ノートPCのSSDを1TBから4TBに取り替える! 税込み1万円前後のセンチュリー「M.2 NVMe SSDクローンBOX」を使ってお引っ越し【後編】

0

2024年08月06日 17:21  ITmedia PC USER

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ITmedia PC USER

センチュリーの「M.2 NVMe SSDクローンBOX バスパワーUSB10G(CMNV2U10GCP)」は、その名の通りPCI Express接続(NVMe規格)のM.2 SSD用のクローニングデバイスだ。実売価格は1万円前後と、機能の割に手頃な価格で購入できる

 手持ちのPCのパワーアップ手段の1つとして、内蔵ストレージ(SSD)の換装(取り換え)は有効な手段の1つだ。その手間を軽減する手段の1つとして、「ディスク(SSD)クローンデバイス」の導入がある。


【その他の画像】


 ディスククローンデバイスにはたくさんの選択肢がある。筆者は実売価格1万円前後のセンチュリーの「M.2 NVMe SSDクローンBOX バスパワーUSB10G(CMNV2U10GCP)」をお借りして、実際にSSDの換装に挑もうとした……のだが、諸事情で延び延びになっていた。今回、ようやく時間と準備が整ったので、実際に換装を進めていく。


●1TBから4TBのSSDに換装


 今回SSDを換装するのは、筆者が愛用しているレノボ・ジャパンのノートPC「ThinkPad X13 Gen 3」(2022年発売)だ。PC USERでも何度か登場したことがあるので、見覚えのある人もいるかもしれない。


 上記の記事を掲載した当時との違いとして、本機のSSDはキオクシアの「EXCERIA PLUS G3」の1TBモデルに換装されている。公称ではシーケンシャルリードが最大毎秒5000MB、シーケンシャルライトが最大毎秒3900MBというスペックだ。


 今回、このSSDをウエスタンデジタル(WD)の最新SSD「WD BLUE SN5000」の4TBモデルに交換する。公称では最大毎秒5500MB、シーケンシャルライトが最大毎秒5000MBというスペックで、WD直販サイトでは5万1700円で販売されている。


 早速、クローニングを始めたいところだが、注意点が幾つかある。


●クローニングに当たっての注意点


 ディスククローンデバイスを使ってHDDやSSDの丸ごとコピーをする場合、幾つか注意点がある。実際の作業に移る前に、チェックしておこう。


注意点1:新しいストレージは移行元と「同じ」か「大きい」容量とする


 ディスククローンデバイスは、移行元(古い)HDD/SSDと同一容量か、より大きな容量のHDD/SSDにクローニングすることを前提としている。移行先のHDD/SSDが移行元よりも容量が小さい場合、正常に移行できなかったり、移行を始めた後にエラーが出たりする。


 今回試すM.2 NVMe SSDクローンBOX バスパワーUSB10Gの場合、移行先のSSDの容量が移行元より小さいことを検知すると、そもそもクローニングを開始できないようになっている。


 なお、PC上で動作するディスククローンアプリの一部は、より小さい容量のHDD/SSDへのクローニングに対応している。もしも容量の小さいHDD/SSDにクローニングしたい場合は、PCを使った作業を検討したい。


注意点2:パーティション分けは“そのまま”


 ディスククローンデバイスでは、基本的に移行元のHDD/SSDの内容を“そのまま”移行先へコピーする。それはディスク上のパーティション(領域)の区分けも同様で、より大きな容量のHDD/SSDにデータを移行すると、余った容量が「未使用(未割り当て)領域」として残る。


 Windows PCの場合、クローニングが終わった後に「ディスクの管理」から未使用領域の初期化、あるいは既存領域との統合を行える。ただし、領域の状況によっては統合を行えない場合もある。


 クローニングの段階で未使用領域を出したくない(未使用領域のない状態にしたい)場合は、ディスククローンアプリでの移行をお勧めする。


注意点3:移行元HDD/SSDの暗号化は解除しておく


 Windows 10/11がプリインストールされている現行のメーカーPCでは、原則としてHDD/SSDが「BitLocker」によって暗号化されている。「HomeエディションはBitLockerに非対応でしょ?」と思う人もいるかもしれないが、プリインストールPCに限っては「デバイスの暗号化」の一環でBitLockerが有効化されている場合がある。


 ディスククローンデバイスでは、移行元のHDD/SSDが暗号化されていると、クローニングを正常に行えない。そのため、クローニング前にBitLocker(デバイスの暗号化)を解除することをお勧めする。方法は以下の通りだ。


・Homeエディションの場合


・「設定」を開く


・「プライバシーとセキュリティ」を開く


・「デバイスの暗号化」のスイッチをクリックしてオフにする


・「オフにする」をクリックする


・しばらく待つ


・他のエディションの場合


・「設定」を開く


・「プライバシーとセキュリティ」を開く


・「BitLocker ドライブ暗号化」をクリックする(別のウィンドウが開く)


