【前編】今一番熱い“器楽奏者とボーカル融合”ガールズユニット「C;ON」を取材 異例尽くしのメジャーデビュー記念ライブで魅せた決意を1万7000字レポート

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2024年06月22日 12:03  ねとらぼ

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ねとらぼ

LINE CUBE SHIBUYA公演を成功させたC;ON

 今、音楽シーンをにぎわせている“器楽奏者とボーカルを融合”させたガールズユニット「C;ON(シーオン)」をあなたは知っていますか。2000人規模の「LINE CUBE SHIBUYA」での公演を無料開催するなど異例尽くしの活動を行う中、「avex(エイベックス)からのメジャーデビュー」を活動7年でやっとつかんだ彼女たちをねとらぼ編集部がインタビューしました。


【映像で見る:C;ONのパフォーマンス】


●C;ON(シーオン)とは――


 2016年に開催されたオーディションにより、エントリー総数2800名から選抜されたメンバーで音楽活動をスタートしたC;ON(シーオン)。


 CORE(地球の中心核)、IMPRESSION(感動) 、ON(継続) をグループ名の由来としており、現在は最年少でボーカル担当の絹井愛佳(AIKA)さん、ボーカルでリーダーの栞音(SHION)さん、ユーフォニアム、バストランペット、バルブトロンボーン担当の聖奈(SEINA)さん、アルトサックス担当の石橋佳子(KAKO)さん、ピアノ、キーボード、キーター担当の杏実(AMI)さんの5人で活動しています。


●「C;ON MAJOR DEBUT ANNIVERSARY ONEMAN LIVE」ライブレポート


 そんなC;ONが2024年に開催したのが、「LINE CUBE SHIBUYA」公演。「1人でも多くの人に見てもらわないといけない時期だ」というメンバーの強い思いから“2000人規模の会場で入場無料”という異例の開催方式を採用した結果、応募が殺到。当日は超満員の観客がC;ONの登場を待ち構えました。


 開演前の影ナレ(メンバーによる注意事項などのお知らせ)は“高校卒業宣言”で会場を沸かせた愛佳さんが担当。「メジャーデビューと結婚式はできれば1回が良いと大人の人に教えてもらいました」と笑いを誘った後は、円陣の掛け声が上がり、会場からは拍手喝采。開演前から総立ちの観客たちからはSEにあわせたコールも上がるなど、会場の温度が徐々に上がっていきました。


 そして始まったOPムービーではスタイリッシュなメンバー紹介映像をバックにカウントダウンが写し出され、紗幕(透けて見える舞台用の幕)にはC;ONのロゴが大写しに。


 そこからメンバーのシルエットをバックにスタートした1曲目は「Last Order」。YouTubeを中心にぐんぐん再生数を伸ばし、今やC;ONの代表曲ともいえる楽曲です。


 紫ベースの照明が大人っぽい魅力たっぷりのメンバーを引き立てていたほか、落ちサビでの栞音さん、愛佳さんの物憂げな表情での歌唱がとても印象的でした。


 2曲目は鉄板盛り上げ曲の「鼓動PARADE」。3曲目はサザンオールスターズの名曲「エロティカ・セブン」をC;ON節炸裂で大胆にカバー。キーボード、アルトサックス、バストランペットのソロパートではメンバーそれぞれの魅力が爆発し、会場の雰囲気がガラッと変わったのが面白いポイントでした。


 4曲目は時計の鐘の音が印象的な「MagiC!on…」。激しいドラムと会場一体になっての「オイ!」のコールで始まった5曲目は「INVADER」。


 レーザービームと照明が激しく会場を照らす中、その演出に負けない激しい演奏とプレイをするメンバーたちのかっこいい表情が、“最高の演出チーム VS 最高のパフォーマンスをするC;ON”のような構図にも見え、非常に見どころがありました


