今回は、在職老齢年金の計算に使用される「総報酬月額相当額」ついてです。
Q:在職老齢年金の合計金額50万円の対象となる総報酬月額相当額の算出時期を教えてください
「毎月の老齢厚生年金額(基本月額)と月収等(総報酬月額相当額)の合計金額が50万円を超えた場合、年金が減額されると思いますが、対象となる総報酬月額相当額の算出時期を教えてください。前年度なのか当月の収入なのか、その場合、ボーナスはどの時期の部分を計算するのかです。S36年2月生まれで来年より支給対象となる男です」(ばんちゃん)A:毎年、4月、5月、6月の会社から提出される書類で、その年の9月の年金から反映されます。賞与は直近1年間の合計を12カ月で割った金額で算出されます
厚生年金保険の適用事業所となる会社で、60歳以上70歳未満の人が、厚生年金の被保険者として(厚生年金に加入して)給与収入等を得えている場合、特別支給の老齢厚生年金や老齢厚生年金の報酬比例部分の月額と、総報酬月額相当額の合計が支給停止基準額(50万円/令和6年度)を超えると、超えた年金の一部または全額が支給停止となる場合があります。これを在職老齢年金制度といいます。相談者の質問は、この「総報酬月額相当額」がいつの時点の収入なのかとのことと思います。
総報酬月額相当額とは、(その月の標準報酬月額:おおよその給与収入)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12で計算します。
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在職老齢年金の算出に使う毎月の給与収入の金額(標準報酬月額)は、その年の4月、5月、6月の3カ月間の残業手当などの各種手当を含む給与が記載された書類が、勤め先から日本年金機構に提出されることで、決まります。
「定時決定」によって見直しされた標準報酬月額は9月から翌年8月までの各月に反映されます。
また定時改定以外にも、「資格取得時の決定」や、給与に大きな変更があった場合には「随時改定」で見直しされることもあります。「随時改定」は、直近3カ月前の標準報酬月額の平均額で計算され、見直された年金は翌月分から反映されます。
監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
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