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MMDLaboが運営するMMD研究所は初めて通信品質に関する調査を実施した。通信品質といえば、Opensignalの調査結果が大手キャリアの発表会やWebサイトなどで度々紹介されるようになってきた。MMD研究所としては「通信サービスの契約前に参照される調査」となるようにユーザーの声を可視化したようだ。
調査は予備調査と本調査に分けた。予備調査ではスマートフォンを所有する18〜69歳の男女1万人、本調査では大手4キャリアを契約している2000人を対象に、2024年7月13日〜7月15日の期間で「スマートフォンの通信の繋がりに関する調査」を実施した。
なお、今回は通信会社の通信経験に焦点を当てているため、ドコモ、au、ソフトバンクという主力ブランドだけでなく、オンライン専用プランとキャリアサブブランドを含んでいる。調査の対象となっている楽天モバイルは、MNOだけでなくMVNOのユーザーも含む。
●直近半年で通信がつながりにくい経験をした人は36.9%
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まず予備調査として18〜69歳の男女1万人に聞いたのは、直近半年間に通信サービスがつながりやすいか否かだ。その結果、36.9%が「つながりにくさを経験した」と回答。残り63.1%は「つながりにくさを経験していない」と答えた。
「つながりにくさを経験した」と回答した3691人に、直近半年間で具体的にどのようなアプリやサービスでつながりづらかったのかを聞いたところ、「モバイル決済の支払い画面の表示が遅い」が30.5%と最多となり、次いで「LINE通話などのコミュニケーションアプリのつながりが悪い」が24.9%、「メールのつながりが悪い」が20.0%となった。
なお、モバイル決済の支払い画面は決済サービスによって細かくチューニングしており、一概に通信品質が原因とは言い切れない。
●外出時のつながりやすさで断トツのトップはソフトバンク、次いでKDDI
続いて、予備調査から大手4キャリアを契約している2000人を抽出し、直近半年における外出時の通信つながりやすさについて、「つながりやすかった」「ややつながりやすかった」「ややつながりにくかった」「つながりにくかった」「その場所に行っていない」の5段階で質問をした。
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利用シーンでの「つながりやすかった」「ややつながりやすかった」を合わせると、つながる割合が多かったのは「電車やバスなど公共交通機関での移動」が45.2%で最も多く、次いで「繁華街」が45.0%、「主要都市のターミナル駅(東京、名古屋、大阪など)」が40.0%となった。キャリア別に見ると、「つながりやすかった」「ややつながりやすかった」を合わせたつながりやすかった割合が全項目でトップとなったのはソフトバンクだった。
●直近半年の外出時の通信サービス満足度トップは?
大手4キャリアを契約している2000人を対象とした本調査では、直近半年の外出時における通信品質の満足度を「満足」「やや満足」「やや不満」「不満」「そのサービスを利用していない」の5段階で尋ね、利用サービス別にまとめた。
「満足」「やや満足」を合わせると、各サービスで最も満足度が高かったのは、「インターネットブラウザ」が70.2%で最も多く、次いで「通話(LINE通話など)」が69.9%、「QR・バーコード決済」が62.9%だった。キャリア別に見ると、「通話(LINE通話など)」「インターネットブラウザ」「SNS」「総合満足度」でKDDI、「QR・バーコード決済」「オンライン動画サービス」でソフトバンクとなった。
●調査のキッカケの1つとなったのが、NTTドコモ前田社長の宣言
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繰り返しにはなるが、MMD研究所としては初めて通信品質に関する調査を実施した。このきっかけの1つとなったのが、NTTドコモ新社長の前田義晃氏による発言だ。前田社長は6月18日の記者会見で、通信サービス品質No.1を目指すと宣言した。
その際、前田社長が名指しした調査会社はOpensignalだった。なお、Opensignalの「一貫した品質」という項目において、2年連続でトップを獲得したのはソフトバンク。一貫した品質はユーザーが一般的なタスクを完了できる頻度を指す。5Gのカバレッジ(エリアの広さ)はドコモが1位となっているが、「体感としてドコモがつながりづらい」というレッテルを貼られたままだ。
各キャリアのユーザーだけでなく、MMD研究所としても、こうした動きを注視しているようだが、MMD研究所の調査はOpensignalの調査などで通例となりつつある、実際の通信速度ではない。「こうした情報はキャリアも開示するものの、実際につながるかどうかの情報は収集できない」(MMD研究所)からこそ、ユーザーの生の声をもとにした調査データにも意義があると考えたようだ。
Opensignalの調査では上位だった楽天モバイルが、MMD研究所の調査結果で最下位となったのは、つながれば速度は出るが、エリアの面で課題あるから、ということなのだろうか。加えて、楽天モバイルのみ、時間帯によって通信速度が落やすい、MVNOが含まれていることも結果に反映されたようだ。
裏どりというと大げさかもしれないが、ユーザーの体感を調べる手法として、「東京ビッグサイトでの大規模イベントで出口調査を行うという手」(同)はあるが、「膨大な時間と手間とコストがかかることから断念した」(同)という。「シーンの細分化をして、半年間における直近のつながりやすさ」(同)に主眼を置いたのがMMD研究所による今回の調査だ。
過去半年の体感を調査した理由については、コロナ禍が明けて人流が変わったタイミングであることに加え、半年ごとに調査した場合に「その推移を振り返りやすい」(同)からだという。ただ、あくまで半年間のつながりやすさをアンケート形式で聞いた調査なので、絶対的な評価にはなり得ない。参考程度にとどめておきたいが、通信品質を図る1つの指標にはなる。つながりやすさの傾向を把握できるよう、今後も同様の調査を継続してほしい。
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