新NISA“成長投資枠”で狙いたい「米国高配当株」10選。配当金の再投資で大きく増やす

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2024年06月14日 09:31  日刊SPA!

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Santa Clara
 近年、米国株市場では高配当株がますます注目を集めています。特に2024年から始まった新NISAの導入により、非課税投資枠が拡大したことで、高配当株への関心が高まっているのです。そこで今回は、直近の米国経済市況と高配当株の魅力、特に注目すべき米国高配当株10銘柄を厳選して紹介していきます。
◆6月の米国経済市況

 連日のようにS&P500が史上最高値の更新を続けていますが、実は米国経済は確実に減速しているといえます。それは米国労働市場における経済データからも読み解くことが可能です。

 例えば6月4日に発表された4月の米雇用動態調査(JOLTS)の求人件数よれば、予想837万人に対して結果805万9000件と予想を大きく下回りました。続いて6月5日に発表された5月のADP非農業部門雇用者数(農業部門を除いた産業で働く雇用者数)は、予想17.3万人増に対して結果15.2万人増と予想を下回っています。そのほかの数値を見ても、米国の労働市場が弱回っていることを数字がはっきりと示しています。

 ところが景気の不況は株価にとってはプラス材料となります。株式投資の世界には「悪いニュースは良いニュース」という格言があるように、景気が後退する要因となる悪材料の出尽くしによって、株価が上がる要素しか残っていない状況のとき、マーケットに資金が集まりやすくなり、株価が上昇するのです。

 また米国株はAIブームによって恩恵を受ける「GAFAM+N」が相場の牽引役となり、S&P500も史上最高値を更新しています。こうしたなかで、ハイテク株のように目立ちはしないものの、実は新NISAによって注目したい投資のひとつが米国高配当株なのです。

◆新NISAでも活用したい高配当株

 新NISAでは、旧制度の一般NISAに相当する「成長投資枠」と、つみたてNISAに相当する「つみたて投資枠」を併用することが可能になりました。非課税投資枠の拡大や非課税投資期間の恒久化といった変更点が多くの投資家の関心を集めています。

 特につみたてNISAを利用していた方にとっては、成長投資枠を活用することで、個別株にも非課税で投資する新たなチャンスが広がりました。

 つまり新NISAを上手に活用することで、投資のリターンを効率よく最大化することが可能であり、その選択肢のひとつとして高配当株にも注目が集まっているのです。

◆高配当株の特徴

 高配当株とは、企業が発行する株式の中で、特に高い配当金を支払う銘柄のことを指します。配当利回りが高い株式は、安定した収入をもたらすため、多くの投資家に支持されています。以下が高配当株のメリットとデメリットです。

【高配当株のメリット】
1. 安定したキャッシュフロー
高配当株を発行する企業は、一般的に安定したキャッシュフローを持っています。これは、安定的かつ継続的に配当を支払う能力があることを意味します。企業の収益が安定していることで、投資家に定期的な収入を提供しやすくなります。

2. 成熟した企業
高配当株を発行する企業は、多くの場合、成熟段階にある企業です。これらの企業は急成長期を過ぎており事業が安定しているため、利益を再投資するより、株主に還元する形で配当を支払う傾向があります。例えば公益事業や消費財メーカー、大手通信企業などが該当します。

3. 比較的低い成長率
成熟企業が多い高配当株は、急速な成長を期待するのは難しいです。そのため、株価の上昇ペースは比較的緩やかであることが多いです。しかし、この特徴は逆に株価の安定性を意味し、長期的な投資には適しているとも言えます。

4. リスク分散効果
高配当株は、一般的に業績が安定している企業が多いため、株価の変動が少ないという特徴があります。これにより、ポートフォリオ全体のリスクを分散させる効果が期待できます。特に、安定した収入を求める投資家にとっては、リスク管理の一環として有効です。

5. インフレ対策
配当金は現金収入の一部として、インフレ時に購買力を維持する手段となります。インフレ環境下でも、業績が安定している企業の高配当株は、インフレによる実質価値の減少を防ぐ効果があります。高配当株を保有することで、インフレに対する防御策として機能します。

6. 再投資による複利効果
配当金を再投資することで、長期的には複利効果を享受することができます。再投資により株数が増加し、それに伴って配当金も増加します。このプロセスを繰り返すことで、投資元本が増え、資産形成に大きな役割を果たします。

◆高配当株のデメリット

【高配当株のデメリット】
1. 成長率の低さ
高配当株を発行する企業は成熟企業が多いため、急成長を期待するのは難しいです。そのため、株価の上昇ペースは比較的緩やかであり、株価上昇を追求する投資家にとっては物足りないかもしれません。

2. 配当の減額リスク
企業の業績が悪化した場合、配当金が減額されるリスクがあります。特に経済状況が悪化した場合や、企業の収益が減少した場合に配当が削減されることがあります。

3. 株価の安定性
高配当株は一般的に安定していますが、それは逆に言えば大きな値上がりが期待しにくいことを意味します。株価の安定性が高い分、ハイリターンを狙う投資家には向かない投資手法です。

4. 資本コストの上昇
高配当を支払う企業は、配当金の支払いにより内部留保資金が減少します。そのため、将来的な成長投資に充てる資金が不足する可能性があります。これにより、企業の成長率が抑えられる可能性があります。

 このように高配当株にも一長一短がありますが、株式相場が暴落したときにも安定した配当金を得ることで、投資家のメンタルを支えてくれる役割があります。筆者自身、2020年3月のコロナ禍の株式相場の大暴落時は配当金によって、その時の感情に流されずに冷静な投資判断ができた経験があります。

