レース残り5分、Team HRCの40秒ペナルティが画面で伝えられた理由。本来は10秒のストップ&ゴーペナルティだった……/鈴鹿8耐

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2024年07月23日 12:40  AUTOSPORT web

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2024鈴鹿8耐:Team HRC with Japan Post最後のピットストップで高橋巧にライダー交代
 7月21日に開催された『2024 FIM世界耐久選手権(EWC)第3戦 “コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第45回大会』。優勝したTeam HRC with Japan Postと2位のYART - YAMAHAのフィニッシュは47秒860差だったが、テレビ画面上では残り5分でTeam HRCに40秒ペナルティが科されて、結果的に7秒860秒という僅差のレースとなった。なぜ40秒ペナルティが科されたのか解説する。

 レース最終盤の展開は、Team HRCがトップを守り、YART - YAMAHAが同一周回だが1分ほどの差がある状況だった。レース開始から7時間26分にはYART - YAMAHAのマービン・フリッツがピットに入り、カレル・ハニカに最後のスティントを任せた。

 そしてインシデントがあったのは7時間38分(日本時間19時08分)、Team HRCの最後のピットインだ。ヨハン・ザルコが走行を終えてピットに入り、高橋巧にマシンを託した。しかし、この際のピット作業に違反があった。

■レギュレーション解説
 今回の違反に関するピットストップのレギュレーションを一部抜粋する。ピットストップでは公式アームバンドを装着した4名のスタッフが直接マシンに触れて作業ができる。タイヤ交換後は別のスタッフが給油するが、給油中にはマシンはスタンドに乗せられなければならない。また、給油中は4名のスタッフやライダーもマシンに触れる(乗車する)ことができない。

 給油後の再スタートでは、ライダーはマシンに跨り、エンジンを始動させてピットから離れる。この際は2名のスタッフがマシンを押すことができる。そして「本事項に違反した場合には、ストップ&ゴーペナルティが科される」とある。

 さらに、決勝日の午前(レース開始より前)には『FIMスチュワードノート#1』が公示された。ライドスルーとストップ&ゴーペナルティについての内容で、レース終了までにライドスルーまたはストップ&ゴーペナルティを実施できなかった場合、タイムペナルティが科されることがアナウンスされた。

 タイムペナルティはFIMスチュワードとタイムキーピングが決定。鈴鹿サーキットにおけるライドスルーペナルティの時間は29秒とされた。そのため、ペナルティを消化できない場合、10秒のストップ&ゴーペナルティでは40秒のタイムペナルティ、20秒では50秒、30秒では60秒と決められた。

 また、ストップ&ゴーペナルティは10秒、20秒、30秒の3パターンのみ。30秒を超える不動時間は加えられない。

■Team HRC with Japan Postの違反事項
 Team HRCの最後のピットストップでの違反は次の通り。給油後はライダーは乗車、2名のスタッフがマシンを押すが、1名はマシン前方右でアッパーカウルを引っ張るスタッフ、もう1名はリヤスタンドを下ろし真後ろからマシンを押すスタッフがおり、ライダーを含めて3名で再スタートした。

 しかし、給油が終わり、給油機をマシンから外す直前にマシン後方のスタッフがマシンに触れてしまい、リヤスタンドを外しマシンを押す動作を初めてしまった。この1〜2秒のミスでペナルティが科されることになった。

 このピットストップは日本時間19時08分(7時間38分)、審議の通知が入ったのは19時13分(7時間43分)、同時にチームマネージャーがレースコントロールに招集された。

 別の事例で別チームへの取材となるが、レースコントロールでは違反の際の映像を見せられ確認して、FIM EWCスチュワードと話をして違反を認める形となる。そしてペナルティが言い渡されるという。テレビ放送でもこのタイミングでピット作業を映しており、映像が残っていることも確認できているためこの通りだろう。

 筆者はTeam HRCのピット作業を撮影して、その後もピットレーンにいたが、YART - YAMAHAのスタッフもTeam HRCの違反は理解していた様子だった。

 そして19時15分(7時間45分)にTeam HRCに10秒のストップ&ゴーペナルティが決まり、19時19分(7時間49分)にペナルティが科された。20秒や30秒のペナルティではなく、10秒だったのは1〜2秒のマージンだったからだろう。

 ところが、レースも再終盤でチームも10秒のストップ&ゴーペナルティではなく、40秒のタイムペナルティを選んだため、レース残り5分となる19時25分に40秒加算ペナルティが科されることがテレビの字幕でも伝えられた。

 この際の首位Team HRCと2番手のYART - YAMAHA差は約51秒。YART - YAMAHAのハニカの方が高橋よりペースが速く、レース終了時は47秒860の差まで縮めたが、レース結果はペナルティを加味しても7秒860秒の差で大きなマージンを開いておいたためTeam HRCが優勝。2位がYART - YAMAHAという結果となった。

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