる場合があります。



LINEスタンプを999回も送る行為は、あまりに常軌を逸しており、送られる側にとってみれば相当な恐怖を感じますし、LINEがプライベートの連絡手段としても利用されていることを考えれば、日常生活にも支障をきたすでしょう。



そうした行為は、相手に精神的ダメージをあたえるためにおこなわれているものとして、パワハラにあたりうるといえます。



また、職場での関係からパワハラといえなくとも、それ自体、個人に対する加害行為であるとして、民法上の不法行為にあたる可能性は十分にあります。さらに、相手を精神疾患に罹患させることを目的としているのであれば、刑法上の傷害罪に該当する場合もあります。



●「死ね」「殴る」のLINEはもはや脅迫罪にあたりえる

——「死ね」「殴る」などのメッセージや女性の裸の写真をLINEで送る行為はパワハラにあたるでしょうか



「死ね」「殴る」などのメッセージは、相手に危害を加えることを直接表現する内容ですので、もはや脅迫行為として捉えるべきです。



脅迫行為は、刑法上の脅迫罪にあたる可能性があるほか、民事上も不法行為として被害者に対する損害賠償責任が生じます。もちろん、職場での同僚との関係によっては精神的攻撃としてパワハラにあたるでしょう。



また、女性の裸の写真を送る行為は、相手が不快に感じれば、同性間であってもセクハラにあたる可能性があります。不意にスマートフォンに裸の写真が表示されることを企んで送信しているとすれば、やはり精神的攻撃としてパワハラに該当する可能性もあります。



会社としては、こうした行為が業務に関連して従業員間でおこなわれているとすれば、職場環境の配慮義務違反になってしまいかねません。被害を受けた従業員はすぐに会社に相談してください。



そして、会社は事実関係を確認したうえで、加害者に指導をしたり、場合によっては加害者に治療を受けさせるといった適切な対応をすべきです。




【取材協力弁護士】
金井 英人(かない・ひでひと)弁護士
愛知県弁護士会所属。労働事件、家事事件、刑事事件など幅広く事件を扱う。現在はブラックバイト対策弁護団あいちに所属し、ワークルール教育や若者を中心とした労働・貧困問題に取り組んでいる。
事務所名:弁護士法人名古屋法律事務所 みどり事務所
事務所URL:http://www.nagoyalaw.com/


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