「昔は自己顕示欲がすごくあった」釈由美子45歳が“子育て経験”からたどりついた境地

2

2024年06月15日 09:10  日刊SPA!

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

日刊SPA!

写真
 1997年にグラビアアイドルとしてキャリアをスタートし、1999年のドラマデビューからは俳優業も本格化させている釈由美子さん(45歳)。現在、釈さんがとある“ご縁”から出演している日本の特撮&アニメ愛満載のアメリカ映画『Ike Boys イケボーイズ』が公開中。
 現在は小学生の男の子のお母さんでもある釈さんに、自己顕示欲が強かったデビュー時のお話から、俳優業25年目の仕事観の変化、子育てを経験することで、「変な気負いから解放された」という今の気持ちまで聞きました。

◆昔は自己顕示欲がすごくあった

――ドラマ初出演から25年目に入りました。

釈由美子(以下、釈):デビューから20〜30代はすごくストイックでした。頑張っているけど、「もっともっと!」と自分を追い詰めていました。必要とされたい願望とか、自己顕示欲がすごくあったんです。それが気持ち悪いくらいになくなっちゃって。いまはご縁があって需要があればという感じです。

――何かきっかけがあったのでしょうか。

釈:子育てですね。昔は「必要とされたい」「私を見て」だったと思います。それが出産、子育てをしていて、私が仕事をしなくても、どんどん新しい人が出てくる。私がいなくてもいい。「私のかわりって誰でもいるじゃん」と、逆にラクになりました。

 でも「母親としての私」には代わりが利かない。「この子には私だけなんだ」と生き甲斐を感じたから、平気になったのだと思います。ちょうだいの愛ではなく、自分が与えたいの愛になりました。変な気負いから、肩の荷が下りて、ニュートラルな状態になっています。そんな自分でも求めていただける役、必要としてもらえる場所があるなら、全力で応えたいと思うようになりました。

◆背中の羽根がフルフルフル!となる

――芝居への向き合い方にも変化がありますか?

釈:スクリーンやモニターに映ったときに、隠し切れなくなったシミやシワも、「これが等身大の女性ですよ」と演じられるようになりました。

――息子さんとは、釈さんの趣味の山登りにも一緒に行ってますね。Instagramで拝見しています。

釈:日本は山に囲まれていて、とても自然が豊かです。それを再発見しようと山に登るのですが、山はいつでも待っていてくれて、迎えてくれます。そして日本の四季、春夏秋冬をしっかり感じられます。この5月に登ったときも、新緑が芽吹いていて、一番いいエネルギーをもらえました。背中の羽根みたいなのが、フルフルフル!ってするんですよ(笑)。

 私は前から「フルフル現象」と呼んでいるんですけど、息子にも「フルフルしに行きたいね」と言って山に行きます。この間はタケノコの芽やつくし、高山植物や野鳥を一緒に見ました。ひとりで登ったほうがラクですけど、一緒に登ることで子どもからパワーをもらえたり、「うちの子、強いじゃん」と成長度合いも見えたりします。小さなころから自然と触れることで、五感も研ぎ澄まされます。

◆いつか日本の百名山を制覇したい

――釈さんも子どものころから山に登っていたんですよね。

釈:小さな頃はイヤだったんですけどね(苦笑)。「ディズニーランドに行きたい!」って(笑)。でも大人になって『にっぽん百名山』(NHK)に出て、ちゃんと調べようと足を運ぶようになってから山の魅力に気づきました。私が初めて山に登ったのが、幼稚園のときの富士山だったので、子どもも同じ年長のときに「途中でリタイアしてもいいから」と富士山に登りました。そしたら頂上まで登れて、子どもの自信にもつながりました。「もっと登りたい」と言うので、一緒に行くようになりました。

――それはすごい。

釈:仕事ではあまり「こうしたい!」みたいなものはなくてご縁だと思っていますが、唯一の目標として、プライベートでは、子どもが育ったあとも登山を続けて、日本の百名山を制覇できたらいいなと思います。たぶんまだ10も登ってないくらいだと思いますけど、時間をかけてでも。

