「私はモンスターではない」体に数千の腫瘍がある女性、苦悩と希望を語る(英)

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2024年06月20日 21:00  Techinsight Japan

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北アイルランドの首都ベルファストに住む1児の母レイチェル・ポッターさん(34)。遺伝性の難病「神経線維腫症1型」を患い体に数千の腫瘍がある(『Bristol Live 「‘I have thousands of tumours all over my body - even having a cuddle is agony’」』より)
遺伝性の難病「神経線維腫症1型」を患い、体に数千の腫瘍があるイギリスの女性(34)が、自身の症状やこれまでの苦悩、今後人々に望むことなどについて英ニュースメディア『Bristol Live』などに語った。女性は見知らぬ人から心ない言葉をかけられることがあるそうで、「私はモンスターではない」と訴え、病気への理解を求めた。

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北アイルランドの首都ベルファストに住む1児の母レイチェル・ポッターさん(Rachel Potter、34)は、皮膚や体の内部の神経に沿って良性の腫瘍ができる「神経線維腫症1型(以下、NF1)」を患っている。これは特定の遺伝子の突然変異によって引き起こされる疾患で、レイチェルさんのケースでは背中全体、頭、顔のほか、脊髄、脳を含む全ての臓器に病変がある。

腫瘍は大小様々で、大きいものでは日本の500円玉くらいあり、普通に日常生活を送ったり横になって寝ることが困難だという。また全身を刺されているような痛みがあるため、多い日には鎮痛剤7錠を服用していて職にも就けずにいるそうだ。

そんなレイチェルさんが「NF1」と診断されたのは5歳の時で、病気の特徴であるコーヒー色をしたカフェオレ斑(色素斑)が全身にあり、検査を受けたところ判明した。またイボのような神経線維腫ができ始めたのは思春期に達した12歳の頃で、多い月には20個の新しい腫瘍ができるという。


レイチェルさんは「神経線維腫はどこにでもできるのです。そして一度できると、消えることはありません。腫瘍ができる2日ほど前から痒くなることもあれば、何も感じないこともありますが、腫瘍が急増したのは息子を妊娠した時でした」と明かし、このように続けた。

「腫瘍は良性ですが、私の場合はがん化する可能性が60%あり、日光を浴びる外出を控えることや毎年の検査が必要です。また右目には摘出が難しい腫瘍があり、視力がほとんどないのです。」

レイチェルさんは2022年、食事をしたり歯磨きをするたびに激痛が走るようになり、口の中の腫瘍を手術で摘出していた。また足の裏の腫瘍が痛んで歩くことができないこともあり、シャワーは水圧が強いためバスタブに浸かるのを好むという。さらに一番気にしているのは顔の腫瘍で、ジロジロ見られ嫌なことを言われるため、外出を避けるようになったそうだ。


そんなレイチェルさんが現在の夫ダニエルさん(Daniel、34)と出会ったのは12年前のことで、同じ大学に通っていた。ダニエルさんは知り合って1か月後、レイチェルさんに腫瘍について質問してきたものの、自分で病気について調べて理解を示してくれたそうで、レイチェルさんはこう語っている。

「実は私にとって、ハグや性生活は痛みを伴うもので快適ではなく、そういった話題に関しては2人でしっかりと話し合いをしています。そして彼はそんな私を励まし、恥ずかしい気持ちにさせないように努力してくれるのです。」

実は2人は2016年に結婚。7歳の息子も神経線維腫症1型を患っているそうで、レイチェルさんは難病について複雑な胸のうちをこのように吐露した。

「家族にNF1の患者はいないので、私は遺伝子の突然変異で発症したのでしょう。でも息子の場合は遺伝で、すでにカフェオレ斑や腫瘍がたくさんあります。そのため息子には私の腫瘍に触れさせ、私たちは常にオープンに病気のことを話しているのです。」

「私はよく、見知らぬ人から『エムポックス(サル痘)や水疱瘡ではないか』などと質問されることがありますが、息子は私のように嫌な思いをしないで済むように願っています。私は息子について、なるべく心配しないようにしているのです。なぜなら人々が息子を受け入れられないとしたら、それは彼ら自身の問題なのですから。」

「私たちはモンスターではなく、ただ普通の人間です。それに病気は伝染しないのです! だから病気について質問する時には、思いやりを持って欲しいのです。」


なおNF1は約3000人に1人の割合で発症すると言われ、患者の30〜50%は突然変異による孤発例で、レイチェルさんのように片親が異常遺伝子を持つ場合には50%の確率で遺伝するそうだ。

ちなみに今年4月には、NF1を患うトリニダード・トバゴ共和国在住の女性(42)が話題となっていた。女性の症状はレイチェルさんよりも重症で、アメリカで腫瘍の切除手術を受けたことで「自分が美しい」と感じることができるようになったという。

画像は『Bristol Live 「‘I have thousands of tumours all over my body - even having a cuddle is agony’」』『The Mirror 「Mum has thousands of tumours all over her body - both inside and out her skin」(Image: Rachel Potter/SWNS)』『tlc TikTok「Replying to @Jari Marquez955」』『Mercedes Christesen TikTok「#endnf #neurofibromatosisawareness」』『TLC Instagram「Kenny has a rare condition called Gardner syndrome and over 400」』より
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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