49年逃亡の桐島聡容疑者を映画化 安倍元首相銃撃を映画化の足立監督が製作、桐島役は古舘寛治

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2024年06月27日 13:00  日刊スポーツ

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桐島聡容疑者を描く映画「逃走、貫徹!」で監督・脚本を務める足立正生監督

1974年(昭49)から75年に起きた連続企業爆破事件の1つに関与したとして指名手配され、49年もの逃亡の末、今年1月に70歳で死亡した桐島聡容疑者を描く映画「逃走、貫徹!」(仮題)が、7月上旬にクランクインすることが決定した。製作・配給の太秦が27日、発表した。


監督は、22年7月に発生した安倍晋三元首相銃撃事件を起こした、山上徹也被告を題材に描いた映画「REVOLUTION+1」を手がけた、足立正生監督(85)が務め、脚本も手がける。主人公の桐島聡を、同監督が出演を熱望した古舘寛治(56)が演じる。


映画は、東アジア反日武装戦線のメンバーとして75年に全国に指名手配され、逃亡を続ける中で約49年後の今年1月25日に病院に担ぎ込まれ、同29日に死亡した桐島容疑者が、薄れゆく「革命」と対峙(たいじ)し逃亡生活に何を見いだそうとしたのかを描くという。


足立監督自身、71年にカンヌ映画祭(フランス)からの帰路、故若松孝二監督とパレスチナへ渡り、パレスチナ解放人民戦線のゲリラ隊に加わり共闘しつつ、パレスチナゲリラの日常を描いた「赤軍−PFLP・世界戦争宣言」を撮影・製作。74年には、同作に出演した重信房子氏(78)が最高幹部を務めた日本赤軍に合流し、国際指名手配された経歴を持つ。


22年の「REVOLUTION+1」は、同7月8日の安倍元首相銃撃事件直後に企画し、報道を元に3日で初稿を書き、その後も随時、報道を受けて7稿まで改定して作成し、同8月末に8日間で撮影。その映像を、安倍氏の国葬当日の9月26日当日の上映が間に合うよう編集した、約50分の緊急特別上映版を上映した上で、同12月24日から完成版を公開したことで話題を呼んだ。「逃走、貫徹!」では、映画監督第6作品目にして初めてリアリズムを追求し、自らの半生と重ね合わせて製作する。同監督は、桐島容疑者が死亡の直前に、担当医師に本名である「桐島聡」として死にたいと語ったことを踏まえ、以下のコメントを発表した。


「警察による誤認手配に50年間追われ、辛苦の逃走を続けた青年・桐島聡が獲得しようとしたものは何か。彼の生きざまは、地獄の沙汰では済まない残虐世界だったのか。しかし、同時に、死の間際に『私はキリシマサトシだ!』と名乗り出て表現し、獲得しようとしたものは何か。それは、彼が生きた怨念となった『革命への確信』への証しだったのだろう。それらは、映画でしか描けない」


主演の古舘は「ある日、足立さんと初めて会った。やるしかないと思った。言葉にしがたい個人の魅力というのは人の動機付けになるんだなと驚いた。お金が動機でないということは反資本主義的であろう。この映画のスタートとしてまずは上々である」とコメントした。


5月にはオーディションを開催し、2800人からの応募があったという。その中から個性あふれるキャストが足立監督の元の結集し、7月上旬にクランクインを予定している。


桐島容疑者は、75年4月19日に東京・銀座の韓国産業経済研究所入り口付近を手製時限爆弾で爆破した疑いで、同5月に指名手配された。そして、約40年前から「内田洋(うちだ・ひろし)」の偽名で神奈川県藤沢市の工務店に住み込みで勤務。そして、今年1月に入院した病院関係者に「桐島聡」だと打ち明け、同29日に胃がんで死亡した。病院での聴取に指名手配容疑について関与を否定した一方で、他の事件への一部関与をほのめかした。「1人でいた」と話し、事件について「後悔している」とも述べていた。親族のDNA型鑑定で「親族関係に矛盾なし」との結果が出ており、東京地検は2月27日に指名手配容疑を含む5つの事件で、爆発物取締罰則違反と殺人未遂の疑いで書類送検。3月21日には、容疑者死亡で不起訴とした。

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