「残業ゼロ」の職場は本当に幸せ? 毎日焦りながら働き、楽しみだった手当も消えた…若手社員が直面した“現実”

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2024年06月13日 11:20  まいどなニュース

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残業ゼロで働くのも、実はいろいろと大変です ※画像はイメージです(naka/stock.adobe.com)

「残業はありません!」
「定時で帰宅できるから趣味や勉強、家事育児との両立も安心」

【グラフ】「年収1000万円だけど激務」と「年収500万円で普通の業務量」84%の社員が選んだのはどちら

こんなキャッチコピーで自社の魅力をアピールしている求人情報、よく見かけますよね。しかし「残業ゼロ」が理想的な職場と考えている人…実はそんなに多くないのかもしれません。また、残業ゼロを強いることで、かえって疲弊している現場もあるのです。

学生が理想とする残業時間の理想は「1カ月11〜20時間」

株式会社キャリタスが2024年春に大学または大学院を卒業した学生に対して行った就労意識調査によると、意外にも多くの学生が「残業がまったくない」職場よりも、「適度な残業が発生する」職場を理想としていることがわかります。

【理想的な残業時間】
0時間……9.6%
1〜5時間……9.4%
6〜10時間……26.8%
11〜20時間……40.7%
21〜30時間……8.3%
31〜40時間……3.0%
41〜50時間……1.8%
51時間超……0.5%

【許容範囲である残業時間】
0時間……1.1%
1〜5時間……3.0%
6〜10時間……8.98%
11〜20時間……28.6%
21〜30時間……26.6%
31〜40時間……16.4%
41〜50時間……7.3%
51時間超……8.1%

全体で集計すると、理想的な残業時間の平均は15.4時間、許容できる残業時間の平均29.4時間となっており、全く残業をしたくない!という学生は意外にも1割以下とごく少数派でした。また、15.4%が「41時間超〜」もOKと回答しており、長時間の残業を許容する学生も一定数いることが分かります。

ワーク・ライフ・バランス、健康経営など世の中全体として「労働時間を減らそう」という大きなムーブメントのなかで、実際に労働者の労働時間は減少傾向が続いていますが、「もっと仕事がしたい!」という反動も起きつつあるのかもしれません。

こんなことなら残業アリの方がよかった…!?

Aさん(関東在住、20代、会社員)が現在も勤めている会社に入社したのは5年前のこと。入社当時は労務管理について上司から何かを言われることもなく、業務の繁忙期に合わせて自分で残業をするかしないかを判断して、残業時間をコントロールできていたそうです。

決算時期は毎日2時間程度残業が続くこともあるけれど、その分その翌月は残業代がきちんと反映された給与が振り込まれていて、年に2回ほどある繁忙期をむしろ楽しみにしていたAさん。

ところがコロナで全社をあげて在宅ワークが取り入れられたのをきっかけに、パソコンでの労務管理システムが導入されます。その結果、勤務時間が自動で集計されるようになりました。これまではゆるく旧式なタイムレコーダーに打ち出す形式だったのに、リアルタイムで管理されるようになってから「働きやすさ向上のために、定時で業務を終わらせよう」といった声かけが始まったそうです。

「残業無しって…いいことだよね?」と思ってはみたものの、それまで自分の体調ややる気に合わせて自由に「その日のがんばり」を調整できていたのに、今は毎日「なんとか時間内に終わらせなければ」と焦って仕事に集中しなければならなくなりました。しかも、なくなった残業分の手当てがあるわけでもありません。

Aさんは「今まで通り、自分で今日の業務量やスピードが調整できて、がんばったぶんお給料に反映される方がよかったですね。今、採用で「残業ナシ!」ってPRしているみたいですけど、正直昔の方がよかったです」とのこと。なかなか悩ましい問題ですね。

【参考】
▽株式会社キャリタス/2024卒者「キャリアプラン・ライフプランに関する調査」

◆沼田 絵美(ぬまた・えみ)人材業界や大学キャリアセンター相談業務などに20年以上携わる国家資格キャリアコンサルタント。

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このニュースに関するつぶやき

  • 定時で仕上がる仕事に、わざわざ残業は以ての外だけどね。顧客の落ち着いた夜からの打ち合わせスタートって職業も有るからな〜。
    • イイネ!8
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