◆ゴジラファンのアメリカ人監督から出演オファー

――ご縁があればというお仕事も順調です。公開中の『Ike Boys イケボーイズ』は、日本の特撮に影響を受けたエリック・マキーバー監督によるアメリカ映画です。釈さんの出演はご指名で、最初に会ったときは、監督が釈さん主演の『ゴジラ×メカゴジラ』(2002)のDVDを手にされていたとか。

釈:そうなんです。「僕が高校生のときに買ったDVDなんです。いつか釈さんとお仕事するのが夢で頑張ってきました」とおしゃっていただいて、すごく嬉しかったです。『ゴジラ』という日本を代表する作品が海外に行って、ひとりの高校生に影響を与えたんだなと。それがこうして新しい作品につながって、本当に『ゴジラ』に感謝です。

――海外でもずっと人気ですね。

釈:昨年シカゴのG-FESTという、ゴジラと日本の怪獣ファンが集まる大きなイベントに行ったんです。コミコンみたいな感じで、日本よりすごいんじゃないかというくらい熱狂的なオタクファンの方たちがたくさんいました。

◆アメリカのオタクファンの熱気に感動

――ご自身への支持を肌で感じましたか?

釈:『ゴジラ×メカゴジラ』の家城茜として支持していただいているなと思いました。上映会もあったんですけど、日本だと上映中に声があがったりすることもないんですが、そのときはゴジラと戦うシーンとか、茜の決めセリフのときに「フー!」とかってすごい盛り上がりで(笑)。嬉しかったです。

『ゴジラ×メカゴジラ』の主演は一生の宝物ですが、おばあちゃんになったときに自慢できたらいいなと思っていたら、もう今の段階ですごい自慢になっています。子どもも『ゴジラ×メカゴジラ』が一番好きだと言って見てくれていて、フィギュアもいっぱい飾ってあります。

――お母さんが出ていると分かって観たのですか?

釈:3歳くらいのときに、当時恐竜が大好きだったので、ゴジラも分かるかなと思って見せました。やっぱりハマって。『ゴジラ×メカゴジラ』で「え、ママ、ママ!?」みたいになってリアクションがおもしろかったです(笑)。『Ike Boys イケボーイズ』も一緒に観たんですけど、大興奮でした。

◆後半のアクション部分は自ら「やります」と

――『Ike Boys イケボーイズ』の造形監修は、『ゴジラ』シリーズなどで多くの造形を手掛けてきた「レジェンド」村瀬継蔵さんが手掛けています(※村瀬さんの初監督映画で7月26日公開予定の『カミノフデ 〜怪獣たちのいる島〜』にも釈さんも出演)。

釈:特撮パートは村瀬さんのスタジオで撮影しました。私も自分の撮影とは関係ないのに行って、最後の戦いの場面を見学しました。エリック監督もすごく喜んで興奮していました。私も「これが原点なんだな」と改めて思いましたが、その作品を外国人の監督が撮っているのが不思議だし、すごいなと思います。

――欲を言うと、クライマックスで釈さんのアクションをもっと観たかったです。

釈:本当ですか? 嬉しいです。実はあそこでは全然動く予定じゃなかったんです。でも「やります」と言って、ちょっとやらせてもらいました。

――そうなんですね。ぜひまた釈さん主演のアクション映画も観たいです。

釈:オファーがあれば(笑)。『Ike Boys イケボーイズ』は、日本のカルチャーである特撮やアニメと、アメリカのポップカルチャー、青春グラフィティがミックスしたすごく不思議な映画です。ハリウッド版ゴジラのCGもかっこいいですが、今回のようなアナログの特撮も温かみがあって、グッときます。こういうふうに完成したのかと、私も楽しみました。今までに観たことのない不思議な作品になっていますよ。

<取材・文・撮影/望月ふみ ヘアメイク/田中宏昌(アルール) スタイリスト/安永陽子>

【望月ふみ】
ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異 Twitter:@mochi_fumi

このニュースに関するつぶやき

  • 昔何かの番組で、よくわからんスープ作って「釈汁(しゃくじる)です」と言って出していた、この料理名だけがいつまでも記憶から消えないw
    • イイネ!0
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(2件)

ランキングエンタメ

前日のランキングへ

ニュース設定