「先代は豪華だった」市川團十郎のコンパクト襲名興行に嘆かれる、父子の“器の大きさ”の違い

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2024年06月28日 08:00  週刊女性PRIME

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市川團十郎

 歌舞伎座で行われる『七月大歌舞伎』のチケットが6月14日から販売開始。昼の部には十三代目市川團十郎が主演を務める『星合世十三團』が上演されるが……。

「販売から1週間余りたちましたが、1等席と2等席は全日空席ありと売り上げは芳しくありません。2022年11月の團十郎襲名から続いていた地方での襲名披露巡業も、今年10月で終了します。本来であれば大いに盛り上がる期間中にもかかわらずこの調子ですから、歌舞伎興行を仕切る松竹は肩を落としています」(梨園関係者、以下同)

 新しい團十郎の誕生は、歌舞伎界の未来を懸けた一大イベントになるはずだった。

「團十郎さんの父である先代の十二代目市川團十郎さんの襲名興行は莫大な予算を使い“30億円興行”といわれるほど大々的に行われて歌舞伎ブームのきっかけになりました。史上初の海外襲名披露興行をニューヨークのメトロポリタン歌劇場で開催しました」

 先代の弟子だった歌舞伎役者は、当時の盛り上がりをこのように回想する。

“バブリー”だった先代の海外公演

「1985年に行った40日間のニューヨーク公演は豪華でした。舞台に必要な衣装や小道具が膨大で、コンテナを使って輸送していました。宿泊は高級ホテルで知られるエセックス・ハウス。当時のアメリカは歌舞伎の知名度は高くありませんでしたが、現地は歓迎ムード。先代には一番格式の高い楽屋が用意されました。“着付けやメイクを勉強したい”と興味を持つ現地のスタイリストもいました

 スケールの大きい興行だった父と、いまいち盛り上がりに欠けるその息子。両者の違いはいったい何なのか。

先代はバブル景気のまっただ中。当代は不景気かつ2020年に襲名の予定がコロナ禍で延期と、それぞれの時代背景もあるかと思いますが、器の大きさもあるのでは」(松竹関係者、以下同)

 先代の團十郎さんは温和な性格だったといわれている。

「19歳で父親を亡くした先代は後ろ盾がない中で歌舞伎の修業をしていました。芸の上達が遅く、周囲からは“不器用”と批評されていましたがとにかくマイペースに打ち込んでいました。普段から偉ぶらず、フリーペーパーからのアポ無し取材にも、にこやかに応じていたそうです」

自分の舞台を映像に残したくない

 元来、團十郎率いる成田屋は、荒事と呼ばれる豪快な演目を得意とする一門。先代の持っていた大きな度量は、芸が加味されて強い持ち味になったという。

「細かいことを気にせず、大きく構えるところも頼りがいがあって、周囲からの人望は厚かったです。晩年は白血病と闘いながらも舞台に復帰して、観客を感動させる役者に成長していました」

 対しての当代團十郎は─。

かなり他人の評価を気にするタイプです。『衛星劇場』という有料チャンネルに歌舞伎の舞台を放送する番組があるのですが、“自分の舞台が映像として残ると批判される”という考えから、本人の希望で当代の出演舞台は放送NG。自身が出ている舞台の配信やソフト化も嫌っています。不器用と言われながらも修業を続けた先代とは正反対です」

 大規模な興行を行うためには、それに見合った大きな心が必要なのかも。

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