“手堅い野球”に徹して3連覇…「2024年の巨人」が目指すべき「2014年の巨人」の姿

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2024年06月15日 09:10  日刊SPA!

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©産経新聞
交流戦で上々のスタートを切ったように見える巨人。一時低迷するも、新戦力やベテランの復活により、明るい兆しが見え始めている。本記事では、これまでプロ野球から高校野球まで野球関係の記事や書籍を幅広く執筆している野球著作家のゴジキが、「2024年の巨人が目指すべき姿」を考えてみよう。
◆「貧打」の打線の起爆剤になりうる2選手

筆者が注目しているのは、新加入のエリエ・ヘルナンデスとベテランの立岡宗一郎。

加入後すぐに1軍に合流したヘルナンデスは、試合勘や環境の適応が不安視されたが、2番に固定されてからは、チームのバランスが目に見えて良くなっている。

一方の立岡は、2015年こそレギュラーとして活躍していたが、それ以降は泣かず飛ばずだった。しかし、今シーズンははベテランらしく与えられた役割をきっちりこなし、勝利に貢献している。

この両選手の活躍により、貧打が解消されつつある。しかし、油断は禁物。6月7日〜9日のオリックス戦で痛恨の3タテを食らってしまった。個人的には、12球団トップクラスの高いディフェンス力を活かし、盤石な試合運びができるような体制を望んでいる。

◆2014年は「試合巧者」ぶりを発揮してリーグ3連覇を達成

2014年の巨人は、今シーズンと同様に貧打に苦しみながらも、高いディフェンス力を武器にリーグ3連覇を達成。チーム打率はリーグ5位。チーム内での首位打者は長野久義の.297で、3割打者が不在のシーズンにもかかわらずだ。

しかし、最優秀防御率とセリーグMVPに輝いた菅野を中心に防御率、失策数、与四死球、失点数はリーグ1位を記録。さらに、守備範囲が広い片岡治大、坂本勇人の二遊間センターラインはもちろん、一塁手のホセ・ロペス、三塁手の村田修一を含めた内野陣は鉄壁。12球団トップクラスのディフェンス力を誇っていた。事実、リーグトップの守備率.987、失策数は71でリーグ最少だった。

チーム打率、犠飛数、四死球数は5位、併殺打数と犠打数はリーグワーストとなったなかで、チーム得点圏打率が.291とリーグトップを記録(優勝時点)。この数字を裏付けるように、要所で得点し、僅差で逃げ切る試合が多いシーズンだった。

◆「歴史に残る堅守のチーム」はどちらも強かった

ペナントレースにおける失策のシーズン最少記録が、1991年の西武と2017年のソフトバンクの38である。3位は2020年の巨人が記録した43だ。守備率を見てみると、2017年のソフトバンクが.993で歴代1位、1991年の西武が.992で歴代2位である。興味深いことに2球団ともにこのシーズン、リーグ優勝と日本一に輝いている。

当時の西武といえば清原和博や秋山幸二、オレステス・デストラーデが主軸。ソフトバンクは柳田悠岐や内川聖一、松田宣浩など打撃力のある選手に目が行きがちだが、実は12球団トップクラスのディフェンス力を活かして勝ちを積み重ねていった面を見逃してはならない。

このように過去の結果を見ても、「ディフェンス力がシーズンの結果を左右する」と言っても過言ではないことがわかる。

今シーズンの巨人は12球団で最も失策が少ない。特に内野には岡本和真、吉川尚輝、坂本、門脇誠(泉口友汰)の、どこにボールが飛んでも安心してみていられるメンバーがそろっている。“手堅い野球”を貫き通すことが優勝への近道なのではないか。

<TEXT/ゴジキ>

【ゴジキ】
野球評論家・著作家。これまでに 『巨人軍解体新書』(光文社新書)・『アンチデータベースボール』(カンゼン)・『戦略で読む高校野球』(集英社新書)などを出版。「ゴジキの巨人軍解体新書」や「データで読む高校野球 2022」、「ゴジキの新・野球論」を過去に連載。週刊プレイボーイやスポーツ報知、女性セブンなどメディアの取材も多数。Yahoo!ニュース公式コメンテーターにも選出。日刊SPA!にて寄稿に携わる。Twitter:@godziki_55

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