◆注目の米国高配当株10選

 それでは注目の米国高配当株を10銘柄紹介します。ここでは高配当株の定義を配当利回り3%以上とします。また配当利回りと株価は執筆時点(2024年6月10日時点)のデータです(※筆者自身が保有している株は記載しております)。

1【AT&T (T)】
配当利回り: 6.07%
株価: 18.11 USD
業種: 電気通信・テクノロジー
配当支払い月: 2月、5月、8月、11月
米国の主要な電気通信企業で、携帯電話サービスやインターネット接続、エンターテイメントサービスを提供しています。広範なサービスと安定した収益基盤を持ち、高い配当利回りを維持しています。

2【ファイザー (PFE)】
配当利回り: 5.83%
株価: 28.58 USD
業種: バイオ医薬品
配当支払い月: 3月、6月、9月、12月
世界的なバイオ医薬品企業で、革新的な医薬品の開発と製造を行っています。特に、ワクチンや治療薬で有名であり、安定した業績を背景に高い配当を提供しています(※筆者保有銘柄)。

3【コカ コーラ (KO)】
配当利回り: 3.02%
株価: 63.91 USD
業種: ノンアルコール飲料
配当支払い月: 4月、7月、10月、12月
世界中で愛されるノンアルコール飲料を製造・販売している企業です。ブランド力が高く、安定した収益を上げており、長期的な配当も魅力的です(※筆者保有銘柄)。

◆SFL、ベライゾン、アルトリア…

4【SFL コーポレーション (SFL)】
配当利回り: 7.80%
株価: 13.63 USD
年間配当: 約2,095円
業種: 船舶
配当支払い月: 3月、6月、9月、12月
バミューダに拠点を置く船舶会社で、商業用船舶の所有・運航を行っています。高配当利回りを提供しており、船舶業界に特化した投資家に人気です(※筆者保有銘柄)。

5【ベライゾン コミュニケーションズ (VZ)】
配当利回り: 6.43%
株価: 40.94 USD
年間配当: 約6,193円
業種: 通信・技術・情報サービス
配当支払い月: 2月、5月、8月、11月
米国の大手通信会社で、携帯電話サービスやインターネット接続、デジタルメディアを提供しています。安定した業績と高い配当利回りで、投資家にとって魅力的な選択肢です。

6【アルトリア グループ (MO)】
配当利回り: 8.39%
株価: 46.70 USD
業種: タバコ
配当支払い月: 1月、4月、7月、10月
米国の大手タバコメーカーで、マルボロなどのブランドを所有しています。高い配当利回りを提供しており、収益性の高いビジネスモデルを持っています。

◆BTI、エリクソン、JNJ、フォード

7【ブリティッシュ アメリカン タバコ ADR (BTI)】
配当利回り: 9.35%
株価: 30.99 USD
業種: たばこ
配当支払い月: 2月、5月、8月、11月
英国を拠点とする世界的なタバコメーカーです。高い配当利回りを提供し、安定した収益を上げています(※筆者保有銘柄)。

8【エクソン モービル (XOM)】
配当利回り: 3.33%
株価: 112.75 USD
業種: エネルギー・石油化学
配当支払い月: 3月、6月、9月、12月
世界最大級のエネルギー企業で、石油・天然ガスの探査・生産を行っています。配当利回りは比較的低いですが、安定した収益を背景に堅実な投資先として評価されています。

9【ジョンソンエンドジョンソン(JNJ)】
配当利回り: 3.38%
株価: 147.08 USD
業種: 医療・消費者向け製品
配当支払い月: 3月、6月、9月、12月
医療機器、医薬品、消費者向け製品を提供する米国の大手企業です。世界的に知られるブランドであり、バンドエイドやタイレノールなど、多くの製品で有名です。安定した業績と財務基盤を持ち、長期間にわたって増配を続けている点が魅力です。医療分野における革新とグローバルな市場展開により、長期的な成長が期待できます(※筆者保有銘柄)。

10 【フォード モーター (F)】
配当利回り: 4.97%
株価: 12.15 USD
業種: 自動車
配当支払い月: 3月、6月、9月、12月
米国の大手自動車メーカーで、幅広い車種を製造・販売しています。高い配当利回りを提供し、自動車業界における堅実な投資先として知られています。

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 こうした銘柄はハイテク株などに比べれば地味であり。株価が上昇しにくい特徴がある反面、高い配当を得ることのできる人気銘柄といえるでしょう。

 今回は高配当株の特徴について解説していきました。紹介した10銘柄は、高配当株の多い米国株の中でも安定した経営基盤を持っています。特に新NISAを活用することで、非課税のメリットを最大限に享受しながら安定したキャッシュフローを得ることが可能です。

 筆者自身、配当金の再投資を行うことで、より効率的な投資環境を育んでいます。一見すると地味な投資手法かもしれませんが、月日が経つごとにその効果を日々実感しています。ぜひ投資をする際の参考にしてみてはいかがでしょうか。

<TEXT/鈴木林太郎>

【鈴木林太郎】
金融ライター、個人投資家。資産運用とアーティスト作品の収集がライフワーク。どちらも長期投資を前提に、成長していく過程を眺めるのがモットー。 米国株投資がメインなので、主に米国経済や米国企業の最新情報のお届けを心掛けています。Webメディアを中心に米国株にまつわる記事の執筆多数
X(旧ツイッター):@usa_invester

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