 6曲目はオトナな雰囲気たっぷりのダンスが魅力の「Addiction」。本楽曲の注目ポイントの超高速ピアノ速弾きでは、会場が静まり返り、スポットライトがピアノに当たる中、杏実さんの持ち味が全力で発揮される演奏で会場を沸かせました。


●MC1


 息もつかせぬ人気曲の連打で会場を圧倒した後は「私たちがC;ONです! よろしくお願い致します!」とのあいさつでMCがスタート。「少し話しただけでもすぐ涙が出そうになっちゃう」と、メンバーそれぞれが自己紹介と感謝の気持ちを伝えていきます。


 このMCで印象的だったのが栞音さんの「MCのときは座っていいからね。今日はライブたくさんたっぷりやるから疲れないようにね。みんなの体調も気を使いながら楽しんでもらえたらうれしいですよ」という言葉。「後悔させないライブをします」と強い思いを語っていた中で、随所に光るファンへの気遣いこそがC;ONらしいなとほほえましくなりました。


 MC明けとなる7曲目は「この大事なこの日にどうしても私たち5人がこの場で演奏したかった」という「道」。C;ONメンバー5人だけで情感たっぷりに楽曲の世界を紡ぎあげました。


 8曲目はファンと共に育て上げてきたという「イキルイミ」。サビでは客席でも人差し指を振るファンの姿が見られ、メンバーとファンとが一体になって空間を作り上げていく様子が胸に刺さりました。


 BAND SECTIONを挟んだ後は衣装替えした杏実さん、聖奈さん、佳子さんが登場。バンドメンバーと共にJAZZSECTIONを演奏し、メンバーそれぞれが音と戯れる様子は本当に楽しそうでした。


 11曲目からは愛佳さん、栞音さんも合流。西崎ゴウシさん(カルモニカ、Calmera)作曲、taeさん (ORESKABAND)作詞で話題のラストインディーズシングル「月逢夜」を歌いあげ、後半戦へののろしを上げます。ミラーボールが妖しく輝く中展開された、楽器ソロパートは神々しさすらも感じさせました。


 12曲目は印象的なダンスと特徴的なサウンドが人気の「等身大ガール」。メンバー同士のダンスの掛け合いのほか、愛佳さんが杏実さんのほっぺたで“あみまんじゅう”を作るかわいいイタズラを行う場面もありました。


 13曲目はMAXのカバーで「Ride on time」。管楽器が入ったことによって迫力マシマシの「Ride on time」に会場全体はノリノリに。メンバーの「歌って!」の煽りで「lalalalala〜」と歌うファンの笑顔も非常に印象的でした。


 14曲目はガラッと雰囲気を変えての「疑事無功」。クールテイストな楽曲にセクシーなダンスを合わせた人気曲で、今回もバンドメンバー紹介を挟み、それぞれのソロパートが加わったことでさらにクールでスタイリッシュな雰囲気となりました。


 終盤では栞音さんから「まだまだいける〜? もっと声出して〜! まだまだ足りない〜!」との声でラップパートがスタートすると会場のボルテージも一気に上昇。バンドメンバーのソロが加わることにより、“その日しか聞けないサウンド”が生み出されるのはまさにライブならではだなと感じさせました。


●MC2


 MC2では、今回の真っ赤な新衣装について“火の鳥”がコンセプトになっていることが明かされました。また話題は5月に起用が発表された防音マンション「MUSISION(ミュージション)」のWebCMの話に移り、愛佳さんを中心に演技の難しさで盛り上がりました。


 15曲目は「あなたのせい」。“恋”をテーマにした楽曲のため、メンバーからは「これまでしてきた恋の思い出を思い出しながらこの曲を聞いてもらいたいと思います」との曲振りでラストブロックに突入です。


 16曲目はアイドルグループCANDY TUNEの立花琴未さんが出演したことで話題を呼んだ「もしも」。この日は会場の照明をすべて落として、キャンドル風のランプだけでしっとりと届ける演出が採用されており、C;ONの演奏力と歌唱力が際立っていました。


