“宝塚記念ファンファーレ”の作曲者直撃 25年に渡り愛される20秒への思いとは

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2024年06月18日 17:30  netkeiba

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「全人馬の無事を祈って」早川さんの思いが込められたファンファーレが今年も宝塚記念を彩る(提供:陸上自衛隊第3師団)
 京都競馬場で6月23日(日)に行われる宝塚記念(3歳上・GI・芝2200m)。ファン投票で選ばれた馬たちが走る上半期のグランプリレースに、今年も多くのスターホースたちが出走予定だ。過去にも数多くの名馬がここを制し、グランプリホースの称号を獲得してきた。

 そんな宝塚記念といえば“特別ファンファーレ”の印象を持っているファンの方も多いのではないだろうか。年に1度、宝塚記念の日にのみ聴くことができるこの曲は、ファンファーレのさらなる充実を図るため、ファン投票で出走馬を決定する当レースにふさわしい方法としてJRAが一般公募を実施。その約3000通の応募の中から選ばれた一曲だ。グラスワンダーとスペシャルウィークの名激闘が繰り広げられた99年に初めて演奏され、今年で四半世紀となる。節目となる今年、作曲者である早川太海氏へファンファーレ作曲の裏側や当時の思い出、曲に込められた思いなどを聞いた。


─初演奏から四半世紀が経ちました。現在の心境はいかがですか?

「今回この取材のお話を頂いた際に四半世紀ということを聞き、自分が作った楽曲が25年もの長きに渡って毎年演奏され続けてきたということに感謝の念に堪えません」

─採用された当時を振り返っていかがですか?

「まさか採用されるとは考えておらず、信じられないという気持ちでした。私自身、必ずしも“良い曲”が選ばれるということではないと思っていて、私と採用してくださった方との間に“ご縁”があったのかなと感じました」

─当時のオーディション雑誌を見て応募されたとのことですが、作曲にあたりこだわった点などはありますか?

「20秒程度という短い時間で、聞き手にどれだけ高揚感を届けられるか、そして何度も聴きたくなるようにさせるかを意識して作っています」

─ずばりこの曲の主題を教えてください。

「『全人馬が事故なく無事にゴールすること』を願いながら書きました。自分自身、競馬に明るかったわけではなかったので、命懸けで戦う姿を見てそういう思いが込められたのかもしれません。25年経った今でも、競馬を見る際には変わらない思いを持っています」

─早川さんは宝塚記念ファンファーレの他にもスポーツに関連する多くの作品を手がけられていますが、スポーツへの思いなどはありますか?

「スポーツには嘘偽りがなく、人間が心身を限界まで使って自己表現する美しさに魅力を感じます。競馬に関しても、馬と騎手の嘘偽りのない生き様に心を動かされます。そうした思いもファンファーレに込めています」

─そんな思いが込められた自らの曲が、大観衆の前で演奏されたときの印象を教えてください。

「レース前の昼休みにお披露目セレモニーがパドックで行われたのですが、演奏直前は自分の曲が受け入れてもらえるかという不安によって緊張感が強かったです。しかし、演奏終了後にはワァー! という歓声とともに万雷の拍手をいただくことができ、喜びの極みでした。その時はかたじけなさから頭を上げることができませんでした」

─最後になりますが、今年で25回目となる“宝塚ファンファーレ”の季節がやってきました。ファンファーレを楽しみにしているファンに向けて一言お願いします。

「まずは私の曲を好きになっていただいたこととそのご縁に、心から感謝を申し上げたいです。今年も全人馬の無事を祈るとともに、ファンの皆さまが『この曲を聴いて今日も頑張ろう』と思っていただける、日常の清涼剤のような存在であれたら本望です」

早川太海(はやかわ・たいかい)
音楽との出会いは、中学生時代にブラスバンド部に入りフルートを始めたとき。その後は、テレビ番組のテーマソングやCMソング、ファンファーレなどを数多く手がけ現在に至る。主なところでは、モンテディオ山形公式アンセム・BS-i(現BS-TBS)「地球は生きている」テーマ曲・TBS系「世界遺産」特番テーマ曲・ラフォルジュルネ音楽祭2010ファンファーレなどを作曲。尊敬する音楽家はジョン・ウィリアムズ、アラン・シルヴェストリ、アラン・メンケン。

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