29歳俳優、30代を目前に意気込み「俺に憧れてこの世界に入った後輩が増えてきたので…」

0

2024年06月13日 16:01  女子SPA!

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

女子SPA!

写真
 俳優の佐藤流司さんが、公開中の<ミュージカル時代劇>映画『邪魚隊/ジャッコタイ』で主演を務めました。本作は映画と舞台を完全連動させるプロジェクト「東映ムビ×ステ」の最新作で、舞台は8、9月に公演を予定しています。

 ミュージカル『刀剣乱舞』の加州清光役、舞台『NARUTO』のうちはサスケ役など、数々の人気作品の舞台で活躍する佐藤さん。2023年には、演劇『カストルとポルックス』で原案・脚本・演出を務め、30歳を前に活躍のフィールドを広げています。

「その場にい続けずに、どんどん前に進みたい」と語る佐藤さん。『邪魚隊/ジャッコタイ』をはじめ、さまざまな話を聞きました。

◆かなりのチームワークによって作られた作品

――本作はたくさんの若手俳優の方たちが出ていて、撮影現場の熱量も凄いものがあったかと想像します。

佐藤:監督以下、役者陣、スタッフも含めて、それぞれのシーンをどのように撮ろうか、作っていこうか、みんなで話し合って進めていました。役者のやりたいこと、監督の狙い、それらをすり合わせていく作業が多かったので、今までの作品以上に座組が一丸となっていた気はしています。

――単なる時代劇ではなく、楽しい舞台を観ているようなスケール感も見ものですよね。

佐藤:ミュージカルのシーンを作り上げるには、監督と役者の想いがしっかり一致しないとダメだったので、普通の作品以上にお互いに「こうだと思う」と話し合いながら作り上げていきました。そういう意味でもかなりチームワークによって作られた作品でした。

インド映画や『グレイテスト・ショーマン』(2017)もですが、音楽が入った映画は、物語に厚みをもたらせてくれると思うんです。音楽があることにより、さらに感動するというところまで持っていければいいなという想いでやっていました。

◆自分の思うがままに演じられた

――演じた鱗蔵は、邪魚隊のリーダーであり、スリ師でした。

佐藤:おそらく年齢も近いですし、等身大で演じられました。時代劇と銘打っていますが、ならず者なので所作を美しくする必要はなく、自分の思うまま、足かせみたいなものなく演じられたと思います。

――いわゆるダーク・ヒーロー的なキャラクターですよね。

佐藤:そうですね。俺はあまり正統派が得意ではなかったりするので(笑)、どちらかというとそういう役柄のほうが得意ですかね。

――また、今回の作品は「東映ムビ×ステ」という、映画と舞台が連動したプロジェクトで、8、9月には舞台も上演されますね。

佐藤:一度演じたことがある役なので、より長い時間、自分の役と向き合うことで芝居や役作りに深みが出るかなと思います。映画は舞台よりも時と場所を選ばないエンタメであり、一方で舞台はその場その場の臨場感、役者の気迫みたいなものをより間近に感じることができる場所だと思うんです。そのふたつを同時に体感できるものが、このムビステの強みですね。

◆舞台の楽しさを知ってもらうきっかけ

――舞台で活躍してきた佐藤さんとしては、映像と舞台の架け橋のような役割を担いたい想いもありますか?

佐藤:みなさんにとって、舞台のほうが少し難しい趣味だなという気がするんです。自分自身もそうですが、子どもの頃に親と一緒に映画館に通いましたし、映画は多くの方にとっても身近ですよね。

その点、舞台は最初の壁が分厚い。東京、大阪でしかやっていない場合など、時間と場所を確保した上で観ようという意思がいるんですよね。なので今回、普段は映画・ドラマしか観ない方にも、舞台の楽しさを知っていたただくきっかけになればいいなと思っています。

――鱗蔵役を等身大で演じたと言っていましたが、役を表現する上で大切にしていることはありますか?

