中小企業の後継者を育成するビジネススクール 「大同マネジメントアカデミー」大同生命が神戸大と連携

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2024年06月18日 11:50  OVO [オーヴォ]

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大同生命が開講している「大同マネジメントアカデミー」

 日本経済を支えている中小企業。経営者が抱える悩ましい課題の一つが「事業承継」だとされる。後継者がいないために経営が順調でも廃業せざるを得ない「黒字廃業」という言葉もある。

 さまざまな中小企業の経営支援サービスを提供している大同生命保険(大阪市)は、神戸大学大学院経営学研究科内のNPO法人「現代経営学研究所」と連携し、中小企業の後継者や後継者候補を対象とするビジネススクール「大同マネジメントアカデミー」を2022年から開講している。


 大同生命は全国の中小企業経営者から経営課題などを聞き取るアンケート「大同生命サーベイ」を実施しており、その中で「事業承継をしたい」と回答した企業の課題で最も多かったのが「後継者の育成」だった。後継者が未定で「選定・確保」を課題に挙げる企業も多かった。アカデミーを担当する大同生命ウェルスビジネス推進室の廣中禎人室長は「後継者が経営者になるために必要なスキルやノウハウを学べる機会は限られている」と、中小企業の後継者育成を主体としたプログラムを企画した理由を話す。


▽MBA方式を採用

 アカデミーでは財務や税務といった経営の基礎知識だけでなく、人事管理や新規事業開発、自社製品の売り方、リーダーシップといった経営者に必要なスキルを学ぶ。経営者育成セミナーは全国各地に数多くあるが、大同マネジメントアカデミーの特徴は経営学で定評がある神戸大との連携だ。

 神戸大のMBA(経営学修士)取得の要素をベースにした中小企業後継者のための研修プログラムを構築。神戸大大学院経営学研究科の松尾貴巳教授(経営学)や梶原武久教授(経営学)ら第一線の教授陣6人が講師となり、「マーケティングとブランド価値創造」「事業承継と新規事業開発」「求められるリーダーシップ」といったテーマで全10回講義する。


 廣中室長は「最大の特徴は『少人数制』と『経営計画書』の策定だ」と強調する。受講人数はディスカッションがしやすい15人に限定。「少人数にすることで手厚いサポートを受けることができる」とメリットを説明する。

 プログラムの最後には、参加各企業が「10年後の自社」をイメージした「経営計画書」を策定し、発表する。廣中室長は「自社の強み・弱みを深掘りし、10年後の目標を達成するにはどのような取り組みが必要か見えてくる。講師からの指摘や受講生同士の議論で新たな気付きも生まれる」と説明する。

▽経営を可視化

 アカデミーはこれまでに大阪で第1期、東京で第2期を開催。部品メーカーや食品卸売、建設、ソフトウェア開発といったさまざまな業種の後継者・後継者候補、就任間もない経営者らが受講。参加者からは「経営者としての自覚が具体化した」「“経営を可視化し伝えやすくすること”が重要であることを理解し、経営者として必要なスキルが身に付いた」「10回の講義で経営学のスキルが全て身に付く訳ではないが、今後何を学び、スキルアップすればいいのか気付くことができた」といった声が寄せられたという。


 また「比較的近い年齢で同じような境遇にある仲間ができたことが一番の魅力。異業種の後継者との交流を通じて、さまざまな考え方や価値観に触れることができ、良い刺激になった」という感想もあったといい、廣中室長は「今後、卒業生イベントの開催も検討したい」としている。

 大同生命は第3期「大同マネジメントアカデミー」の大阪開催を決め、受講者をホームページで募集している。期間は2024年9月6日〜25年2月14日。全10回、対面授業で行う。先着15人、費用は1人50万円(税込み)。


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