「結婚するって言ってたのに…」上司に遊んで捨てられた女性が、“訴えても勝てない”悲しい理由

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2024年06月13日 16:01  女子SPA!

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写真はイメージです(以下同じ)
恋愛・婚活コンサルタントの田中亜依です。700万円の費用を投じた10年間の婚活で、600人以上の男性とデートを重ねた末に結婚しました。“本気の婚活経験”を活かし、年間1000人以上の男女の恋愛サポートを行ってきた筆者が、婚活に「リアルに役立つ情報」をお伝えします。

婚活をしていると、思わぬトラブルに巻き込まれてしまうこともあります。「これって相手のことを訴えられるのかな?」と疑問を抱いて、私に相談してくれる相談者さんもいます。そこで今回は、弁護士の内山悠太郎先生に、婚活にまつわるトラブルについて話を聞きました。

◆「真剣交際のつもりが遊ばれた!」元恋人を訴えたい女性たち

――婚活や恋愛がらみの相談で、多いのはどんな内容ですか?

「まず、貞操権侵害が挙げられます。これは、『自分が誰と肉体関係を持つか選択する自由を侵害された』ということで、慰謝料を請求するものです。男女の交際において、自分は結婚を前提としたお付き合いであると信じて付き合い始めて肉体関係を持ったのに、実際のところ相手は結婚を考えていなかったケースですね」(内山悠太郎弁護士※以下、カギカッコ内同)

――つまり、自分は真剣に付き合っているつもりだったけれど、相手にとっては遊びだったということですかね?

「そうですね。相談としてはこのケースが多いです。でも、この貞操権侵害で慰謝料を請求できるケースは、実は少ないんです。というのも、まず『結婚を前提とした真剣な交際をしていると思っていた』という前提が必要で、さらに『それを裏切られた』という事実も必要なので、フラれたから請求できるってものではないんです」

◆結婚するつもりで、上司と肉体関係を持ったのに

「例えば、次のようなケースで考えてみましょう。

ある女性が会社の上司と仕事のやりとりをする中で距離が縮まり、上司が既婚者であることを知っていたけれども交際するようになりました。この女性は、上司がいずれは離婚して自分と家庭を築いてくれると約束をしてくれたので、それを信じて交際を続けていました。ところが、どこかのタイミングで上司の奥さんが夫の不倫に気付き、その女性に対して慰謝料を請求してきました。

これに対して、信じていた上司はというと、彼女の味方をしてくれませんでした。

そこで初めて、女性は上司には奥さんと離婚をして自分と家庭を築く気がなかったということに気付きます。このような場合に、『貞操権侵害に基づいて、慰謝料を請求できないか』という相談が少なくありません。

でも、そもそもこの上司が既婚者だと知って交際をしている時点で、こういったケースの慰謝料請求が認められることはほぼないんですよね」

◆不倫相手との「結婚前提の交際」は認められない

――なぜ慰謝料請求が認められないのでしょうか?

「日本では重婚は認められないので、既婚者の方と結婚を前提にした交際は想定されておらず、『今の奥さんと離婚をしてあなたと結婚をする』という約束は無効であると考えられます。結婚を前提とした交際がない以上、信頼を裏切られたとしても貞操権に基づく慰謝料の請求はできないということになります」

――では、もしお相手が結婚していることを知らなかった場合はどうでしょうか?

「そうですね、例えば、相手が既婚者であるのを隠して交際していて、途中で相手方が既婚者だということが発覚した場合、請求できる可能性はあります。

ただ、既婚者だということを知らなかったというのも、裁判所の認定は厳しいんですよ。指輪をしていなかったからとか、彼女がいるかどうか聞いたことがあるくらいだとダメなんです。『相手が独身だと言っていて、実際に結婚しようという話を積極的にしていた』くらいの事実がないと難しいんです」

◆肉体関係を持ったら逃げられた! 相手のことを訴えられる?

――既婚者ではなくお互い独身で、付き合い始めたけど体の関係を持ったら急に連絡が途切れてしまった場合はどうでしょうか? こういった相談、けっこう受けるんです。貞操権侵害で訴えたら、認められますか?

「それは、相手との交際が結婚を前提とした真剣な交際であったかによりますね。交際していたが結婚を前提にしていたわけではない交際では難しいでしょう」

――そうなると、恋愛関係で訴えて認められるって、かなり難しいことなんですね。

「必ずしもそうとは限りません。精神的苦痛を受けたことが立証できれば、貞操権侵害に限らず一般的な慰謝料請求をすることができます。ただこのような請求は事案によって見立てが大きく変わるため、専門家に相談されるのが良いと思います」

◆「この人は大丈夫」と確証を持ってから交際したい

――なるほど。精神的苦痛を受けたとして慰謝料を請求して、認められる場合は、金額としてはどのくらいなんでしょうか?

「事案によるのでなんとも言いにくいですね。貞操権侵害などの類型化された慰謝料請求と異なり、類型化できない慰謝料請求では50万円くらいいけば多い部類に入るのではないでしょうか。貞操権侵害や、婚約破棄の慰謝料請求ですと100万〜300万円くらいが認められていますが、一般的な慰謝料となると金額はぐんと下がりますね」

――弁護士費用なども入れると、もし慰謝料請求が認められたとしても、費用の面ではマイナスになってしまう可能性がありますよね。

「そうですね、費用倒れになる可能性はあると思います」

――そういった現状を踏まえると、やっぱり体の関係を持つ人や付き合う人というのは、「この人は大丈夫だな」という確証を持ってからでないといけないということですね。

「そういうことになりますね」

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かつては愛していたけれど、相手の嘘や不誠実さから愛が憎しみに変わった時、訴えるという手段をとる人もいます。ただし、残念ながら今回の話のような一般的な恋愛がらみの訴えは、なかなか法的には報われにくいようです。

中には防ぎようがないケースもありますが、付き合い始める前に、相手が信頼できる人なのか、きちんと判断できるようにしておくのが大切ですね。

【弁護士 内山悠太郎】
東京スタートアップ法律事務所 宮崎支店支店長。趣味のサーフィンのために宮崎に移住。著書に『スタートアップの法務ガイド』、『スタートアップの人事労務ガイド』(ともに中央経済社刊)がある。

<取材・文/田中亜依>

【田中亜依】
恋愛・婚活コンサルタント、デートコーチ。婚活歴10年、婚活に700万円を投資。マッチングアプリ、結婚相談所、合コンで600人以上の男性と出会い結婚。この経験を生かし、国内最大手結婚相談所にて「また会いたくなるデート方法」などのセミナー講師として活動。公式ホームページ/Twitter:@date_coach_ai/Instagram:@ai_tanaka1019

このニュースに関するつぶやき

  • 上司からお金を徴収できたとしても、その後上司の妻からお金を徴収される気がするけどおǭ少なくともそういう行為をした自覚があるならこんな質問しないおな。
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