【写真】横浜流星が主演！榊原有佑監督作『MIMI』ポスタービジュアル
今回、Leminoで配信開始されたSeason5より、横浜流星、阿部進之介、山田孝之、森永悠希、山下幸輝ら豪華キャストが共演した榊原有佑監督作『MIMI』、十川雅司監督作『駆け抜けたら、海。』、原田大誠監修作『参画屋の仔羊たち』の3作品について映画ライターによる見どころ紹介コメントが届いた。いずれの作品も全て無料で視聴することができるので、ライターコメントを読んだ後に本編をチェックしてみてほしい。
■配信作品（23）『MIMI』（「MIRRORLIAR FILMS Season5」収録作品）
横浜流星と共に内面のラビリンス体験を〜『MIMI』
内面を迷宮的に描いた作品はあまり観たことがない。しいて言うならばクリストファー・ノーラン監督、レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙共演による映画『インセプション』（2010）だろうか。あの作品は夢から潜在意識に入り込む様子をVFXを駆使して描いたものだったが、本作『MIMI』はCGに頼らず、壁紙の柄やテーブルの色合いなどで閉鎖的な空間を生み出し、会話と編集のテクニックを使い次の空間へと移動させる。
横浜流星演じる主人公の男の話を聞く阿部進之介演じる臨床心理士。やがて同じような仕草をしたかと思うと、ゆっくりと場面は列車の中へと切り替わる。ここでは横浜流星演じる主人公が臨床心理士のような役目に変わり、森永悠希演じる罪を犯した青年から“あの日のこと”を聞き出している。
かと思えば、カメラはスピーディにかつ緩やかに動きながら、ある撮影現場を捉える。何が現実でどこからが虚偽なのか。このミステリアスな物語の中心に位置する横浜流星の演技をこれでもかと堪能する作品だ。彼はサイコパスのように瞬時に表情を変えていく。ふと頭をよぎる。解離性同一障害とはなんなのか。いや、俳優という仕事はなんなのか、かもしれない。映画からこのような疑問が生まれたが、振り返ると元理学療法士である榊原有佑監督でしか表現できない映像の迷宮に迷い込んだひとときだった。（文：伊藤さとり 映画パーソナリティ）
・作品情報＆配信情報
青年が臨床心理士に、子どものころに飼っていた猫・ミミとの思い出を楽しそうに語る。けれども実は、ミミは青年が作り出した架空の存在であるという。そんな掴みどころのない対話の中である事件の犯人である人物の真実が浮かび上がってくる。
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■配信作品（24）『駆け抜けたら、海。』（「MIRRORLIAR FILMS Season5」収録作品）
初々しさがストロングポイント 恋愛と友情の狭間を描く『駆け抜けたら、海。』
恋愛と友情の狭間で揺れ動く2人の女性の姿を描く『駆け抜けたら、海。』。この短編のストロングポイントは瑞々しさにある。
女子大生の綾瀬みつきは、親友の星野うみに片想いをしている。合コンを抜け出してきた2人は閉店間際の銭湯に駆け込む。いつものようにうみの恋愛話を聞かされるみつき。次第にみつきは自身の想いがあふれてしまい…。
みつきとうみを演じた松原怜香と嶺結のセリフ劇を中心とした二人芝居。しかもシチュエーションは銭湯の脱衣所という極めて限られた場所。短編とはいえ、あまりにも制限がある。果たして間が持つのかと思いきや、身も心も軽くなる銭湯というロケーションが功を奏していた。
誰もいない洗い場と湯舟を背景に繰り広げられるのは、みつきとうみの切実かつ等身大な言葉のやり取り。湯上りで身も心も軽くなった二人の会話には徐々に奥行きが生まれ、それぞれの関係性と背景が浮き彫りになる。
「うみの匂いがする」。うみなのか海なのか、意味深なダブルミーニング。みつきのうみへの想いは止まらなくなる。銭湯を有効に使用したコンテンポラリーダンスの瑞々しさたるや。そこに銭湯特有の湿気は皆無だ。果たして二人の結末は？（文：石井隼人）
・作品情報＆配信情報
女子大生の綾瀬みつきは、親友の星野うみに片想いをしている。合コンを抜け出してきた2人は閉店間際の銭湯に駆け込む。いつものようにうみの恋愛話を聞かされるみつき。次第にみつきは自身の想いがあふれてしまう。