 17曲目はメロウな雰囲気で人気の「曖昧=Libido(=の正確な表記はノットイコール) 」。楽器隊との息の合ったダンスやフォーメーションも見どころの1曲で、楽曲のイメージに合わせた照明の演出も非常に見どころがありました。


 18曲目はSMAPの「SHAKE」をカバー。アップテンポなイントロから会場からはハンズクラップが上がり、メンバーのテンションも急上昇。聖奈さんと愛佳さんのお立ち台争奪戦が繰り広げられたり、会場から「Wo〜!」の声が元気に上がったりするなど、会場中に元気が充満するような雰囲気の中、メンバーは客席へ乱入。


 至近距離でファンとの交流を楽しむメンバーがファンにマイクを手渡す場面もあり、天真爛漫に音楽を楽しむC;ONに会場が揺れるほどの大盛り上がりとなりました。


 「ラスト4曲です! 盛り上がる準備できてますかー!」の掛け声とともに始まった19曲目は「S;ckkkkk」。愛佳さんによる「いけんのかよ、渋谷ー!」のあおりでスタートすると、愛佳さんはヒールを脱いでの本気モードのダンスと歌唱で会場を圧倒。迎え撃つのは色気MAXの栞音さんの艶声で、会場からは割れんばかりの「Oi!Oi!」コールと「Hey! Hey!」コールが上がり、激しい照明のフラッシュの中、客席からつきあがるこぶしが目に焼き付きました。


 20曲目は佳子さんのサックスソロが印象的な「Now or Never」。赤をベースにした照明の中縦横無尽に照らすムービングライトとレーザービームが楽曲の世界観を激しく演出しており、ライブの鉄板曲をさらに盛り上げます。


 この楽曲では杏実さんがキーター(ショルダーキーボード)で登場しており、メンバーと合流するのも見どころ。激しいソロも難なく笑顔で弾き上げてしまう杏実さんの確かな演奏力にファンも釘付けの様子でした。


 21曲目は「Noisy」。「みんなでラスト、燃え尽きようぜ〜!」という煽りに呼応するかのようにブチ上がる客席に全力で届ける圧倒的熱量は今ノリにノッているC;ONだからこそ出せるものなのでしょう。「これがC;ONだー!」と全身全霊で“新しい世界”を届け切りました。


●MC3


 「C;ON最高!」の声が客席から上がる中始まったMC3では、avex(エイベックス)からのメジャーデビューが決定したことに対する率直な気持ちがメンバーから語られました。


 まだメジャーデビューの実感は持てていないと語る中、栞音さんは「『私たち絶対売れます』っていう言葉をみんなに宣言し続けてきました。この『売れます』っていう言葉を現実にするために、今すごく私たちがんばらなきゃいけない時期だなって思っています。2階の関係者の皆さん、ぜひ私たちに力を貸してください!」とストレートに嘆願し、会場は大ウケ。


 「私たち、結構売りやすい唯一無二のスタイルでやっているし、すごくまじめな子たち、すごく良い子たちだし、ココ重要だから聞いてください。割と実力派って言われている割に顔も悪くない!」と語りかけると、会場からは「かわいいー!」の大声援が上がります。茶目っ気たっぷりな宣伝に大照れしつつも深く深く腰を折り、集まった超満員の関係者に感謝の気持ちを伝えました。


 その後結成7周年を迎えたC;ONでの活動について栞音さんは「すごくすごく楽しかったし、キラキラしていたけど、やっぱりその裏には葛藤だったり、悔しいこともたくさんありました。苦労話をするのも嫌だけど、『このまま地下アイドルで年を取って終わってしまうかもしれない』ってみんなで毎日のように口にしていたときがありました」と涙ながらに当時の心境を吐露。


