7月6日に行われた2024年F1第12戦イギリスGPの予選は、予報よりはるかに早く降り始めたにわか雨に翻弄された。
そのまま大雨になる、という予想も外れ、路面は急速に乾いていった。そんな気まぐれなブリティッシュウェザーがかき乱した予選で、ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)が今季自己ベストの6番グリッドを獲得した。
ヒュルケンベルグの予選一発の速さについては、今さら言うまでもない。今季のQ3進出は、12戦中6回目。チームメイトのケビン・マグヌッセンに対しても9勝3敗と、圧勝状態だ。
ただし予選Q1は本人もかなり冷や汗をかいたことだろう。他のドライバーたちがインターミディエイトタイヤ(浅溝)からドライのソフトタイヤに次々に履き替えアタックに出ていくなか、ヒュルケンベルグだけは路面がさらに乾くと踏んで、ガレージに留まり続けた。
ところが9分間の赤旗中断の間にサーキット上空は黒雲に覆われ、再開後すぐに小雨が降り出した。ノータイムで最下位の20番手だったヒュルケンベルグは急いでアタックに入り、路面コンディションが急速に悪化するなか、15番手でかろうじてQ2に進出した。
しかし路面がほぼドライとなったQ2以降、ヒュルケンベルグは上位勢を脅かす速さを披露した。Q2最初のアタックは6番手。最終的には8番手でQ3に進んだが、アタックのタイミングをぎりぎりまで遅らせていれば、より上位の可能性もあった。
迎えたQ3も、最初のアタックは6番手。フロアにダメージを抱えていたという5番手マックス・フェルスタッペン(レッドブル)に100分の5秒まで迫った。さらに最後のアタックでは、セクター1で最速。セクター3で自己ベストを更新できなかったのが痛かったが、それでもカルロス・サインツ(フェラーリ)に0.2秒近い差をつけて6番グリッドを確保した。
この週末のハースは、ほとんどのチームがアップデートなしか小規模な改良に留めたなか、フロアやサイドポッド、マシン後部などに大きな変更を加えてきた。ヒュルケンベルグは初日フリー走行1回目(FP1)では以前のパッケージで走り11番手。そして改良版で走ったFP2で、総合6番手の速さを披露した。
それを見る限り今回の予選結果は、アップデートの効果がさっそく現れたと見ていいかもしれない。2レース前のスペインGPで大規模アップデートを投入したフェラーリやRBが、いまだに戦闘力向上に苦しんでいるのとは対照的だ。
ただしヒュルケンベルグがFP2で行ったソフトでのロングランは、ラップタイムの落ち方が顕著だった。ひょっとするとタイヤマネジメントが難しいクルマになっているのか。この辺りが日曜日の決勝レースに向けての、唯一の不安材料かもしれない。