WECサンパウロに向け性能調整が大幅変更。フェラーリ499Pは17kg増でトヨタと同重量に

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2024年07月08日 21:40  AUTOSPORT web

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WECサンパウロではともに1060kgとなる『フェラーリ499P』と『トヨタGR010ハイブリッド』
 今季2024年はラウンドごとに更新されるWEC世界耐久選手権のハイパーカークラスBoP(バランス・オブ・パフォーマンス=性能調整)の最新版、第5戦サンパウロ用のパフォーマンス・テーブルが7月5日付で発表された。

 BoPはレースに見ごたえのある競争を生むとともに、ホモロゲーション・ルールとあわせてメーカー間の過度の開発競争を抑止しカテゴリーの安定化を図るもの。今回の調整では、シーズン第4戦として6月にフランスで開催されたル・マン24時間で優勝したフェラーリが、ハイパーカー全9社の中でもっとも大きな重量の増加を受けとっている。

 今週月曜日に発表されたブルテンによれば、2014年以来10年ぶりにブラジル、サンパウロのインテルラゴス・サーキットで開催される6時間レースに向け、フェラーリのハイパーカーである499Pは前戦から17kg重い1060kgに設定される。これにより499Pは、フェラーリと24時間レースで優勝を争ったトヨタGR010ハイブリッドが7kgの増加を受け取った後の最低重量と肩を並べることとなる。

 しかし、フェラーリの最高出力が503kWなのに対し、トヨタはわずかに多い506kWでブラジルに向かう。250km/h以上で走行する際の出力を調整するパワーゲインは、フェラーリがマイナス1.7パーセントからプラスの1.8パーセントに遷移。トヨタは0.9パーセントから2.8パーセントに増加した。

 このパワーゲインを用いた、いわゆる“2ステージBoP”はル・マンでのデビュー後、ブラジルで初めてWECのレギュラーレースで使用される。ル・マンのBoPはルールメーカーによって他のカレンダーから独立したものとみなされているが、サンパウロのテーブルはフランスの耐久クラシックと比べて大きな増減があることがわかる。

 ハイパーカー9メーカーのうち、車両の最低重量が増えなかったのは2社だけだ。18kg減で1030kgとなったイソッタ・フラスキーニ・ティーポ6・コンペティツィオーネと、1039kgが維持されたランボルギーニSC63がこれに該当する。

 フェラーリに次ぐレベルでミニマムウエイトが増加したのはポルシェ963で、9kgの増加により1051kgとなりル・マン比で4kg増となるプジョー9X8と並び、全体で3番目に重いクルマとなった。

 ル・マンではエンジントラブルにより2台ともリタイアとなってしまったアルピーヌA424は6kg増、BMW MハイブリッドV8は5kg増えていずれも1044kgに。キャデラックVシリーズ.Rは3kgのプラスで1039kgとなりランボルギーニと並んだ。

 またキャデラックは10kWのパワーアップ(519kW)を果たし、最高出力の緩和が認められた6台のうちの1台となった。次いでアルピーヌが9kW(516kW)、イソッタ・フラスキーニが5kW(520kW)、BMWが4kW(512kW)と続く。プジョーは2kW(510kW)、ル・マンでストレートでの最高速不足によって苦戦を強いられたポルシェは1kW(512kW)が上乗せされている。

 パワーゲインのしきい値は250km/hのままで、アルピーヌ(-1.3%)、キャデラック(-1.5%)、ランボルギーニ(-1.0%)がこのスピードを超えた際、基準となる最高出力から設定分のパワーを失うことになる。

 フェラーリ以外でパワーゲインがプラスになったのは、2.8パーセントに設定されたトヨタだけだが、ル・マン以降にベースパワー(最高出力)を失ったのはこの2ブランドだけだ。

■2024年WEC世界耐久選手権第5戦サンパウロ6時間
ハイパーカークラスBoP(7月5日付)
マシンPF最低重量最高出力≦250km/hパワーゲイン≧250km/h最大エネルギー量Fr.ERS作動域(Dry/WET)アルピーヌA424 LMDh1044kg(+6)516kW(+9)-1.3%(-2.2)910MJ(+7)――BMW MハイブリッドV8LMDh1044kg(+5)512kW(+4)0.0%(-0.9)908MJ(+4)――キャデラックVシリーズ.RLMDh1039kg(+3)519kW(+10)-1.5%(-1.5)907MJ(+7)――フェラーリ499PLMH1060kg(+17)503kW(-5)1.8%(+3.5)905MJ(+16)190kph/190kphイソッタ・フラスキーニ・ティーポ6-CLMH1030kg(-18)520kW(+5)0.0%(-0.9)915MJ190kph/190kphランボルギーニSC63LMDh1039kg519kW-1.0%(+0.6)909MJ(+5)――プジョー9X8LMH1051kg(+4)510kW(+2)0.0%(+0.7)909MJ(+14)190kph/190kphポルシェ963LMDh1051kg(+9)512kW(+1)0.0%908MJ(+4)――トヨタGR010ハイブリッドLMH1060kg(+7)506kW(-2)2.8%(+1.9)912MJ(+6)190kph/190kph
()内の数字は前戦比

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