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■配信作品（25）『参画屋の仔羊たち』（「MIRRORLIAR FILMS秋田」地域特別制作作品）
個性は至るところにある〜『参画屋の仔羊たち』
古民家、そして陶芸。カメラが捉えるこれだけでも、その土地の温もりを感じる。さらに「悩み聞くよ 相談NOTE」という見知らぬ人との手書きでの関わりを描くことで、時がゆっくりと流れていることを伝えている。都市と違い、地方にしか無いものは必ず存在する。本作はそんな秋田を舞台に撮影された地域特別制作作品だ。木造建の古い一軒家を改造して店にするのも現代の工夫だ。このように素材を活かしつつ、更に魅力的な内装にすることでその店の個性が生まれ、人は足を止める。
映画『参画屋の仔羊たち』はそんなセンス（感覚的なもの）＝個性をテーマにする上で、建物や器、棚の並べ方にもこだわることで、画自体にも個性が出ると伝えているような美しいショットで連なっている。さらに時間の流れを、明るい外観、その後の少女と遭遇する部屋での黄色みがかった色彩、そして街灯の光を映すことで観客に理解させているのだ。
自立したはずの主人公のセンスが光る店に置かれたNOTE。いったい何故、彼女は来客が自由に悩みを書き込めるノートを作ったのか。それは自分自身が悩みを抱えた時に、相談できる唯一の存在である祖母の影響からだろうが、その根底には自分の店が誰かの居場所になればと思っているからかもしれない。気軽に足を運んでもらい、秋田の空気を吸って心落ち着けて創作意欲を高めて欲しいという製作陣の願いが込められているようだった（文：伊藤さとり 映画パーソナリティ）
・作品情報＆配信情報
ユキは美大を卒業後、そのまま秋田の街角で雑貨屋をはじめた。店の隣にギャラリースペースを作り、作品を展示している。そこにはユキが設置した「ナヤミキクヨノート」が置かれていて、もう10冊目になる。ノートに寄せられた悩みに、彼女は返信を続けてきた。ある日、「自分の個性がわからなくなった」と書き込みが。悩みを書いたサクラとの会話が、ひょんなことから始まった。
監修・脚本：原田大誠 出演者：真宮葉月、渡部美聖、安倍眞壽美 時間：9分
【配信概要】
『毎週金曜は、ミラーライアーフィルムズ短編映画の日。』として、ドコモの映像配信サービスLemino 「ミラーライアーフィルムズ」チャンネルから、Season1〜Season4、Season5以降の新作・オリジナル作品・関連作品などが順次配信される予定。
公式サイト＞
【「ミラーライアーフィルムズ」概要】
ミラーライアーフィルムズは、映画プロデューサーの伊藤主税、俳優の阿部進之介、山田孝之らがプロデュースする、クリエイターの発掘・育成を行う短編映画制作プロジェクト。2021〜22年公開のSeason1〜4では公募作品を含む、俳優、映画監督、漫画家、ミュージシャンなどが監督した36本の短編映画を発表した。短編映画だから、短編映画ならば挑戦してみたいと、映画未経験者や普段映画に関わらない異なるバックグラウンドのクリエイターが集まり、新しい視点やアイデアが生まれる場となっている。
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Azumi Hasegawa／阿部進之介／安藤政信／井樫彩／池田エライザ／枝優花／GAZEBO／紀里谷和明／Ken Shinozaki／駒谷揚／齊藤工／志尊淳／柴咲コウ／柴田有麿／武正晴／西遼太郎／野��浩貴／花田陵／林隆行／針生悠伺／福永壮志／藤井道人／藤原知之／真壁勇樹／松居大悟／三島有紀子／水川あさみ／三吉彩花／村岡哲至／村上リ子／ムロツヨシ／山下敦弘／山田佳奈／山田孝之／李闘士男／渡辺大知
順次配信中のSeason5には、竹中直人、大橋裕之、榊原有佑、ピウス・マチュルスキス、巖川虎太郎、十川雅司、Season6には小栗旬、浅野忠信、Season7には加藤浩次、加藤シゲアキの参加が決定した。
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