・「BitLocker を無効にする」をクリックする


・ダイアログボックスの「BitLocker を無効にする」をクリックする


・しばらく待つ


 クローニングが完了した後、再びBitLocker(デバイスの暗号化)を使いたい場合は、以下の手順で行える。


・Homeエディションの場合


・「設定」を開く


・「プライバシーとセキュリティ」を開く


・「デバイスの暗号化」のスイッチをクリックしてオンにする


・しばらく待つ


・他のエディションの場合


・「設定」を開く


・「プライバシーとセキュリティ」を開く


・「BitLocker ドライブ暗号化」をクリックする(別のウィンドウが開く)


・「BitLocker を有効にする」をクリックする(別のウィンドウが開く)


・ウィザードの指示に従って有効化操作を行う(※1)


・しばらく待つ


(※1)設定によってはPCの再起動を求められる場合があります


 以上の注意点を頭に入れつつ、早速クローニングをしてみよう。


●SSDのクローニングは楽?


 M.2 NVMe SSDクローンBOX バスパワーUSB10Gでのクローニングは、先に触れた注意点を頭に入れつつ、付属の取扱説明書に書いてある手順通りにやればトラブルなく進められる。簡単に手順を書くと以下の通り。


1. M.2 NVMe SSDクローンBOXのカバーを付属のドライバーで開ける


2. 移行元のSSDを「SOURCE(ソース)」側、移行先のSSDを「TARGET(ターゲット)」側のスロットに差し込む


3. カバーを閉める


4. クローンボックスのスイッチを「COPY」側に切り替える


5. 「USB 10Gbps」または「POWER」と書いてある側のUSB Type-C端子にケーブルを差し込んで電源を入れる(※2)


6. 正面の「SOURCE」「TARGET」ランプが両方光っているか確認する


7. 背面の「COPY」ボタンを3秒押す


8. 正面の「25%」「50%」「75%」「100%」ランプが点滅しているのを確認したら、背面の「COPY」ボタンをもう1回押す


9. しばらく待つ


10. 正面の「25%」「50%」「75%」「100%」ランプが常時点灯するとコピー完了(ケーブルを外して電源を切る)


(※2)装着するモジュールや取り付ける電源の都合で電力が足りない場合は、両方の端子にケーブルを差し込むことで補足可能


 クローニングをしている間は、ひたすら待つしかない。作業の進捗(しんちょく)は、正面のランプで確認できる。「25%」のランプが点滅している場合は25%未満、「25%」のランプが点灯し、「50%」のランプが点滅していると「25%以上50%未満」といった具合だ。


 今回の移行元SSDには、約438GBのデータが保存されている。25%のランプが点滅から点灯に移行するまで5分30秒ほど要した。単純計算すると22分くらいでデータ移行が完了することになる。


 クローニングは22分45秒で完了した。ほぼ単純計算通りで、筆者が想像していたよりも早く終わった。今回は、移行元と移行先のどちらも、そこそこに高速なSSDモジュールを使ったがゆえに、サクサク進んだ可能性もある。


 ちなみに、クローニング終了後にM.2 NVMe SSDクローンBOXを触ってみたところ、触れなくはないものの、本体全体がそこそこに熱い状態だった。本体とカバーが金属製で、ヒートシンクを兼ねる構造は、合理的に働いたようだ。


 さて、クローニングしたSSDをPCに戻してみよう。


●クローニングは果たして成功したのか?


 クローニングが終わったら、移行先の新しいSSDをPC(ThinkPad X13 Gen 3)に戻す。基本的に、外す時と逆の手順で作業を進めればいい。


 電源を入れて、新しいSSDで起動できれば作業は完了だ。もちろん、問題なく起動できた。


 WD BLUE SN5000(1TB)は、PCにおいて公称スペックとほぼ同じパフォーマンスを発揮できている。


USBストレージとしての「M.2 NVMe SSDクローンBOX」のパフォーマンスは?


 M.2 NVMe SSDクローンBOXは、2基のM.2スロットをそれぞれ“独立した”USBストレージとして認識させることができる。1基のみ使う場合はSOURCEとTARGET、どちらのスロットを使っても構わない。2基使う場合は、基本的にTARGET側に入れたSSDの方に若いドライブレターが割り振られる。


 接続規格はUSB 10Gbps(USB 3.2 Gen 2)となるため、最大速度は読み書き共に毎秒1000MB前後となる。「余ったSSDを外付けストレージとして使いたい」というニーズはもちろん、「とにかく容量の大きいストレージを作りたい!」という要望も満たせる。


 筆者は普段、SSDの換装時にOSのクリーンインストールをすることが多い。しかし、データの書き戻しやアプリの再インストールの手間は、以前と比べると楽になったとはいえ残っている。


 その点、M.2 NVMe SSDクローンBOXを使えば、SSDの着脱時間を含めても30〜40分程度で換装作業が完了する。これは非常に楽でよい。今後は、ディスククローニングデバイスを使って環境移行しようかどうか、迷うところである。


    ランキングIT・インターネット

    前日のランキングへ

    ニュース設定