 「当時はこんなにたくさんの方がついてくれているわけじゃなくて、たった一人のがむしゃらに頑張ってくれるマネージャーと私たち5人で、たった6人でがんばってきました。すごく悩んだ時期もありました。前向きな愛佳と聖奈が『武道館を目標にしたい』と言ってくれたけど、私は自信がなくて、対バンで20〜30人しか集められない私たちが武道館を夢にするのはすごくおこがましいし、鼻で笑われるかもしれないって当時はすごく思いました。でもそんなときにやっぱり近くでファンの方が『C;ONならいけるよ!』ってすごくたくさん声をかけてくれて。ライブに足を運んでくれて。そんなみんなのおかげですごく支えられたし、そんなみんなにすごく力をもらいました」とあらためてファンに感謝しました。


 またスタッフにも「ライブを作ってくれている音響さんや照明の方、カメラチームの皆さんだったり、会場の方。衣装さんだったり、メイクさんだったり、バンドメンバーのみんなだったりが、私たちの力以上にすごく輝かせてくれるし、かっこよくしてくれて、だからこそ私たちは自信を持てています。今関わってくださっている事務所の方、チームの方は寝る間も惜しんでがむしゃらに動いてくれて、やっぱりそんな姿を見てると、自分たちのためにこんなに動いてくれる人がいるんだってそれがすごく自信になりました」と感謝。


 「そして一番はやっぱりこのメンバー。この5人でやってきて、4人にすごく支えられましたし、支え合ってやってきました。私はすごく4人を尊敬していて、1人1人に尊敬するところがたくさんあります。だから私自身も、もっともっと頑張らなきゃってすごく成長させてもらっています。やっと自信を持てるようになってきました。やっとつかんだメジャーデビューだからこそすごくうれしいです。夢のメジャーデビューだけど、もちろんここがゴールだとは思っていないし、これからの方がすごくつらいことがたくさんあると思うし、厳しい目で見られることもすごく多くなると思うんだけど、乗り越えてきた私たちなら、ファンのみんなを含めた私たちなら絶対これからも乗り越えられるって私はすごく自信があります。だから、これからも近くで私たちの傍で応援してくれるとうれしいです」と語り掛けると会場からは割れんばかりの拍手が上がりました。


 そして最後となる22曲目について「そんな不安とか葛藤とか、でも希望とか光を描いた私たちの決意の曲になります。一つ一つの楽器の繊細な音だったり、私たち2人の歌声をみんなの心の奥にキュッて届けたいと思います」と「Canvas」を披露。


 杏実さんによる伴奏の中、栞音さん、愛佳さんが歌い出す中、会場が一瞬静寂に包まれたかと思うと、メンバーの後ろのカーテンがオープン。そこには圧巻の光景が広がっていました。


 メンバーの背後には宇都宮短期大学附属高校吹奏楽部と横浜Union Symphonic Bandのウインドオーケストラが控えており、圧巻のステージングが展開されていきます。声を震わせながら懸命に歌い上げる2人を吹奏楽系YouTuberでトランペット奏者のうっつー先生率いるスペシャル楽団が支える様子は会場中の涙を誘っていました。


 沸きあがるアンコールの声援にこたえて再登場したメンバーたちから「今日はメジャーデビュー記念ワンマンライブということで、ここで重大告知があります!」と発表されたのは、「祝! 今秋メジャーリリース大決定!」と「パシフィコ横浜国立大ホール 2025年2月15日開催決定!」の2大告知。


 客席数5000席という大きなホールでの開催に目を輝かせるC;ONがこの日最後に披露したのは1曲目に披露した「Last Order」のウインドオーケストラバージョン。


 オーケストラのいる檀上で演奏と歌唱をたっぷり披露した最後には「以上、C;ONでした! オーケストラの皆さんに大きな拍手を!」「みんな最高だったよ! ありがとう! みんな大好き!」と感動のライブを締めくくりました。


 続く後編では、1時間のロングインタビューで語られた、C;ONの覚悟と未来についてお届けします。


(Kikka)


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