パリ2024オリンピックの真っ最中だった2024年8月6日の朝、1匹の猫がオリンピックに関する金メダルを獲得した。
その猫の名は、ボアさん。21年前の夏に生まれたという彼に与えられたのは、「オリンピック6大会制覇」を祝うものだった。
21と書かれた金メダルをゲット(画像提供:sachi(@MoncheriSonia)さん、以下同)
落ち着いた様子のその猫が首にかけているのは、「21」と書かれた金メダル。飼い主のsachiさんが作ったものだ。
このメダルが渡される3日前、sachiさんは、自身のXアカウント(@MoncheriSonia)でこう呟いていた。
ボアちゃん まさか君とオリンピックを6大会も一緒に観れるとは思わなかったよ
最初に観たのはアテネだったね
役者揃いのゴールドラッシュで
賑やかな大会だったなぁ
あの頃スケボーや自転車は競技になかったし
こんな連日の猛暑は
想像すらできなかったね
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2004年のアテネ大会から、2024年のパリ大会まで――。
人間にとってだって短くない年月を共にした飼い主と老猫の絆に、ユーザーからは2万2000件を超えるいいね(10日昼時点)のほか、こんな声が寄せられている。
「すごいなぁ、この子はなんて幸せなんだろう。飼い主さんの愛情と、それを受け取れている猫ちゃんを見ると本当に心が温かくなる」
「涙出る。なんて優しい絆だろう」
「20年はすごい!素敵な思い出がたくさんあることでしょうね」
ボアさんとの20余年はどんな日々だったのか。Jタウンネット記者は9日、飼い主のsachiさんに聞いた。
猛暑の中、目の開かない猫を拾い...
「ボアとは夏の思い出がいっぱいです」
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そう語るsachiさん。ボアさんと出会ったのも、ある猛暑日のことだった。
母方の祖母に会うために訪れた長野県飯田市で、目が開いてないオスの赤ちゃん猫を拾った。記録破りの猛暑の中に放置することなどできず、広島に連れて帰ったという。
子猫時代の自分を見るボアさん
それからというもの、ボアさんは大切に大切に育てられた。sachiさんは、「至れり尽くせり過剰に世話して育てた」と振り返る。赤ちゃん猫が死んでしまうかもしれない、と思えばそうなるのも当然だろう。
結果、ボアさんは妙な威厳を放つ、クールでプライドが高い猫に育ったという。
しかし、sachiさんが体調不良の時は鋭く察して見守り、泣いている時は必死に涙を舐めてくれる一面も。スパダリおじいニャンだ。
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長い長い年月を一緒に走ってくれてありがとう
そんなボアさんと迎えた21回目の夏。sachiさんはふと、あることに気付いた。
「オリンピックの夏、いつもボアと夜更かしして観てるな」
オリンピックとボアさん
初めて一緒に見たアテネ大会から、出場選手は入れ替わり続けている。ボアさんはそれを、ずっと見てきた。sachiさんはそのことに気付き、改めてビックリ。
誕生日祝いも兼ね、五輪6大会観戦制覇を記念してメダルを贈ることにしたそうだ。
sachiさんが贈った金メダルを付けたボアさん
「長い長い年月を一緒に走ってくれてありがとう」(sachiさんのポストより)
メダルには、そんな思いが込められている。
21年を共に過ごした愛猫に伝えたい事は
21歳のボアさんは、いわゆる長寿猫である。様々な苦労を乗り越えてきた。
彼との思い出を振り返り、sachiさんは「長い年月、よく小さな体でここまで生きてくれたと毎日感謝しています」と語る。
長く生きてきたから足腰が衰えているし、認知症の症状も出てきている。最近は、肥大型心筋症の診断も下りた。
しかし、非常にタフなボアさんは今でも、毎晩のお散歩は欠かさず行きたがるという。
外の風を浴びるのが好き
「イエネコがしなくていい苦労を経験しても、全て乗り越えて今もまだ一緒に走り続けてくれるお前は本当に強い。
17歳から聴覚を失ったけど、その分以前に増して人の顔を読むのが上手くなったね。
猫に絶望とか後悔は無く
いつも前向きにたんたんと暮らす
それが健康長生きのヒケツなのかな。
21年間、一緒に暮して色んな事を教えてもらったよ、ありがとう」(sachiさん)
ボアさんへの思いを、そう語ってくれたsachiさん。1人と1匹はお互いに寄り添いながら、これからも1日1日を大切に過ごしていくのだろう。