子どもの“習い事”に振り回される親たちの事情。フルタイムからパートに切り替えたママも

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2024年06月11日 09:11  日刊SPA!

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※写真はイメージです
 有料の習い事に通う小学生は全体の約8割にのぼる(学研教育総合研究所「小学生の日常生活・学習に関する調査」2023年10月調査)。しかし現在は共働き夫婦が当たり前で、スケジュールの兼ね合いもあるうえに、決して安くはない月謝も悩みどころだ。
 筆者(新田ミキ)の長女は今年小学2年生で、今まさに習い事を検討中。小学生の子を持つ数人のママに習い事事情を聞いてみると、どうやら習い事により生活が一変し、毎日バタバタしているよう……。今回は、子どもの習い事に振り回される親たちに迫った。

◆習い事の送迎時間に間に合わない…

「行きたいサッカークラブは平日の夕方なので送迎が間に合わない。仕方ないので土日にやっているクラブに行っている」

 同じ小学校に通うママ友が言う。習い事の開始時間は17時だが、親の退勤は17時半。「やりたいことをさせてあげたいけど、こればかりはどうしようもない」と頭を抱えていた。

 このように共働き夫婦の場合、習い事の送迎は大きな問題となる。やりたい習い事や受けたいクラスがあっても、送迎が間に合わないことで諦めざるを得ないということだ。

◆フルタイムからパートに切り替えたママも

 送迎が間に合わない場合は、習い事を諦めるしかないのかというとそうでもない。実際に複数人の親に話を聞いてみたところ、送迎の問題には、大きく2つの対策があるようだ。

 一つ目は、そもそも“通える教室を選ぶ”こと。例えば、同じスポーツでも、クラブチームによって練習日や時間帯が異なる。送迎ができる時間帯や親が休みの日にやっているところを選べばいい。行きたいクラブに行けないもどかしさはあるが、サッカーをしたい子どもの願いは叶えられるだろう。

 また、中には放課後児童クラブ(以下、学童)にバスが迎えに来てくれる習い事もある。実際にわが子が通う学童には、サッカークラブやスイミングスクールのバスが決まった曜日に来ている。通えるものは限られるが、送迎ができない場合はそういったサービスをしている習い事を選ぶのもいいだろう。

 二つ目は、“勤務形態を変更する”こと。ママ友の中には、習い事によって生活が変化したので、フルタイムからパートタイムへ切り替えた人もいた。退勤後は帰宅せず、そのまま学童に迎えに行き、習い事の場所に向かうという。

 どちらにせよ何かを調整する必要があるようだ。

◆兄弟・姉妹で異なる習い事に夫婦で走り回る

 習い事はひとつに限らないだろう。子どもが複数人いて、それぞれ異なる習い事をしている場合は、送迎のためにあちこち走り回ることになる。

「長女を体操教室に送ってそのまま次男の野球。送り届けたら今度は一番下の子の保育園に迎えに行き、そのまま今度はそれぞれのお迎えだよ」(3人の子を持つママ友)

 性別によっても違った習い事をする可能性が高い。習い事の場所と開始・終了時間をしっかりと確認しなければならない。

 また、土日は別の忙しさがあるという。試合や発表会は土日に行われることが多く、半日から丸1日かかることがほとんど。送迎が被るうえ、観覧や手伝いを考えるととても1人では対応できない。話を聞いたママ友は「どちらが誰の送迎や観覧をするのかを決めるために、毎週のように夫婦会議をしている」と言っていた。

 平日は夕方から送迎で走り回り、土日は夫婦で手分けして習い事のサポート。まさに家族総出で習い事と向き合っているのだ。

◆値上がりする月謝に親は困惑。悩ましいお財布事情

 習い事をする子どもを持つ親にとって、「月謝」も悩みのタネになるだろう。

 文部科学省の「子どもの学習費調査(令和3年度)」によると、小学生の学校外活動費の平均は年間24万7582円。月に換算すると、約2万円だ。1人当たりの費用なので、子どもの数が多いほど出費は増える。

 また近年の物価高騰により、習い事の月謝も値上がり傾向にある。例えばわが子が通う体操クラブでは、今年の4月から値上げした。

 器具の値上がりのほか、光熱費など施設管理にかかる費用の値上がりが影響しているのだろう。

 習い事で使う道具の購入や合宿の宿泊費などがある場合は、月謝とは別に支払いが必要になる。毎月ではないものの出費は大きく、家計に影響を与えることも想定される。子どもの習い事によっては、父親のお小遣いが減る日が来るかもしれない。

◆習い事は家族の総力戦! バタバタさえも“親子の時間”

 習い事は、子どもの興味関心を伸ばし可能性を広げてくれる。子どもの「やりたい」気持ちを尊重すると同時に、送迎の時間や月謝の支払いなど、親としては現実的な問題とも向き合う必要があるのだ。

 習い事をするようになると、親も子も忙しくなるが、送迎や応援も“親子の時間”で“貴重な思い出”になるかもしれない。バタバタしながらもしっかりと向き合っていきたい。

<取材・文/新田ミキ>

【新田ミキ】
フリーライター。1987年、埼玉県生まれ。山梨在住2児の母。子どもが小学生に上がるタイミングで正社員からフリーランスに転身。X(旧Twitter:@mikifreeeee)ではフリーランスママのありのままを発信中。2023年に“小1の壁”をテーマにした電子書籍『小1の壁×在宅ワーク』を出版。

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