佐藤:最近自分の中でお芝居をする上でのテーマがあって。そもそもお芝居を“日常の拡大解釈”だと思っているんです。日常を誇張したものがお芝居。だからあまりオーバーにやってしまうとチープになる感じが最近しています。観る側がリアリティを感じるには、お芝居をオーバーにしすぎてしまうと、ファンタジー寄りになってしまう気がするんです。人間っぽく演じるために、出しすぎないことを意識しています。

◆ヒリヒリする感覚がここ最近なかったが…

――昨年、原案・脚本・演出に初挑戦された『カストルとポルックス』も話題になりましたが、今回の東映ムビ×ステも含め、今自分に求められている役割について考えたりしますか?

佐藤:先日、役者の先輩に「流司は、後輩が見て真似をしたくなるような先輩になりなさい」と言われたんです。もう新人ではない、そういう領域に入ってきているので、カッコいいと思ってもらえる存在になれたらいいなと思っています。俺にあこがれてこの世界に入ってきたとあいさつに来る後輩が増えて来たので、カッコいい先輩にならなくちゃなと思っていた矢先のことでした。

それとは別に新しい風、素晴らしい若手がどんどん出て来る一方、脚本と演出の両方をが出来る人は多くないんじゃないかなって思うんです。映像の監督には若くてセンスある人がたくさんいますが、舞台では脚本・演出が出来る方で若い才能は本当に少ない。どの作品もベテランが多いので、その方々に続けるようにならないと、と自分では思っているところですね。

――ちょうどそういうことを考える時期だったんですね。

佐藤:そうですね。あと、その場にい続けずに、どんどん前に進みたい、進化したいなという想いがありますね。ずっとプレイヤーとして芝居をし続けることは可能だと思うのですが、それだけだと成長もないかなと。

この前、今までやったことがない仕事をさせていただく機会があり、右も左も分からないような状況に10年ぶりに携わらせてもらって、この感覚が生きていく上で必要だなとすごく思ったんですよ。ヒリヒリして緊張して高揚する感覚が、ここ最近はなかったなと。

――それは刺激になりますよね。

佐藤:どうしても人間、マンネリになっていく。自分の中ではすべてのお仕事を楽しくやらせてもらっていて、そこは揺るがないけれど、新しい環境に行ったとき、こういう刺激が絶対必要だと思いました。だから、新しいことは、どんどんやっていきたいですね。

◆誰も届かない領域にいる存在であり続けたい

――ちょうど2年前にお話を聞いたときもカッコいい大人になりたいと言われていて、その際「満点が5のパラメーターがあるとしたら、全部4」とも言われていましたが、今はどうでしょうか?

佐藤:変わらずです。ちょうど2か月くらい前に居酒屋かどこかで誰かに同じことを言った覚えがあります、結局俺は5と言えるものがなく、4なんだと。変わらずですね(笑)。

ただ、前にも言ったかも知れないですが、自分で5だなと判断しちゃったら、そこでもう終わりでもあるんですよね。それって天狗以外、何ものでもいないと思うので、ずっと4でいいんです。満足し続けない状態でいることが大事かなと、今は思います。

――30代を前に今目指していることは何でしょうか?

佐藤:8の倍数だったか、24で体力落ちるよと言われてきたのですが、俺、むしろどんどん身体能力が上がって来ていて(笑)。30代は20代以上に活動的になれればいいし、そうなるだろうなと思っています。

だから役者としての精度を上げつつ、脚本・演出はまだ始めたばっかりなので、そこを徐々に伸ばしていきたいなと思っているところですかね。あとは後輩にあこがれられる先輩でい続けるために、逆に言えば誰も届かない領域にいる存在でい続けたい。どんどん伸びていきたいです。

<取材・文/トキタタカシ 撮影/塚本桃 ヘアメイク/古橋香奈子 スタイリスト/吉田ナオキ>

【トキタタカシ】
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、インスタグラムにて写真レポートを行うことも。
    ニュース設定